細かい設定も可能な「Webの制限」
多くの保護者が子供のパソコン利用で最も気にかけているのは、不適切なウェブサイトへのアクセスだろう。それを実現するために多くのフィルタリングソフトが存在することからも、ニーズの高さが分かる。
Vistaの場合、Internet Explorer 7(IE7)自体に独自のフィルタリング機能「コンテンツ アドバイザ」が備わっている。保護者による制限機能にある「Webの制限」は、これを強力に補完するものだ。
Webの制限は、「保護者による制限パネル」にある「Windows Vista Web フィルタ」などから行なう(IE7のツール→インターネット オプション→コンテンツ→「保護者による制限」からも可能)。
Webの制限では、指定したサイトを許可/禁止するホワイトリスト/ブラックリスト方式での制限のほかに、制限レベルに応じて自動でアクセス制限する機能も持つ。また、ファイルのダウンロードを禁止するチェックボックスもある。
ブラックリスト方式では、星の数ほどある不適切なサイトすべてに対応するのは不可能だ。「子供の自主判断を尊重し、絶対に見せたくないサイトのみを制限したい」という場合に用いるのが適当だろう。
自動でアクセス制限を行なう機能は、デフォルトでは「中」になっている。中設定では、成人向けコンテンツや麻薬、憎悪の言葉、武器に関するサイトをブロックするとしている。一方「高」を選択すると、子供向けに適切と設定されたサイトのみがアクセスできる。「カスタム」を選択すれば、フィルターが機能するカテゴリーを個別に指定できる。「ポルノは禁止したいけど、武器程度は大丈夫だろう」という場合には、カスタムで設定する。
ダウンロードの禁止は明快だ。対象はアプリケーションの実行ファイルや圧縮ファイル、さらにはPDFも当てはまる。ウェブブラウザー上で閲覧できる単なる画像ファイル程度であれば、ブロックしないようだ。
意外や有効に機能する自動のアクセス制限 Firefoxでも有効
子供側で禁止されたサイトにアクセスしようとすると、下の画面のように「アクセスが禁止されています」と表示される。もし該当サイトを見せてもいいと判断した場合は、「管理者に許可をもらう」をクリックすると、管理者による認証(後述)画面が出て、禁止を解除できる。ちなみにWebの制限機能はIE7だけでなく、Firefoxでも有効だ。Firefoxには組み込みのフィルタリング機能がないので、重宝するかもしれない。
いくつかのサイトを回って試してみたが、自動のアクセス制限機能はデフォルトの「中」設定でも、こちらの想像以上に厳しくブロックするようだ。なにせ、IE7のデフォルトホームページであるjp.msn.comさえも、ときどきブロックされてしまうくらいだ。IE7のコンテンツアドバイザでは閲覧できてしまうアダルト動画サイトなども、きっちりブロックしていた。
また、自動でのアクセス制限はサイト全体をブロックするだけでなく、ページ上にある一部のコンテンツをブロックすることもある。下の画面では、ASCII.jpのゲーム・ホビーページで表示された、ブロックの警告だ。
「何が引っかかったのかな?」と見ていくと……ECナビランキング部分のサムネイル画像が、一部歯抜けのように表示されなくなっている。ブロックの解除許可を行なうダイアログでは、何がブロックされているのかを確認できるのだが、なぜか楽天からのサムネイル画像がブロックの対象にされているようだ。管理者側で同じページを見ると、どうもゲームキャラのフィギュアの写真が、「武器」に関する制限に引っかかったのではないかと思われる。ちなみに、「大人向けコンテンツ」で引っかかりそうなフィギュアの画像は、いずれも問題なく表示されていた。
自動でのアクセス制限を「高」に設定すると、ASCII.jpも表示できなくなった。「キッズgoo」のように、子供向けに設定されているサイト以外は、一切閲覧できないようだ。よほど幼い子供が対象ならともかく、小学校高学年にもなれば、高設定では必要を満たせないだろう。
フィルタリング機能の常として、完璧な自動化など望むべくもないが、IE7組み込みの機能に比べると、充実した機能になっている印象がある。