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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第8回

VIERAが変える「ケータイでテレビなんて」の不満「P905i」

2007年12月07日 19時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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高解像度ディスプレーがアダとなる


 まず画質が悪いという点は、複雑だ。

 ワンセグの映像は、解像度が最大320×240ドット(4:3)か320×180ドット(16:9)、フレームレートが毎秒最大15コマという仕様になっている。

訂正とお詫び:記事掲載時、ワンセグの仕様に関する記述に誤りがあったため、当該箇所の修正を行ないました。(12月8日)

 特にフレームレートが一般的なテレビ放送(毎秒約30コマ)の半分という点は気になるところで、スポーツ中継などの動きの速いコンテンツでは、カクカクとした動きになってしまう。先日、ワンセグでフィギュアスケートを見たときは、雰囲気は伝わってくるのだけれども、やっぱり美しい演技を楽しむまでには至らなかった。

 解像度では、ケータイにおけるディスプレーの解像度が上がってきた点が懸念材料だ。現在のワンセグケータイのスタンダードな解像度は、400×240ドットのWQVGAサイズとなっている。さらにドコモの最新モデルである「905i」シリーズの多くは、854×480ドットのWVGAサイズにまで拡大している。

 しかしワンセグの解像度は最大320×240ドットのままだ。しかも地上波デジタルのサイマル放送を行なっている場合、多くの映像が16:9で送られてきて、この場合は320×180ドットの解像度しか持たない。これを横854ドット、つまり倍以上にまで引き延ばすのだ。

 全画面表示をしてしまうと、さすがにブロックノイズが目立つし、文字は潰れて読み取ることができなくなってしまう。ニュースやクイズ番組など、文字を多用する番組の視聴はつらくなってくる。



「AQUOS」ケータイがひとつの解


 また視聴スタイルを工夫し切れていない点は困ったところだ。メールを打つようにして縦位置でワンセグを表示させていると、横幅が小さくて、余白がたっぷりと生まれてしまう。画質が落ちるが、やはりディスプレーいっぱいにテレビの映像を表示したいモノだ。

 とはいえ、テレビをディスプレーいっぱいに写すと、端末を横に構える必要がある。折りたたみ式ケータイは、ただ開いただけだと、持ち方に困ってバランスが悪い。スライド式や、ディスプレーをくるっと左右に回転して折りたためるタイプではコンパクトにまとまるが、ちょうどいい角度で持ち続けているのは、ちょっと疲れる。

 また机の上に置きたいとき、あるいは寝るときに枕元などで、横長の大画面を生かしつつ、自立したままちょうど良い角度で保っておくのは至難の業だ。多くの端末では充電台がその役割を担うのだが、角度まできちんと調節できる気の利いたモノは少ない。

 そう考えると、シャープの「AQUOS」ケータイが備えた、ディスプレーを横方向に90度回転できる「サイクロイド・スタイル」のよさが身にしみる。

 普通にケータイを構えるスタイル、バランスできちんと横長の画面を実現しているからだ。ワンセグケータイの普遍的なスタイルの1つとしてとらえても十分ではないかと思う。

SoftBank 920SH

サイクロイド・スタイルを採用したソフトバンクモバイルの「SoftBank 920SH」

(次ページに続く)

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