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【新社長インタビュー】

「中小企業のITの武装化をSaaSで支援したい」――ネットスイートの松島社長

2007年10月15日 22時02分更新

文● 小橋川誠己(アスキービジネス編集部)

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CRM/Eコマース/会計などの機能を持つ統合業務アプリケーションをSaaSで提供し、米国ではセールスフォース・ドットコムと並び高い注目を集める、ネットスイート。その日本法人の代表取締役社長に、8月29日付けで元EMCジャパン執行役員の松島 努氏が就任した(関連記事)。日本上陸から1年半を経て、いよいよ日本でも本格的にビジネスを立ち上げる同社の戦略を松島氏に聞いた。


インフラ構築費用を抑えた統合型SaaSでITの武装化を


「中小企業のITの武装化を SaaSで支援したい」――ネットス...

ネットスイート 代表取締役社長 松島 努氏

――松島社長はこれまで、日本IBMやEMCジャパンなど、ITの中でもインフラ分野でのご経験が長いと伺っています。なぜ、統合業務アプリケーションをSaaSで提供するネットスイートの社長に就任されたのですか。

松島氏:確かに私は、これまで長い間、ITのインフラの仕事に携わってきました。日本IBMで直販の仕事を12年ほど経験し、その後、モトローラやCA(当時はコンピュータアソシエイツ)、ブロケード、EMCジャパンなどへと移りましたが、常に一貫していたのは、ITのインフラを扱ってきたこと、ターゲットとする企業が超大企業ばかりだったということです。

 ところが、あらためて日本の現状を見回してみると、どうでしょうか。企業の99%を占めるといわれる、中小企業へのITの普及度は本当に低いと感じています。特に、ITを戦略的に事業に活用していく“ITの武装化”がなかなかできない、との声を耳にする。そこで、今後はこうした中小企業における、ITの武装化を支援する仕事に携わっていきたいと思ったのが率直な理由です。

――なぜこれまで、中小企業ではITの武装化がうまくいかなかったのでしょうか。

松島氏:過去のOAブームに始まり、その後のMIS(経営情報システム)やSIS(戦略情報システム)といった流れの中で、これまでもITの戦略的な活用がたびたび提唱されてきました。しかし、実際には成果が上がらないことも多かった。理由はいくつかあります。

 1つは、ITインフラの構築に多額の投資がかかってしまい、肝心のアプリケーションにまでなかなか到達できなかったことです。当然ながら、テレビを買っても映像(コンテンツ)がないことには意味がないわけで、ITもユーザーが必要とするサービスがあってこそ、初めて役に立つものなのです。

 そしてもう1つの大きな理由は、結局のところ、これまでのITの活用が、「会計」「CRM」といった個別の業務処理にフォーカスしていたことです。たとえば、営業社員がモノを売るプロセス1つ考えてみても、見積書の作成、契約、受注、出荷、請求といったサイクルがあり、すべての業務は連続してつながっています。だからこそ、個別のシステムやデータベースがバラバラにある状態では、とてもITの戦略的な活用はできません。

――SaaSモデルで統合業務アプリケーションを提供するネットスイートであれば、それが実現できると。

松島氏:たとえば、テレビに映像がなぜ映るのかは知らなくても、コンテンツを楽しむことはできますよね。これと同じで、本来はITの専門知識がなくても、ITを使ってやりたいことを簡単に実現できて、結果的に経営に役立てばいい。SaaSは本来のITのあるべき姿だと思っていますし、これからますます当たり前になってくるでしょう。

 また、当社のサービスは、あらゆるデータを1つのデータベースに集約し、それを顧客との関係強化に役立てたり、会計処理に落とし込める設計になっています。加えて、Eコマースの機能を備えており、インターネットを通じてビジネスを広げていくことも可能です。こうした本当の意味での中小企業に役立つシステムを提供できるのは、今のところネットスイートしかない、と考えています。


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