米国を始め、海外でも人気の高いプラダブランドのケータイが日本に上陸する。
「PRADA phone by LG」は、アップルの「iPhone」より少し早い2007年3月、欧州で登場したのを皮切りに、すでに世界40ヵ国以上で販売が行なわれているファッションブランドケータイだ(関連記事1、2)。
海外版は日本の無線通信方式とは異なる「GSM」端末であったため、国内では使えなかった。日本では、NTTドコモが「L852i」という型番で6月にリリースする。国内のファンにとっては、待ちに待った登場だろう。
PRADA phoneを製造しているのは韓国LG電子だ。LG電子は、ちょうど日本でもドコモの「70x」シリーズから端末を提供し始めたメーカーでもある。そんな彼らが日本向けにリリース新機種こそ、第3世代(3G)版の新しいPRADA phoneなのだ。
変遷するケータイのブランド
昨今の日本で「ブランドケータイ」と言えば、大画面テレビのブランドが多い。そのトレンドを牽引したのは、シャープの「AQUOSケータイ」だった。続いて「VIERAケータイ」「Woooケータイ」「REGZAケータイ」など、テレビを作っているメーカーがそのテレビのブランドを冠したワンセグ端末を発売している。
時代をもう少しさかのぼると、ケータイで使われるブランド名は時計だった。最も有名なのは、カシオの「G-SHOCKケータイ」だ。G-SHOCKと言えば、カシオの人気スポーツウォッチシリーズで、頑丈、防水というタフさがイメージとして定着している。
同じブランド名のケータイもこれに応えるべく、2005年にリリースした「G’z One Type R」では、カメラと防水を両立。G-SHOCKらしい時計やストップウォッチの動作をする丸形のサブ液晶を備えて、G-SHOCKの世界観をケータイで実現した。
G’z One Type Rは、発売からすでに3年が経過し、カシオとしても防水対応の最新モデル「W61CA」を発売している(関連記事)。しかしそれでもG-SHOCKらしさを思い切り醸し出しているG’z One Type Rを好んで、いまだに気に入って使っているユーザーは見受けられる。
ブランドとのコラボレーションに積極的なケータイ事業者は、ソフトバンクモバイルだ。2007年の販売台数ナンバー1である「812SH」は、色見本で知られる米PANTONE(パントン)と協業して、これまでのケータイではあり得ないほど多くのカラーバリエーションを用意した。また「fanfun.」の愛称が付く「815T」では、アニメなどを中心としたキャラケータイを展開している。
このように、日常品であるケータイに、他の日常、もしくは非日常を演出してくれるブランドを付加することによって、ケータイが持つストーリーをより厚く、そしてより熱くすることができる。ユーザーも、その世界観にぴったり合えば、新しい他のケータイを横目にしながらも、とにかくそのケータイを愛して使うことができる。これこそがブランドケータイの魅力である。
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