週末見るコンテンツはコレ★ 第12回
【週末見るコンテンツはコレ★】
VFXバリバリの「スパイダーマン3」から黒澤監督の「蜘蛛巣城」まで――なんとなく切ない「蜘蛛」映画
2007年10月19日 23時29分更新
新作もいいけど、古典を紐解くのもいいもんです
「蜘蛛巣城」
蜘蛛巣城<普及版>
DVD
価格:3990円
発売日:2007年11月9日
蜘蛛巣城
DVD
価格:6300円
発売日:2002年11月21日(発売中)
かつて黒澤 明は「創造とは記憶である」と言った。黒澤監督が発想をリセットしたいときは古典を読み返していたという。ギリシャ神話、トルストイ、シェイクスピア、様々な戯曲や小説。これらが黒澤の血肉となり、旺盛な創作活動の糧となったのは想像に難くない。
「蜘蛛巣城」は、敬愛するシェイクスピアの戯曲「マクベス」を翻案した作品。翻案にも関わらず原作の雰囲気を最も忠実に再現した作品として海外での評価も高く、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの最年少招待演出家であり映画監督のピーター・ブルックは「全世界で作られたシェイクスピア映画の最高峰だ」と絶賛した。おまけにロンドンに国立映画劇場のこけら落としには黒澤監督を招いて蜘蛛巣城を上映したほど。
黒澤作品のなかでは比較的知名度の低い作品だが、あなどってはいけない。現在の邦画では考えられないほど豪華で、印象的で、荘厳で、美しい。富士山麓に実物大のセットを作ったというのも凄いが、あのマクベスを破綻なく戦国時代に置き換え、第一級のエンターテインメントに仕上げた黒澤監督の手腕には本当に驚かされる。
黒澤が古典を読んでいたもうひとつの理由、それは「いつの世にも読まれ、人々に愛される古典と呼ばれる文学には古くならない永遠の命がある」というものだ。
マクベスを読んだ黒澤監督は蜘蛛巣城を生み、黒澤監督の作品を見た世界中の映画少年たちは今、僕たちを楽しませてくれている。ちなみに、最後にひとつアドバイスを。黒澤監督の白黒時代の作品は声が非常に聞き取りにくい。日本語字幕をオンにしての観賞がオススメ。
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