週末見るコンテンツはコレ★ 第12回
【週末見るコンテンツはコレ★】
VFXバリバリの「スパイダーマン3」から黒澤監督の「蜘蛛巣城」まで――なんとなく切ない「蜘蛛」映画
2007年10月19日 23時29分更新
あなたも、記憶の糸がからまったらこうなります
「スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする」
スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする 特別版
DVD
価格:3800円
発売日:2007年8月22日(発売中)
http://www.movies.co.jp/spider/
販売元:ブエナ・ビスタ・インターナショナル
最愛の母親から「スパイダー」と呼ばれた少年は今、統合失調症の治療を終え、社会へと戻ってきた。そして彼は、自ら封印していた少年時代の忌まわしい記憶を思い出してしまう。
「僕のママはパパに殺されていた!」
蜘蛛の糸のようにからみつく記憶を解きほどくうちに新たな事実が蘇ってくる……。
実写化は不可能と言われていたパトリック・マグラアの原作を、鬼才デヴィッド・クローネンバーグが映画化。クローネンバーグといえば1980年代から1990年代初頭にかけて名作を連発。「スキャナーズ」から「裸のランチ」にかけての作品には熱狂的なファンも多い(僕もそうだ)。神経を逆なでされる生々しくグロテスクな映像こそがクローネンバーグだと思っていたが、本作ではそのようなシーンはまったくない。
そのかわり、観客を主人公とシンクロさせ、自らも統合失調症になってしまったかのような効果を、VFXを使わずに表現している。
ビジュアルから精神世界へ、新たなフィールドへとシフトしたクローネンバーグの表現方法。こいつを確かめるだけでも本作を観る価値は十分にある。
全体のトーンとしては非常に地味。淡々と物語が進んでいくので、この手の雰囲気が好きでない人には正直オススメできないが、ハマる人は超ハマる……って、クローネンバーグの映画って全部そうじゃん! ということですべてのクローネンバーグファンは必ず観ること。
そして、最新作の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(販売元:日活)も、グチャドロ表現のない激カッコいいバイオレンスシーンが満載なので、こちらもチェックしておきたい!
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