日本を象徴する3枚の写真
チップチェイス氏は日本で既に8年間生活をしている。そこで、日本を世界に紹介するときの、象徴的な写真を3枚選んでもらった。
1枚目はトースターと木製の箸の写真。自宅ではイギリスのトースターと木製の箸を使っているそうだ。トースターに何かが詰まったとき、熱が伝わってこず、完璧にトースターの中を掃除できる木製の箸を重宝している。
「世界中で売られるトースターに木製の箸を付けるべきだ」とお気に入りの組み合わせだ。ただこの写真は、チップチェイス氏自身が、ヨーロッパ的な視点と日本的な視点で観察をしている点を紹介するのにぴったりな表現だという。
2枚目は渋谷の交差点を上から写したの写真。「Micro Coordination」とチップチェイス氏は表現するが、細切れの時間を非常に有効活用している都市生活がそこにある。
例えば90秒間の信号待ちの間に、電話をする人もいれば、待ち合わせのメールを返す人もいる。あるいはライブのチケット予約をしたり、CDを買ったり。過密な都市構造でも、交通機関が正確に動いているため、数分、数秒の細切れの時間を大切にする傾向が生まれていると分析する。
3枚目は居酒屋の料理の写真。ここで表現しているのは、日本人の気遣いだ。大皿で料理を取ったときに、周囲に遠慮して最後に残った料理を取らない人が多い。これだけ過密に動いていながら、日本人は非常に周囲にも気遣いがある人たちだと感じているそうだ。
これらから、非常に細かい部分にも十分な注意を向ける日本の文化性を感じている。ケータイのデザインにしてみても、ちょっとした角度や素材、表面のテクスチャ-に至るまで、デザイナーだけが知っているような点にも目を向けるほど、日本の消費者の目はとても厳しいことを示している。
「それら細かなこだわりがノキア製品にも反映されている。ノキアユーザーはそんな細部を評価しているのではないか」とチップチェイス氏は語った。