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PCG-FX77S/BP

PCG-FX77S/BP

2002年02月07日 01時34分更新

文● 別冊ASCII編集部・中西祥智

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ベンチ結果は平均的
だが静粛性は優秀

キーボード、ポインティングデバイス、液晶パネル部の全景。
 春モデルの最上位機種PCG-FX77V/BPは,CPUにMobile PentiumIII-1GHz,メモリを256MB,チップセットにIntel 815EMを搭載し,チップセット内蔵のグラフィックス機能を利用する(11MBのビデオメモリはメインメモリと共有)。ディスプレイは15インチで,解像度は1024×768ドット,最大表示色数は1677万色(グラフィックチップのディザリングによる)だ。

 FXは2001年夏モデルでは,最上位モデルのPCG-FX77G/BPに1400×1050ドット(SXGA+)の高解像度の液晶を搭載していた。だが,冬モデルのPCG-FX77/BPでは,高解像度液晶を搭載するモデルはラインアップから消え,最上位モデルも1024×768ドット(XGA)になった。これは,15インチで1600×1200ドット(UXGA)やSXGA+の高解像度液晶を搭載するようになった上位機種の「バイオノートGR」との差別化を図るためだという。

 FXのベンチマークに関しては,編集部独自のベンチマークプログラムによってExcel 2002の処理速度を計測する「Excelベンチ」の結果は53.6秒で,別冊ASCII No.4でレビューした11機種中,GRと「DynaBook G3」に次ぐ3位につけている。また,ハードディスクベンチでは,Sandra 2001のDrives Benchmarkのランダムリードで4.03とトップ,またアクセスタイムは12ミリ秒で11機種中2位(ただしこちらは4機種が同率2位)となっている。一方で,ランダムライトは毎秒2.89MBで最下位だった(各ベンチの詳細は別冊ASCII No.4参照)。



編集部オリジナル・Excel 2002ベンチマークテストの結果。

 ソニーはPCG-FX77S/BPが搭載しているハードディスク(30GB,UltraATA/100)のメーカー名を公表しておらず,生産時期によって変更する可能性もあるが,編集部で確認したところ,IBMの「Travelstar 30GN(IC25N030ATDA04-0)」だった。Travelstar 30GNは毎分4200回転,2MBのバッファメモリを搭載し,軸受けは流体軸受けとなっている。

 編集部で行なった騒音測定(※1)で,FXはクーリングファン回転時では,7機種中GRと「バイオC1」に次ぐ3位の26.9dBだったが,ファン停止時では9機種中19.5dBと,もっとも静かなノートPCだった。また,光ドライブの騒音測定でも,FXは29.3dBと,もっとも低い値だった。ソニーによると,ファンの部品そのもののチューニングや余裕ある放熱設計によって,騒音が低減されたという。それに加えて,流体軸受けのハードディスクを搭載したことも,マシンの静粛性を高めた要因のひとつになっていることは間違いないだろう。なお,発熱についてだが,編集部で測定したところでは,FXの底面温度は約41.6度,パームレストでは約31.9度で,それぞれ11機種中3位と4位を示している。

※1 計測機器/医療機器の開発・販売を行なうリオン(株)の協力で測定した。詳細は本誌P.116~P.117を参照。

 また,3DMark2000では815という値を出し,Quale III Arenaでは毎秒31.7フレームという結果で,それぞれ5位と6位だった。CADなど,ハイスペックな描画性能を必要とする作業を行なうユーザーは,上位機種のGRを選択すべきだろう。だが,一般のビジネス用途なら,FXで十分だ。

モバイル系ノートPCより
長時間バッテリがもつ!?

 バッテリベンチの結果は3時間11分と,別冊ASCII No.4でレビューした11機種中「ThinkPad s30」と「バイオノートSR」に次ぐ3番目となった。これは,C1や「Mebius MURAMASA」といったモバイル系ノートPCの2時間強という結果より,良好な数字だ。実は,FXは最上位モデルのPCG-FX77S/BP(春モデルならPCG-FX77V/BP)のみ,容量の大きな(3000mAh)リチウムイオンバッテリ「PCGA-BP71A」(単体で購入可能,セル数は非公開。ソニースタイル価格2万4800円)を搭載する。最上位モデルを除くモデルに搭載するバッテリは容量1700mAhで,たとえばPCG-FX55S/BPの場合,バッテリ駆動時間はカタログ値(JEITAのバッテリ駆動時間測定法に基づく)で約1.5時間となっている。ソニーは,コストパフォーマンスとのトレードオフの結果,つまり価格を下げるため,全モデルにPCGA-BP71Aを搭載することはしなかった。デスクトップ代替として考えれば,バッテリ駆動時間はそれほど重要ではないだろう。実際,日本電気のフラッグシップノートPC「LaVie T」の最上位モデル「LT900/2D」は,バッテリを搭載しておらず,AC電源で駆動する。ただし,ノートPCである以上モバイル用途も想定すべきだとソニーは考えており,また下位機種との差別化のため,最上位モデルには容量の大きなPCGA-BP71Aを搭載している。

 今回のベンチマークは,2001年冬モデルのPCG-FX77S/BPで行なったが,春モデルのPCG-FX77V/BPで同様のベンチマークを行なったところ,ハードディスクベンチの結果がFX77S/BPの8割程度の数値となった。ソニー側で行なったハードディスクベンチでも同様の結果となっており,HDBENCHのリードの平均が毎秒21.7MBから15.8MBへ約27%,ライトでは毎秒20MBから15.5MBへ約23%,パフォーマンスが低下している。このパフォーマンスの低下は,FAT32からNTFSへファイルシステムを変更したことが原因だという。もっとも,パフォーマンス面では若干不利になるにせよ,NTFSは堅牢で,ファイルの暗号化や圧縮が可能であり,またセキュリティ面でもアクセス制限が可能なことなど,FAT32に比べて多くの利点がある。

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