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ASCII.jpヘッドホン研究所 第6回

ロックを疾走させるイヤホン ブイ・モーダ「v-moda vibe v2」

2008年03月13日 13時00分更新

文● 高橋 敦

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 今回取り上げる「v-moda vibe v2」は、フォーカルポイントコンピュータ(株)が国内で販売する、米ブイ・モーダ社のイヤホン「v-moda」シリーズの中でも、密閉カナル型最上位機種の、いわば“Version. 2”モデルである。Version. 2と言っても既存モデル「v-moda vibe」を置き換えるものではなく、それと併売されるバリエーションモデルの扱いとなっている。既存モデルと比べると低域の再現力を増し、ボリューム感を強めたモデルとのことだ。

ブイ・モーダ「v-moda vibe v2」(ガンメタルブラック)


Point 1 不純物ゼロの音のために

 v-moda v2のキャッチコピーは「不純物ゼロの音」。“雑音は極限まで少なく、原音に極限まで忠実に再生する”との意味合いだ。それはいくつかの要素から実現されている。

アルミ合金製の密閉型ハウジング

アルミ合金製の密閉型ハウジング。ジェットエンジンを想像させるメカニカルで緻密な外観も同シリーズの特徴

 ひとつめの要素は、密閉カナル型構造。近年はカナル型でも完全な密閉構造を採用せず、半開放型的なアプローチの製品も多い。どちらが良い悪いではないが、遮音性・音漏れ防止の面では密閉型が優れる。その密閉型ハウジングがアルミ合金による堅牢なものである点も、不用意な共振を生まないということで音の純度を高める要素となっているだろう。

 もうひとつ、ドライバーユニットに採用されているネオジムレート・レアアースマグネットもポイントであると思われる(ブイ・モーダ社サイトでの表記は「9mm neodymium rare-earth magnet」)。強力な磁石による駆動力は、入力信号に忠実な再生のためには不可欠。ネオジム磁石を採用したドライバーユニットは、v-modaの音の鍵となっているはずだ。


Point 2 オプションでフォームイヤーパッド

Comply フォームイヤーパッド for v-moda

ソフトな耳栓タイプの別売りイヤーパッド「Comply フォームイヤーパッド for v-moda」。さらに高い遮音性を求めるなら同時に購入して損はない

 今回はオプションの「Comply フォームイヤーパッド for v-moda」(関連記事)も一緒に試すことができた。

 本体付属のシリコン製イヤーパッドでも、特に不満は感じない。装着感も悪くないし、本体の密閉構造と相まって遮音性も確保されている。例えば室内の空調の音などはかなり抑え込める。

本体付属のイヤーパッド

本体付属のイヤーパッド。左がクリアシリコン、右はブラックシリコン。それぞれS/M/Lの3サイズが付属する

 一方、フォームイヤーパッドは低反発特殊ポリウレタン製で、押し潰してから耳に入れると耳の中で元に戻ってぴったりフィットする。そのフィット感は実に快適で、耳が疲れにくそうだしイヤホンのぐらつきもなくなる。もちろん遮音性も高まり、HDDの回転音など細かな騒音はほぼ完全にカットされた。

 使い勝手の面で付け加えておくと、ケーブル長はiPodなどの本体に直接つなげやすい長めのサイズ(111.5cm)。ケーブルが余ったときのためのワインダー(ケーブル巻付器)も付属しており、気が利いている。ただイヤホン本体は左右同形状なので、装着時にはハウジングを見て左右の確認が必要だ。

ケーブル長は長め。付属のワインダーで長さを調整しよう

ケーブル長は長めなので、付属のワインダーで長さを調整して絡まりなどを防止しよう


Audio Check!

 連載で常用している再生環境(第3世代iPod nanoもしくはAirMac Express+DAC/ヘッドフォンアンプ izo iHA-1A)でAppleロスレス形式の音楽ファイルを試聴した。

ケーブルは特に耳の上に回すなどの必要はない

ケーブルは特に耳の上に回すなどの必要はなく、装着の手間は少ない

 フォームイヤーパッドを装着し、ジャズボーカル、Jacintha「Lush Life」から聴き始める。ウッドベースの重みが存分に引き出されており、曲全体の腰が低く安定感がある。シンバルの粒子の細かさ、声の肉感なども申し分ない。遮音性が高いので微細な音までしっかりと聴き取れる。空間の自然な広がりが多少損なわれてしまうのは密閉型の宿命だろう。そこは遮音性や低域の重みと引き換えということでやむをえまい。

 FAKiE「To The Limit」は女性ボーカルとギターのデュオ。まずギターの胴の響きが厚く、眼前で聴くような迫力がある。アタックも鋭さや速さより重みの方のインパクトが強い。「カミソリかナタか」と言えば後者の切れ味だ。声の伸びやかさも心地よく、全体に生々しい描写と感じた。

 マッチしそうだと感じたので、Deep Purple「Made In Japan」も聴いてみたところ、これとの相性はやはり抜群だった。ベースとドラムは重量感とスピード感を合わせ持ちドライブしまくる。ギターのクリアな歪み方にキーボードの厚みもイメージ通りだ。

 続けてサンボマスター「音楽の子供はみな歌う」も聴いてみたが、こちらも特にリズム隊(主にリズムやビートを担当する演奏者)のドライブが心地よかった。ロック系との相性は全般によさそうだ。

 なお、イヤーパッドをシリコン製の適当なサイズのものに変えてみたところ、低域の重みがやや薄れるといった変化があった。しかし低域はそれでも十分以上に厚い。遮音性との兼ね合いも考慮しつつ、好みで選べばよいだろう。


総合評価

 中低域のドライブ感をぐぐっと引き出す。vibe v2で一番印象的だったのはそこだ。ロック系の曲を疾走させる力、爆発させる力を持っているイヤホンである。

 フォームイヤーパッド利用時には遮音性も特に高まり、低域の強さもあって、街中や電車内での利用でもボリュームを上げずに音楽を楽しめるだろう。高音質かつ耳に優しいイヤホンだ。

付属品一式

付属品一式。シリコンパッドは2色が用意されているので好きな方を選べばよい

v-moda vibe v2 製品情報
製品名 v-moda vibe v2
ドライバー 9mm ネオジムレート・レアアースマグネット
音圧感度 92dB/mW
再生周波数帯域 12Hz~22kHz
入力コネクター 3.5mmステレオミニプラグ(金メッキ)
ケーブル長 約1.115m
質量 約12g
付属品 modawrap(ケーブルワインダー)、クリアシリコンイヤーパッド 3サイズ、ブラックシリコンイヤーパッド 3サイズ、ポーチ
価格 オープンプライス(直販サイト「Focal Store」での価格は1万4800円)
発売時期 発売中

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