先生、質問です!
Q 今使ってるCPUにエラッタがあったらイヤだなあ……現在までにエラッタが報告されたCPUの一覧はどこかで見られますか?
A 実は、全てのCPUにエラッタが存在すると考えたほうがいい。ただ、ほとんどのエラッタは、ごく限られた条件でしか起きなかったり、プログラム側で容易に対処できるようなものが多いため、大きな問題にはならない。
CPUのエラッタに関する情報(エラッタリスト)は、各CPUメーカーがテクニカルドキュメント(技術文書)として公開している。例えばインテルのサイトにCore 2 Duoシリーズに関するテクニカルドキュメントがある。その中の「Specification updates」という項目のドキュメントにエラッタが詳しく記載されているのでチェックしてみよう。
最新トレンド:Phenomを買うときはモデルナンバーに注意
インテル製CPUでは、最近はあまり大きなエラッタが発見されることは少なくなったが、2007年11月に登場したAMDのPhenom(B2ステッピング)には、キャッシュの一種である「TLB」に関するエラッタが存在していた。高い負荷がかかった場合(確率は非常に低いが)、TLBのデータが壊れてしまうというものだ。
TLBのデータが壊れると、最悪の場合はシステムがクラッシュしてしまう可能性があった。そのためAMDはマザーボードのBIOSをアップデートし、TLBを無効にすることでこのエラッタに対処した。だが、TLBを無効にするとパフォーマンスが大きく低下してしまうという板ばさみにあったのだ。
TLBに関するエラッタは、次のステッピングであるB3ステッピングで修正されており、ようやく真の性能が発揮できるようになった。なお、B2ステッピングのPhenomはモデルナンバーの下2桁が「00」だったが、TLBエラッタが修正されたB3ステッピングでは下2桁が「50」になっている。
これからPhenomを購入する場合は、モデルナンバーの下2桁が50のものを選ぶようにしたい。
(次回「CPU編」最終回は10月17日開講予定です)
■ 著者紹介
石井英男(いしい ひでお)
テクニカルライター。東京大学大学院 工学系研究科出身。在学中に雑誌や書籍の執筆を始め、大学院卒業後、フリーライターに。パソコンのハードウェアをはじめ、ノートパソコンやPDAなどのモバイル機器を専門としている。
太田虎一郎(おおた とらいちろう)
漫画家。かわいいキャラクターとシュールな世界観の絶妙なミスマッチが特徴。漫画ファンを中心にコアな人気を誇る。代表作に『宇宙の法則 世界の基本』(コアマガジン)、『かるき戦線』(芳文社)など。
■ この講座について
「3分で分かるPCの基本」は、ほぼ毎週金曜日に更新です。第1シーズン「CPU編」は全13回の予定。全て読み終われば、ビギナーのあなたもPCマスター?!
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