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誰も知らないITの未来 第3回

LUNARR高須賀 宣 vs UEI清水 亮 ガチンコ放談 最終回

技術者社長「次に来るのは“AR”とマルチタッチ」

2008年07月07日 04時00分更新

文● 二瓶 朗

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「わからない」ところにチャンスがある


高須賀 僕がサイボウズを始めるときも、同じような感じだったんですよ。「なんで? なんでみんなここやらないの?」と思ったのでWebアプリで使えるグループウェアを開発しようと思い立ったんです。
清水 「ここ空いてるのにいいの?」みたいな感じですよね(笑い)。

2002年の「サイボウズAG」の発表会にて

2002年の「サイボウズAG」の発表会にて。当時サイボウズCEOの高須賀さん(右)

高須賀 そのとき、松下電工の社内ベンチャーにいたんですけど、そこでそれを提案をしたとき周りの反応があまりに普通だったんですよ(笑い)。僕は「こんなにすごいことなのに!」と思っていたのに。「ふーんやってみてもいいんじゃないの?」という冷めた反応だった。だから思い切って辞めて自分で会社を始めちゃった(笑い)。
清水 それは困った人だ(笑い)。でも気持はわかりますね。
高須賀 僕はね、みんなが「OK」って言っちゃうと逆に懐疑的になっちゃうんです。もちろんみんなが「ダメ」って言うのはもちろんダメなんだろうけど、やっぱり半分ぐらいで反対されてみないと。でも、自分としては成功する自信と確信があれば、そこであらためて「やってみよう」っていう気持になるんです。
清水 僕もそうですね。新しいことをしようとしたときにみんなが賛成すると、気持ち悪くなっちゃってやめてしまう。
高須賀 それ正解ですよ(笑い)。誰もがわからないところにチャンスがあるんであって、みんながハイハイと賛成するものには不確実性がないじゃないですか。そういうものにはきっとワナがあるに違いないと。
清水 マルチタッチにはそのわからないところがまだたくさんあると思うんです。そして、マルチタッチの場合、いまのところ持っている人が少ない。かといって、作る気概のある企業もそんなにない。ウチは作ってしまったんですけどね。そして、自分で作ってから初めてわかることもたくさんあるんです。

マルチタッチの次世代オフィス環境の実験のために、UEIで製作した「UEsurface」

マルチタッチの次世代オフィス環境の実験のために、UEIで製作した「UEsurface」。ガラステーブル状のディスプレイに直接触れて操作することによって、身体的なユーザーエクスペリエンスの提供を実現する

高須賀 なるほど。
清水 例えば、マルチタッチの処理ってやっぱりけっこう大変で、5点同時に認識できるんだけどいったいそれで何をしたらいいの? とか。手の向きを判別する手段にしたり、手の重心を求めてみようかとか、1つ1つ丁寧に試行錯誤していくと、わからないことがわかってくるんです。マシン語を学んでみて、初めてPCの中身を理解できるのと同じ感覚かもしれませんね。
高須賀 そうですね。
清水 マルチタッチの中身を知ったところで、4手、5手先を見てモノを作っていく、ということが重要だと思っているんです。この先には必ず何かあると思っているんです。まだそれが明確にはなっていないんですけど、ぜったい今後面白くなるのはマルチタッチ。カンブリア紀みたいにいろいろなモノが出てくると思いますよ。ゲームに限らずビジネスアプリも登場すると思いますし。
高須賀 おもしろそうですね。

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