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【インタビュー】 フランク・ヴァン・ヴィーネンダール氏

「SaaSのSMB市場は飛躍的に拡大していく」米セールスフォース プレジデント、日本市場を語る

2007年10月05日 22時43分更新

文● アスキービジネス編集部

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米国時間の9月17日、今年で5回目となるユーザ・カンファレンス『Dreamforce Conference』を開催し、新たに発表したオンデマンド・プラットフォーム「Force.com」が注目を集めるセールスフォース・ドットコム。今回、米国セールスフォース・ドットコム ワールドワイド・コーポレートセールス&サービス担当プレジデントのフランク・ヴァン・ヴィーネンダール氏に、日本市場におけるSMBのSaaS動向や今後の戦略について聞いた。

米国セールスフォース・ドットコム ワールドワイド・コーポレートセールス&サービス担当プレジデント フランク・ヴァン・ヴィーネンダール氏

米国セールスフォース・ドットコム ワールドワイド・コーポレートセールス&サービス担当プレジデント フランク・ヴァン・ヴィーネンダール氏


Salesforceならどの企業規模でも対応できる


――まず、日本市場におけるセールスフォースの競合優位性について教えてください。

「ホーム画面」カレンダー機能やToDoリストによって、営業担当者の活動状況などをわかりやすく管理できる(画面クリックで拡大)

「ホーム画面」カレンダー機能やToDoリストによって、営業担当者の活動状況などをわかりやすく管理できる(画面クリックで拡大)

ヴィーネンダール氏 我々の優位性は3つあります。「大企業からSMBまでカバーできること」「apexプラットフォームであること」「多様なアプリケーションを用意していること」です。

 日本市場において、セールスフォースは数十人のSMBから4万ユーザーを超える郵政公社のような大企業まで、規模にかかわらずサービスを提供できるという強みがあります。一方、競合と言われるネットスイートは中小規模のユーザーベースであればサポートできますが、大企業向けに拡張していくのは難しいでしょう。

 2 つ目に、アプリケーションを簡単に作成するための言語「Apex」を利用したプラットフォームによって、パートナー企業のソフトウェアベンダーが新たなアプリケーションを開発しやすい環境をつくっています。これによって、金融や製造、保険といった各業界のより細かいニーズにあったアプリケーションを開発できます。また、大企業のIT部門は自社ユーザーニーズに沿ったアプリケーションを自社で開発することも可能にしています。

オンデマンドのアプリケーション共有サービス「AppExchange」。過去30日の「インストール数Top10」を見ることができ、どういったアプリケーションがユーザーに人気か一目で分かる(画面クリックで拡大)

オンデマンドのアプリケーション共有サービス「AppExchange」。過去30日の「インストール数Top10」を見ることができ、どういったアプリケーションがユーザーに人気か一目で分かる(画面クリックで拡大)

 3つ目にセールスフォースのユーザーはオンデマンド・アプリケーション共有サービス「AppExchange」を通して、700以上のアプリケーションを利用できることが挙げられます。したがって、セールスフォースは単独の企業では出すことのできないバリューを提供できるのです。競合企業はそういったサービスはやっていません。

――日本市場と欧米市場との商習慣に大きな違いがあると思われますが、セールスフォースはどのように取り組んでいるのでしょうか。

ヴィーネンダール氏 確かに、国によって商習慣の違いはあります。しかし、ユーザーニーズは国籍をまたいでも、違っている点より、似ている点のほうが多いと考えています。Salesforceは幅広い業務に対応できるため、国によって使用頻度の高い機能とそうでない機能の差は当然出てきます。

 たとえば、日本の場合はチームで営業することも多いので「グループカレンダー機能」や「行動管理機能」といった機能が欧米よりも重視されています。我々は2000年に日本市場で販売を開始した初期のSalesforceから、そういった機能は実装しています。また、年に3回行なっている製品のバージョンアップで日本のユーザーだけでなく、世界中のユーザーニーズを反映することにより、製品力を強化しています。

「ダッシュボード」では営業部ごとの目標達成度や商談の状況をビジュアルで分かるようにしている(画面クリックで拡大)

「ダッシュボード」では営業部ごとの目標達成度や商談の状況をビジュアルで分かるようにしている(画面クリックで拡大)


Salesforceの導入成功率は95%


――しかし、日本市場でのSalesforceの定着率は欧米ほど高くはないという声も聞こえてきます。

ヴィーネンダール氏 そういったケースもあるかもしれませんが、考えられる失敗例はユーザーがあまり製品を理解しないまま導入したケースでしょう。あるいは、マネジメント層が現場のユーザーサイドに十分な理解を得ずに、無理矢理スタートさせたのかもしれません。

 グローバルで見た場合、我々の調査ではSalesforceの導入成功率は95%。かなり高いレベルで、エンドユーザーに受け入れられていると言えます。もっとも、いくらサクセスレートが高いソフトでも、財務や人材の問題を抱え、CRMに経営資源を投じることができない企業ではなかなかうまくいかないでしょう。それは日本だけでなく、欧米でも同じことです。

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