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2008年10月20日更新

誰も語らない ニッポンのITシステムと業界

インターネットが止まる日

文●清水真砂(構成)  聞き手●政井寛、企画報道編集部  協力●アスキー総合研究所 遠藤 諭

この連載について

政井寛

 コンピュータがこの社会でビジネスに利用され始めてから40年以上が経過した。たったの40年ではある。しかしこの40年には隔世の感を覚える。黎明期のコンピュータは特別な存在であった。コンピュータのために隔離された部屋が必ず設けられ、特別の空調と特別の電源を備え、後にも置かぬ待遇を受けていたことをご存じの方はまだまだ沢山いるはずである。人間がコンピュータの前に行列を作ったのもだ。

 コンピュータに携わる人も特別な人と見られたものだ。「君はどんな仕事をしているのかね」、「ハイ、コンピュータのプログラムを作っています」、「フーン、よくわからんが優秀な人なんだね」――という会話が巷で交わされたものだ。それだけにコンピュータを利用したシステムの一つ一つが関係者の間でよく吟味され、人間社会との調和を意識した協調性のあるシステムであったような気がする。

 翻って最近のITは(コンピュータやその周辺技術を総称して最近はITと呼ぶのだそうな)“いつでも、どこでも、誰でも”をキャッチフレーズに社会の中に浸透している。さらに進んで“今なら、ここなら、貴方なら”という時間、場所、人を特定したサービス提供が可能なシステムを目指して、今もなお猛烈なスピードで変化を遂げつつある。

 この傾向は一見好ましく思われる。誰もがその便利さに酔い、早さに驚き、正確さに感嘆する。

しかしちょっと待ってほしいのです。立ち止まって考えてみる必要があるのです。コンピュータや電子技術を応用したシステムの脆弱性と突然機能不全に陥ったときの反動的な損失や怖さを知ってほしいのです。あまりに今の社会がITのシステムに頼りすぎていることの危険性を知ってほしいのです。

なにがそんなに気になるの?

 現在のITシステムは



  • 技術変化の早さ
  • 重要な事が簡単にできる
  • 重要なことが安くできる

という点では人類史上比類なきツールだ。その結果安易に社会に受け入れられ、生活の中に溶け込んでいく。企業も同じである。ITの利用が企業の競争力を育み、将来の存在さえも左右することに疑念を持つ人はいないだろう。

私はだからこそ気になるのです。簡単に浸透することで、システムが機能不全になった時の代替手段を用意していないことや、ブラックボックス化したシステムの内部を誰も知らなくなっていることを気にしているのです。

 自己増殖する企業システムのお守りをする情報システム部門の、スキル的な弱体化は目を覆うばかりである。以前は企業内で収まったトラブルが連鎖的に外部のシステムにまで影響が及ぶ。いくつかの現場で既に問題として取り上げ提起されていることは知っている。

 また、問題は“ITの現場”だけにとどまらない。ITが経済や社会と密接に関わりあっている現在においては、ITへの認識不足はすなわち、世界そのものへの認識不足となって、企業経営から社会生活までを脅かす不安要素となり得る。

 私以外にも現状を憂慮して動こうとしている人もいるはずである。そのような声を一つにして世の中に警鐘を鳴らし、少しでも改善への道を開くことができれば喜ばしいことである。

 これらの問題をしばらく皆さんと一緒に考えてみたい。世の中、特に企業、公共システムに潜む脆弱性や反社会性などに着目してその実態や影響、ひいては解決の可能性にも触れてみたい。テーマごとの専門家を訪問して問題を探り、このASCII.jpを通じて皆さんに報告するつもりだ。その上で皆さんから御意見を賜れば幸甚である。

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