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RIMジャパンのトップが語る

世界累計1900万台出荷したBlackBerryの強み

2008年10月22日 14時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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BlackBerry Enterprise Solutionでは、AES/トリプルDES暗号化に対応し、ファイアウォールではアウトバウンド方向のみ通信を許可する。また、上記の「インターネット」の部分にはBlackBerry Relayと呼ばれる専用のインフラが隠れており、高い安全性を実現している。出典:Research In Motion社のウェブサイト

高セキュリティーと高バッテリー寿命を支えるインフラ

 BlackBerryは非常に強固なセキュリティーに定評がある。これは日本のビジネスユーザーがスマートフォンを導入する際に、極めて重要なポイントである。

 BlackBerryを有効に活用するために、欠かせない存在がBlackBerry Enterprise Server(BES)だ。BESと組み合わせることで初めて、BlackBerryは高セキュリティーを実現し、企業内で真価を発揮する。RIMジャパンでプロダクトマネジメント&マーケティング部のマネージャーを務める小林盛人氏は、BlackBerryの仕組みを次のように説明する。

 「BlackBerryでは、各端末からネットワークを介してサーバーまでのエンド・トゥ・エンドで面倒を見ます。ほかの端末はVPNやRASなどで接続をしていますが、通過するネットワーク部分は特に気にしていないことが多い。しかし、あまり知られていませんが、BackBerryにはBlackBerry Relayと呼ばれるネットワークインフラを構築しており、企業は我々が管理する安全なインフラを介して各端末と通信をしています」

 企業は社内にBESを設置する。すべての端末はメールやウェブのアクセスも含め、このBESによって一元管理されており、端末とBES間のデータはすべて暗号化される。暗号化されたデータは、企業のBESからウェブを通じて、カナダのRIMにあるサーバーに接続し、専用回線を通じてNTTドコモへ流れ、FOMAの電波を通じて端末まで届く。このようなインフラが介在しているのだ。

 「オフィスで仕事をしていてメールが送られてくると、デスクトップのパソコンよりも先にBlackBerryが受信します。カナダを経由してもインフラのスピードは速く、信頼性も高い。安全なインフラを経由できるため、毎回毎回セキュリティー認証の必要もなく、余計な通信をしません。そのため、ほかのスマートフォンに比べ電力消費が少なくて済みます。BlackBerryのバッテリーは普通に使えば2日は持ちます」(上野氏)

メールでPDFの添付ファイルを受け取った画面

PDFを開いたところ

 つまりRIMは、世界各国で契約している世界140ヵ国で375のキャリアと専用線でつながったインフラを持っているため、セキュリティーとバッテリー寿命を高いレベルで保つことに成功しているのだ。これはもともとRIMがページャー(ポケベル)システムを提供していた企業としての出発した伝統があるためだ。

 「一般的にパソコン系よりも、ページャー系の方が通信に関して、より堅牢なシステムを持っています。パソコン系の端末メーカーには不具合が起きれば、リセットすればいいと考える文化があります。しかし、我々はポケベルを作っていた時から、端末を開発するだけでなく、ネットワークと合わせてシングルソリューションでユーザーに提供する仕組みを作ってきました。我々は多機能を盛り込むことで、電話やメールがハングアップして通信に支障をきたしては本末転倒と考える伝統があります。ほかのスマートフォン端末と見た目が似ていますが、出自が違うため中の堅牢性がまったく違うわけです。こういったネットワークの堅牢性が企業だけでなく、政府機関などにもに支持されています」(上野氏)

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