ASCII.jpヘッドホン研究所 第10回
ASCII.jpヘッドホン研究所
カナル型の手軽さでノイズキャンセルを楽しむ――オーディオテクニカ「ATH-ANC3」
2008年05月29日 10時00分更新
Audio Check!
音質は連載で常用している再生環境(第3世代iPod nano)でAppleロスレス形式の音楽ファイルを試聴して音質を確認した。
ノイズキャンセルのオン/オフで音質、特に低域の感触が異なるが、今回チェックしたのは、主に使われるであろう電源オン状態での音質である。
まずはジャズの女性ボーカル、Jacintha「Lush Life」から試聴開始。
意外なことに、ウッドベースは厚く量感たっぷり。同社の従来製品では、“低域は分かりやすい量感よりも描写の質を優先している”という印象だったのだが、本機の低音は分かりやすくずしんと重いのだ。ノイズキャンセルの効果と合わせて、屋外でもベースの重量感を楽しめる。
その一方で、同社らしい音場のクリアさや見通しの良さは、同社の高級モデルには及ばない。屋内で聴き込むと、シンバルの響きの鋭さや粒子感の細やかさなどが、もう一歩欲しくなる。繊細さよりも厚みやパワー感が重視されている印象だ。
続いてロック系のRed Hot Chili Peppers「Stadium Arcadium」を試聴。スラップベースのドライブ感を強く押し出したパワフルな再生だ。圧縮感のある歪んだギターの音色も美味しさも引き出してくれる。個人的にはだが、こちらはそもそもあまり繊細に再生されなくてもよいソースなので、解像感などの細部は気にならなかった。
ノイズキャンセルイヤホンなのだから当然ではあるが、本機はやはり、屋外の騒音下での利用を想定して、そこで力を発揮するようにチューニングされているのだろう。屋内で聴き込むと弱い点もあるが、屋外ではノイズキャンセルの効果と合わせて、印象はずいぶんとよくなる。
総合評価
屋外リスニングにおけるノイズキャンセルの有効性は、改めて言うまでもないだろうし、音質的にも、携帯音楽プレーヤーに付属する一般的なイヤホンと比べれば、明確な向上を得られる。普通のイヤホンのルックスと使い心地を保ったまま、通勤・通学時など騒音の多い環境での実用上の再生音質を高められる、実用的な製品だ。
ATH-ANC3 製品情報 | |
---|---|
製品名 | ATH-ANC3 |
ドライバー | ダイナミック型(直径12.5mm) |
感度(音圧レベル) | 104dB/mW |
再生周波数帯域 | 15Hz~22kHz |
インピーダンス | 90Ω(ノイズキャンセル使用時)、16Ω(未使用時) |
入力コネクター | 3.5mmステレオミニプラグ(金メッキ) |
ケーブル長 | 約1.0m |
質量 | 約25g(電池別) |
バッテリー駆動時間 | 約50時間(単4アルカリ乾電池 使用時) |
付属品 | イヤーピース(S、M、L)、延長コード(0.5m(、航空機用変換プラグアダプター、専用キャリングケース |
価格 | オープンプライス(予想実売価格 1万2800円) |
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