XDEオン/オフの差は歴然
百聞は一見にしかず。その実力を確認してみよう。まずは、筆者がテスト用に撮影した映像でチェック。もともと1920×1080ドット記録のハイビジョンビデオカメラで撮影した映像をSD画質に変換してDVDに保存したものだ。
記録レートは約9MbpsでDVDの映像としては市販ソフト並のクオリティだが、元々のハイビジョン映像と比べれば細かなディテールが失われ、輪郭もややぼやけたソフトな映像に感じてしまう。
これがXDEをオンにして再生すると、輪郭がキリリと引き締まり、失われたディテールが元の映像に近くなる。川面に降り立った野鳥の姿や色鮮やかな羽の質感を見ると、その違いがよく分かるだろう。いわゆるDVDのアップコンバート映像としてはかなり優秀だ。
映画DVDでもチェックしてみると、同様にディテール感の向上が確認できた。特筆したいのは、どんよりと曇った空や霧でかすんだ景色など、もともとディテール感のない部分の映像再現だ。XDEオフではもやもやとしたノイズが散見されるのだが、オンにするとノイズがきれいになくなっている。
XDEでは映像の輪郭部分を強調するだけではなく、ディテールの少ない平坦な映像部分では輪郭を強調せずにノイズを除去する。このため、カメラのピントの合った部分はくっきりと再現し、ピントの外れた遠景は自然なボケ表現とすることで、映像の立体感が高まるのだ。
この奥行き感のある映像再現は映画の再生でかなりの威力を発揮する。さらに輪郭強調も映像の情報量に合わせて最適に調整されるため、輪郭に不自然な強調感がない。輪郭を太筆でなぞったようなくっきり感ではなく、あくまでも元の映像に近い自然な輪郭を再現している。
こうした画質向上は、DVD再生時がもっとも顕著だが、デジタル放送を録画した場合でも同様の効果がある。もともと高精細なハイビジョン映像の場合、輪郭部や細かいディテールで目立つモスキートノイズ、動きの激しい部分で目立つMPEGノイズの低減効果が大きい。
しかも、一般的なノイズリダクションと異なりディテールの精細さは失われないので映像がすっきりと見やすくなる。XDEのオン/オフの切り替えは、こうした画質向上の確認には便利だが、基本的には常に「オン」で使用するのがおすすめだ。