次世代アキバは「ライトSM」が来るっ(かも?)
最後は「未来のアキバ像」についてだ。
これはASCII.jpの担当編集Hの言葉だが「昔の秋葉原は、ソコで何かモノを買って自宅に帰ってから楽しむものだった。でも今のアキバは、アキバで時間を消費する街になっている」という。素晴らしい視点! 確かにメイド喫茶をターニングポイントにして、時間を消費するエンターテインメントが充実してきている。
それを踏まえて筆者が予測する次世代のアキバ像は、
ラ イ ト S M の 街 で あ る !
もちろん縄やローソクのアレだ。色々法的な問題もあるが、裏の多いアキバである! なんとか合法の範囲内でできるに違いない!
そもそもアキバに集まるヒトは、スイッチをいじるといちいち反応することに興味を抱くヒトが多い。家電やAV機器にしても、電子工作やパソコン、ロボットにしても、
自分が思い通りにコンロトールできることに至福の喜びを感じる人種だ。
強いては美少女ゲーやアニメも同じ。劇中の女の子はかなりコントローラブルで、自分を好きになってくれたり、攻略できたり、モテモテのハーレムになる。ところがどっこい実際の女の子は、フラグすらアナログで、途方もない種類のパラメーターと、排他関係の山、ヤマ、やまである。もはや攻略するための解析は不可能。アンコントローラブル! だからなかなか取っ付き難い(笑)。
ところがライトSMというプラットフォームに乗ってしまえば、SとMの関係をキッチリ役割分担が可能。コントローラブルなものが大好きなマニアはSを、女の子がM役を演じれば、バシーッ!っと両者の利害を一致させた、最高のエンターテインメントになる。
男がMでもOKだ!
一方最近アキバに流れ込んでいる若者層は、かなりMッ気があると睨んでいる。「美少女戦士セーラームーン」以来、強い女の子が戦うアニメが頻繁にオンエアされ、これに共感するマニアが非常に多いっ!
昔の男の子向けアニメはヒーローが困難に打ち勝つモノ、女の子向けアニメは白馬に乗った王子様が自分を助けてくれるモノと相場が決まっていた。だが深夜枠を始めとする番組の多くは、ヒーローが困難に打ち勝つなんで熱いストーリーは好まれず、「いつか妹や幼なじみが空から降ってきて甘い同棲生活できるかなぁ☆彡」って感じだ。主人公の男は受動的な位置づけで、活躍したり戦うのは女の子なのである!
なにより、メイド喫茶のイベント「萌え萌えじゃんけん」※1やら「ツンデレ喫茶」※2は、一般人にとってはかなり羞恥プレイ。それを嬉々として参加するマニアは絶対Mに違いない!
※1萌え萌えじゃんけん 珍妙な踊りをしたあとにじゃんけんをする遊び。店内にいるヒトは全員強制参加
※2ツンデレ喫茶 来店するとかなり邪険に扱われ、帰ろうとすると甘えられるという、メイドさんならぬ妹(ウェイトレスさん)がツンデレのお店
こんなMッ気のマニアにもライトSMというプラットフォームは有効だ。お客さんは執事となり、店のわがままなお嬢様たちに従事する。ときには罵られ、ときには無理難題を押し付けてくるお嬢様をなだめて楽しむのである! お金を払って奉仕させていただく!
古田氏は、望むアキバ像について「いろんなジャンルが入ってきてしまうと個性が薄まってしまう。でもアキバは何かしら尖っていてほしい」と言っていた。ソフトSMも尋常じゃなく尖っていると思うが、その場にいた誰も賛同してくれなかったことを付け加えておこう。
「それでも地球は回っている」でおなじみのガリレオをはじめとした偉人がそうであったように、時代の最先端を行く筆者の考えは、並の人間には理解できないのである。
藤山哲人
心はいつも18歳。フリーのライター兼プログラマー。最近はフィギュアパンツ鑑定士(1級)としても有名。好きな女性のタイプは、妹系メガネっ娘ツンデレ。著書としてダメ人間を露呈する「萌える聖地アキバ 秋葉原マニアックス」(毎日コミュニケーションズ)「メイド喫茶制服コレクション」(竹書房)などがある。ただバランスよく「Excel VBAコントロール&フォーム活用術」(日経BPソフトプレス)や「TMPGEnc 4.0 XPress オフィシャルガイド」(アスキー)、翻訳&書き起こしの「ROBOT D.I.Y. ホームセンターの材料で作る遠隔操作ロボット“TeRK”」(毎日コミュニケーションズ)などもやって真面目さもアピール。
古田雄介
アキバ電気街&量販店やネット事情のレポート、アングラ情報の分析などを得意とするデジタル&サブカルライター。ITmediaやASCII.jpなどのネットメディアに連載を持つほか、週刊アスキーや週刊SPA!などにも執筆している。明治3年〜終戦頃の古銭が好き。