ハイビジョン画質のまま、最大7倍で記録するTSEモード
特筆したいもう1つの新機能が「TSEモード」だ。これはMPEG4 AVC方式の「HDトランスコーダー」を使用することで、ハイビジョン画質のまま最大7倍の長時間録画が行なえるもの。
この機能自体は2007年末~2008年春に発売されたモデルにも搭載されているが、低ビットレート時の画質は解像感の低下やノイズの増加を招き、あまり実用的とは言えなかった。
今回は新しいHDトランスコーダーを搭載することで、前機種と比べてノイズの発生を大幅に低減している。しかも、前機種の最大6倍から最大7倍へと長時間化も実現した。これにより、1TBのHDDへの最大録画時間は約660時間となった。録画時間ではブルーレイディスクレコーダーを含めて業界最長だ。
前機種での最長録画モード(ビットレート3.6Mbps)では動きのある部分でノイズの発生が目立っていたが、RD-X8の最長録画モード(ビットレート2.8Mbps)ではノイズの発生はかなり抑えられている。細かいディテールが失われるなど画質の劣化はあるものの、見づらいという印象はない。ニュース番組などを録画するような用途なら問題なく使えるだろう。
そして、VARDIAの大きな特徴がTSEモードでのビットレートを最大17Mbps~2.8Mbpsまで57段階で細かく調整できること。一般的には松・竹・梅と3つくらいの録画モードを使い分けるほうが使いやすいと感じる人も多いだろう。
だが、録画モードが3つしかないと、ディスク容量に比べて番組の長さがほんのわずかにオーバーした時に画質差のあるモードしか選べないのがデメリットだ。ディスクに録画するときはなるべく画質のいいモードで記録したいのは当然。こういう場合はビットレートを細かく調整できるVARDIAの方が便利だ。
なお、57段階もの転送レートをわざわざ自分で選択する必要はほとんどない。たとえばダビング時なら「ぴったりダビング」を選ぶだけで、自動的にディスクの容量に合わせた最適なビットレートを選択してくれる。
画質を重視するなら番組をひとつだけ。前後編のドラマや連ドラをなるべく少ないディスク枚数で保存したいというような場合も、ダビングしたい番組を選んで「ぴったりダビング」すれば、最適なビットレートに変換してくれる。
また、およそ2時間の映画番組など、あらかじめ番組の長さが決まっている場合のために、録画モード(TS/TSE/VR)とビットレートの組み合わせをいくつか登録できる。ふだんはそれを使い分ければいい。