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ASCII.jpヘッドホン研究所 第8回

「騒音99%カット」の実力は?――ソニー「MDR-NC500D」

2008年04月24日 10時00分更新

文● 高橋 敦

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 一昔前は米BOSE社の独壇場と言えた“ノイズキャンセリングヘッドホン”分野だが、現在は各社から様々な製品が投入されており、その選択肢は広がっている。もはや、単にノイズキャンセリング機能を備えるだけでは、抜きん出た特徴にはならない。

MDR-NC500D

ソニー「MDR-NC500D」。通常のヘッドホンと比較しても特に大柄だとかいうことはなく、違和感はない。接続されているのは、付属の電池ケース(右)。ヘッドホン本体にもリチウムイオン充電池が内蔵されているが、これが電池切れを起こした際などに使う

 そんな市場に新たに投入されたのが、ソニー(株)の「MDR-NC500D」。そのキャッチコピーは「世界初のデジタル信号処理方式ノイズキャンセリング」と、「周囲の騒音を約99%低減」という派手なものだ。さて、それに見合うだけの実力を備えているのだろうか?


Point 1 デジタル方式ノイズキャンセリングとは

 NC500Dのノイズキャンセリングの基本的な仕組みは、まず、ハウジング内部の耳元に近い位置に検出マイクを設置して騒音を集音。その騒音を解析して、騒音と逆位相の音声信号=キャンセル信号を生成、騒音を相殺する。基本原理は従来のノイズキャンセルと同様だ。

 今回“デジタル化”されたのは、マイクで拾った音声信号からキャンセル信号を生成する際に要となるフィルター回路だ。この回路の役目は、マイクで拾った音から適切な周波数のみを取り出す(ハウリングを起こすような周波数をカットする)ことにある。

デジタルノイズキャンセリングの仕組み

デジタルノイズキャンセリングの仕組み(MDR-NC500Dスペシャルサイトより引用)

 フィルター回路は従来アナログで構成されていたが、アナログによるフィルターは“狙った帯域だけ”をすぱっとカットすることが難しい。その点デジタルフィルターならば、ピンポイントでカットできる。つまり、より正確で精密なフィルタリングが可能となり、引いてはノイズキャンセリング性能や音質に直結するのだ。

 さらに、フィルター回路のデジタル化によって、周囲の騒音の性質に合わせてフィルター特性を変更することも可能となった。それを活かした機能が「AIノイズキャンセリングモード」である。

右ハウジング下のスイッチ類

右ハウジング下には、モニター(一時消音)、電源、「AIノイズキャンセリングモード」のスイッチが用意されている

 「航空機内」「電車・バス車内」「室内」という3種類のフィルターモードが用意されており、右側ハウジングにあるボタンを押すことで、周囲の騒音に最適なモードが自動選択される。それによって、それぞれの状況で最適のノイズキャンセリング効果を得られる。


Point 2 音質や装着感にもこだわり

マグネシウム製で軽量なハウジングとハンガー

ハウジングとそれを支えるハンガー部分は、マグネシウムを用いて軽量化されている

 音質に関わる面では、デジタルイコライザーによる音質補正が行なわれていることもポイントだ。ノイズキャンセリングヘッドホンは、ノイズキャンセリング処理の影響で音質に癖が残りやすい。そこをNC500Dでは、高精度のデジタルイコライザーで補正しているという。専用に開発されたドライバーユニットとの相乗効果が期待できる。

 装着感もよい。マグネシウム素材の採用などにより、電池内蔵の割に軽量。イヤーパッド素材や側圧の調整などのおかげか、装着しても圧迫感は少ない。数時間装着し続けたが、ストレスを感じなかった。

付属の1.5mコードを取り付けた装着状態

付属の1.5mコードを取り付けた装着状態

電池ケース付きコードを取り付けた装着状態

電池ケース付きコードを取り付けた装着状態

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