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ASCII.jpヘッドホン研究所 第3回

ノイズキャンセルと音質補完技術 クリエイティブ「Aurvana X-Fi」

2008年01月23日 10時00分更新

文● 高橋 敦

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 1~3万円クラスのセミ高級ヘッドホン・イヤホンについてレポートする連載『ASCII.jpヘッドホン研究所』。第3回はクリエイティブメディア(株)のノイズキャンセリングヘッドホン「Aurvana X-Fi」(アルバナ エックスファイ)を取り上げる。

Aurvana X-Fi

「Aurvana X-Fi」。大口径(40mm)ドライバー採用なので、それなりに大柄ではある

 パソコン用オーディオパーツから携帯型プレーヤーまでを手がけるクリエイティブメディアは、近年イヤホン/ヘッドホンのラインナップも充実させてきている。ノイズキャンセル機能に加えて、同社独自の高音質化技術「X-Fiテクノロジー」も搭載したこの「Aurvana X-Fi」は、そのフラッグシップにあたる製品だ。同社ヘッドホンの実力を探るにはうってつけのモデルと言える。


Point 1 遮音性&ノイズキャンセル


 製品の売りのひとつであるノイズキャンセル機能から見ていこう。

 密閉型ハウジングを採用したうえ、大きめで厚いイヤーパッドで耳をすっぽり覆う形状となっていることから、ノイズキャンセル以前に基本的な遮音性が高い。基本的な遮音性が高ければ無理なノイズキャンセルを行なう必要はなくなり、音質的に有利となることは想像できる。

 ノイズキャンセルをオンにすれば、その効果は明確だ。エアコンやパソコンの動作音などはノイズキャンセルオフでも抑え込まれていたが、オンにすると意識しなければほぼ聴こえなくなる。「雑音抑圧度 最大約90%」という仕様表記は伊達ではない。


Point 2 使いやすさも文句なし

トラベルケースが付属

航空機用アダプターなど、付属品一式もまとめて収納できるトラベルケースが付属する

 スイッチ類はすべて右側ハウジングにまとめられており、慣れれば手探りで操作できそうだ。操作性、使い勝手の良さもよく考えられているように思える。

右側ハウジング

右側ハウジング。電源、音量、ノイズキャンセルと、後述する2種類のX-Fiのオン/オフスイッチが用意されている

 またケーブルは根元から取り外せる。これは何のためかというと、音楽再生は行なわずノイズキャンセル機能だけ使いたいというときのため。その場合にはケーブルは不要なので、取り外せるということだ。これならケーブルが邪魔になることはない。

 プラグ部の形状が非常にスリムになっているのは、イヤフォンジャックが奥まって設置されているiPhoneにも接続できるようにという配慮からだ。iPhone自体は今のところ国内ユーザーには無関係だが、スリムジャックの採用は取り回しがよくなるので歓迎したい。

取り外し可能なケーブルも右側に設置

取り外し可能なケーブルも右側に設置。ケーブルが右出しというのは珍しい気もするが、スイッチ等を右側にまとめるという意図だろう


Audio Check!


 まずは連載で常用している再生環境(第3世代iPod nanoもしくはAirMac Express+DAC/ヘッドフォンアンプ izo iHA-1A)でAppleロスレス形式の音楽ファイルを試聴した。

装着状態。右側ハウジング上のボタンには青色LEDが埋め込まれている

装着状態。右側ハウジング上のボタンには青色LEDが埋め込まれており、各ボタンがオン状態で点灯する

 まず電源オフの状態で聴いてみると、腰の落ちた安定感があり重みのある音場だが、全体に曇りがある

 だが、電源をオンにすると中高域が華やかさを増してその点は改善される。しかし今度は低域の重みが薄れる。なお、ノイズキャンセルのオンオフでは音質にそれほど大きな影響は出なかった。

 そこで「X-Fi Crystalizer」の出番だ。本来は音声圧縮で失われた高域・低域を補間するという役割だが、劣化なしのロスレス音源に対しても大きな効果を発揮した。

 ウッドベースは重みが甦るだけでなく、輪郭も強さを増してフレーズが明瞭に。エレクトリックベースのラインも躍動感を増す。かなりの音が重ねられているJUDY AND MARYの「ひとつだけ」でも、それらの音のひとつひとつを聴き取れるだけの解像感がある。

 シンバルの響きなど高域も良くはなるが、中低域が活力と明瞭度を増すことの方が印象的だ。この手の音質補完機能にありがちな厚化粧っぽさもあまりない。X-Fi Crystalizerは常用するのがよさそうである。

 もうひとつのX-FIである「X-Fi CMSS-3D」はいわゆる疑似サラウンド技術ということで、Blu-rayディスク(BD)タイトル「イノセンス」を試聴してみた(BDレコーダーで再生して、テレビのイヤホン端子から本機に接続)。

 X-Fi CMSS-3DはBDタイトルに収録されている5.1ch音声を再現するものではなく、2chのステレオ音声をサラウンド風にするタイプなので、“いかにもサラウンド”というような派手な利き方はしない。しかし、音場を違和感なく自然に広げた


総合評価

 ノイズキャンセルもX-Fi Crystalizerも、狙い通りの明確な効果を発揮してくれて「売り文句に偽りなし」と評価できる。

 “ノートパソコンでDVDを見ることが多い”という人には、ノイズキャンセルで騒音を消してX-Fi CMSS-3Dでサラウンド感を加えるという使い方も実用的だろう。

Aurvana X-Fi 製品情報
製品名 Creative Aurvana X-Fi
ドライバー 40mmネオジウムマグネット×2
感度 105dB/mW(電源オン時)、95dB/mW(電源オフ時)
再生周波数帯域 20Hz~20kHz
インピーダンス 450Ω(電源オン時)、72Ω(電源オフ時)
入力コネクター 3.5mmステレオミニプラグ(金メッキ)
ケーブル長 約1.5m(取り外し可能)
電源 単4電池×2
バッテリー駆動時間 ノイズキャンセル使用時最大20時間、X-Fiテクノロジー使用時最大9時間(アルカリ電池使用)
質量 約245g(ケーブル除く)
付属品 1.5m 入力ケーブル、1.5m 延長ケーブル、6.3mmステレオプラグアダプター、航空機用アダプター、トラベルケース、単4電池×2、ユーザーズマニュアル
価格 オープンプライス(直販サイト価格 2万9800円)

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