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デジタル3Dが描くリアルな未来世界とは!!

【インタビュー】ディズニー最新アニメ「ルイスと未来泥棒」に見る新表現

2008年01月13日 12時00分更新

文● 千葉英寿

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3Dのチップとデールが同時上映


 本作は、2005年12月に公開された「チキンリトル」、2007年のハローウィンに公開された「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス3D」に続き、“ディズニー・デジタル3D”によるデジタルシネマの3D上映が行なわれている。

ルイスと未来泥棒

(C) DISNEY ENTERPRISES. ALL RIGHTS RESERVED.

 チキンリトルの公開の際には、シネマイクスピアリとワーナーマイカルシネマズ(WMC)多摩の2館のみでの上映となったが、その後WMCでは浦和美園、港北ニュータウンの2サイトに3Dシステムを導入していた。今回、WMCがディズニー・デジタル3Dのベースとなっている米REAL D社の3Dシステムを一挙に18サイトで導入し、さらに新宿バルト9をはじめ、ティ・ジョイ系列館などがディズニー・デジタル3Dと互換性のある米ドルビーラボラトリーズ(Dolby Laboratories)社の3Dシステムを導入したことで、「ルイス~」のデジタル3D上映劇場は全国で30館と大幅増になった。

 筆者は今回の「ルイス~」のデジタル3D上映に際して、WMCのデジタル3D上映館のひとつで、2007年にオープンしたばかりのWMC羽生でディズニーデジタル3Dによる上映を体験してきた。同館では本作品のほかに「ベオウフル」も上映されている。チケットは通常通りにチケットカウンターで購入するのだが、デジタル3D上映は特別上映となるため高校生以上が2000円、中学生以下やシニアなどは1400円となっていて、各種割引は適用できず、若干割高な印象は否めない。また、前売り券の利用に関しては基本的に差額分を窓口で支払うことになる。

専用3Dグラス

チケットと一緒に渡された専用3Dグラス

 チケットを購入するとREAL Dのロゴが入った専用3Dグラスが手渡される。清潔に保つように袋にパッケージされた3Dグラスは、ほとんどサングラスのようなつくりになっており、そのまま町中でかけて歩いてもあまり違和感がないようなデザインだ。これまで3D上映と言えば、青と赤2色の不格好な3Dメガネ(場合によっては紙でできていたりする)をかけ、フィルム上映の場合は上映機材も左右2台のプロジェクターが必要だったりと、大変不便なものだったが、ディズニーデジタル3Dの場合、専用の3Dグラスに加えてDLPプロジェクター1台で上映可能としている。

REAL Dのロゴが入った専用3Dグラス

 上映に際しては、特に3D上映などのアナウンスはなく、通常上映どおりにCMや予告編の上映などが行なわれた。筆者はいつ3D上映が始まってもいいように、予告編終了後にはすぐにメガネの上に3Dグラスを装着したが、上映開始のディズニー作品の冒頭に出てくるシンデレラ城のタイトルロゴに出てくる「Disney」の文字がすでに3Dとなっており、画面から若干飛び出して見えるものとなっていた。

 「ルイス~」の通常上映では「ミッキーの造船技師」が同時上映となっており、本編の上映前に同作品が上映されるが、3Dバージョンではチップとデールが主役の「リスとピーナッツ」(原題:Working for Peanuts)が上映された。同作品は1953年制作のディズニーの古典的な名作短編だが、元々3D作品として制作されたもので、今回デジタル3Dとして本邦初公開となった。同作品は通常の上映で多くの方が何度も見ている作品ではあるが、3D化で新鮮な驚きを持って観ることができた。

 続いて「ルイス~」の本編に入る前に、同作品に登場するキャラクターであるロボットのカールが登場し、3D上映が始まることを告げると、本編がスタートした。当然のことながら、3Dによる迫力ある立体映像は通常の映像とはかなり印象が異なるため、若干の“慣れ”が必要だが、以前の3D上映のように長時間観ていると目が疲れたり“めまい”がするといった、いわゆる3D酔いのような症状がおこることはなかった。先に上映された短編では前/中/後といった具合に平面を重ね合わせた立体化で3D表現されていたが、「ルイス~」では無段階的なスムーズな3D表現が実現しており、3Dで観ていることに違和感がなく、後半に行くに従い、3Dで観ていることすら意識しなくなるほどだった。



米国でも3D上映が勢いづいている!


 ここ数年、米国ではデジタル3D上映が強力に進められている。1999年6月に世界で初めて「スター・ウォーズ エピソード1」がデジタル3D上映されたのを皮切りに、DLPプロジェクターを使ったデジタル3D上映は「オペラ座の怪人」や「コラテラル」などの実写作品や、「シュレック」シリーズなどのディズニー作品以外も上映され始めている。ディズニーの米国での3D上映の取り組みについて、マッキム氏は「『チキンリトル』の時は全米で80館程での上映だったのですが、今回の『ルイス~』では600館に増えており、米国での3Dシネマはかなり勢いづいていると言えるでしょう」と米国の3D上映の状況を説明してくれた。

 さらに3D上映ならびに3D作品の制作に対するディズニーの今後の取り組みについて、「今後、3年から5年で3Dはもっと増えてくることになります。現状、3D化の作業は外注していますが、次回の3D作品である『ボート』(米国で今年11月公開、日本公開は2009年春予定)では内製する予定です」と、ますますデジタル3Dに注力していくことを明言している。

 ウォルトディズニースタジオでは、マッキム氏が言及したアニメ作品「ボート」のほかに、ティム・バートン監督が「不思議の国のアリス」を映画化する「Alice in Wonderland」や、「ポーラーエクスプレス」などライブ3Dの制作には人一倍力を入れているロバート・ゼメキス監督によるディケンズの「クリスマス・キャロル 3D」、ディズニー/ピクサーによる大ヒットシリーズの第3弾「トイ・ストーリー 3D」なども予定されており、デジタル3Dシネマはますます普及が進みそうだ。


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