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【東京ゲームショウ2001春 Vol.9】ビル・ゲイツ基調講演全記録

2001年04月02日 03時59分更新

文● 編集部 中西祥智

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(ビル・ゲイツ氏ひとまず退場。Xbox事業部アドバンステクノロジーグループマネージャー吉岡直人氏がデモンストレーションについて説明する)

Xbox事業部アドバンステクノロジーグループマネージャー吉岡直人氏
Xbox事業部アドバンステクノロジーグループマネージャー吉岡直人氏

【吉岡直人氏】ただいまご紹介に預かりました吉岡と申します。Xbox事業部アドバンステクノロジーグループのほうを、やらせていただいております。これよりXboxの最新技術デモをお見せいたします。

はい、それではビデオのほうを見ていただけますでしょうか。このデモは、先週カリフォルニアのサンノゼで行われました、ゲームデベロッパーズカンファレンス―毎年ゲーム開発者の皆さまが集合される、一種のお祭りのようなカンファレンスで紹介したものです。

タイトルは「エボリューション」、進化という意味です。開発したのはインエビタブルエンターテインメントです。

モンスターの顔
モンスターの顔。青く光る肌が、かなりグロテスク。このモンスターを、ぐりぐりと視点を変えて見ることができる

「インエビタブル」というのはあまり聞き慣れない言葉ですが、不可抗力という意味です。すなわち避けられない変化、これこそまさにXboxが皆さまにもたらそうとしているものです。このモンスターが、先ほど謎の光球を発見しました。(その光球を)手で触れると体内に何物かが侵入したというストーリーです。血管が膨れ上がったのを、ご覧になられたかと思います。おそらく彼の中に何か変化が起きた。そして、どこへともなく飛び去って行く。そういう非常に短くはありますが、面白い技術の詰まったデモになっております。

今のデモをご覧になりますと、非常にハイクオリティの絵が出ているというところで、もしかしたらムービーではないか、というふうにお考えの方もいらっしゃるかなと、ちょっと心配しております。ですからここで証明させていただきます。

フォーカスが甘いので分かりにくいが、金属のような光沢のある滑らかな肌
フォーカスが甘いので分かりにくいが、金属のような光沢のある滑らかな肌

今私が手元に持っておりますのはXboxのコントローラーです。もう一度プレイいたします。ただし今度はカメラのコントロールは私が行ないます。今、これはまだオートカメラですが、こちらのAボタンを押すことで、このようにカメラは私のコントロールの元でリアルタイムで動いております。また、こちらのボタンを押すことによって、こういった形で再生速度のコントロール―今速くなりました。もう一度ゆっくりにしてみます。こういうことが行なえます。そして次にカメラのズームインとアウト、カメラのロテーション、といったようなことができます。たしかにこれはリアルタイムでなければあり得ない画像であることがおわかりいただけると思います。

このデモは本来NVIDIAのNV20というグラッフィクスチップ用の技術デモとして開発されたものです。これを開発された方がXboxに移植されるのに要した時間はわずか1日。もっと正確に申し上げますと、3時間ですべての作業を終えられたそうです。いかにXboxにおけるゲームの生産性が高いかということを示す、いい事例かと思います。ですから、ゲームを作る方々は、ゲームを面白くすることそのものに熱中していただける。ですから遊ぶ皆さんは、本当に面白いゲームを手にしていただくことが可能になるというのが、Xboxが目指すところです。

ところで、こちらに映っておりますモンスター、非常にリアルに見えているかと思いますが、ポリゴン数を申し上げれば、このモンスターだけで1万8千ポリゴンが使われております。これが、リアルタイムのゲームにおいて、いかに大変な数値であるかということは、すでに皆さまよくご存知かと思います。さらに加えて、細かい筋肉の動き等も、すべてリアルに再現されております。また、この肌の色、艶ぐあいですね、というあたりもぜひ見ていただきたいところです。もうほんとに触ってみると気持ち悪いんじゃないかというぐらいにリアルな質感が出ています。また、先ほど出ていた血管が膨れ上がるシーンというのも、バンプマッピングという技術を使ってすごくリアルに再現されています。色を付けていくという部分についても、4回の重ね塗りを行ないます。

今、まさに羽ばたこうとしている
今、まさに羽ばたこうとしている

Xboxはこのような処理を一発で、すべて処理してしまいます。ですから、たとえばこういったでこぼこした肌に、非常にリアルな質感を重ねることができて、しかも非常にスピードが速い。しかし、このデモですらまだまだ進化の途上です。もっといろいろな技術がXboxには詰まっています。グラフィックスだけではなく、たとえばオーディオに関しては256音、あるいは64個の3Dサウンド。ハードディスク、イーサネットも標準装備ですから、先ほどビルのほうからもありました通り、ネットワーク系のオンラインゲームというものに関しても、可能性を持っています。

もちろん技術だけで面白いゲームができるというふうには、我々も考えてはおりません。ただ、すごいクリエイターの皆さんが、こういう素晴らしい技術を、しかも生産性の高い技術をお使いになられるとなると、ゲームが面白くならないはずはないというふうに思っております。

このあとのセッションで、もっといろいろなゲーム―本当に動いているXbox上のゲームを、皆さんは目の当たりにすることになります。どのゲームもすべて、まだ開発途上のものですが、私の目から見ても本当にすごいものです。一体どんなゲームに仕上がるのか、私自身も非常に楽しみにしています。ぜひ、楽しんでいってください。そしてXboxとその素晴らしいゲーム、をぜひ楽しみにしていただきたいと思います。ありがとうございました。

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