タブで区切られたメニュー構成に
いままでは上下のスクロールのみだったメニュー内容は一新され、項目別にタブで区切られるようになった。背面にはジョイスティック風の十字キー(マルチコントローラー)を備えており、これを中心にメニュー操作を行なうのが基本。ただし、上下の選択は背面にあるサブ電子ダイヤル、タブの左右切り替えはグリップの上部にある電子ダイヤルで行なうこともできる。
このタブ切り替えによるメニュー表示方法は、上位機(型番が一桁台のEOSシリーズ)でも採用されている。そのため、「EOS-1D MarkIII」以降の機種ではすべてのEOSシリーズで共通になると思われる。これと同様に背面インターフェースも共通化されていくと思われる。
常用したい白とび防止機能
画質に関するメニュー項目には、ハイライトの白とび防止機能(高輝度側階調優先)が追加された。これも上位機、EOS-1D markIIIに搭載された機能。ハイライト側のラチチュード(露光寛容度)を約1段分広げることができ、白とび防止になる。ただし、同機能をオンにするとISO感度の設定がISO 200~1600相当までに制限されてしまうので注意が必要だ。
作例のように、ハイライトの露出が抑えられていてもコントラストは十分に得られるため、ISO感度の制限さえクリアーできる条件でなら、常時オンにしておいても問題ない機能だろう
似たような機能として、高感度撮影時のノイズ低減といった機能も追加されている。長時間露光時のノイズ低減は、今までも見られた機能だが、高感度時というのは珍しく、確かにISO 1600やISO 3200といった高感度撮影時でもノイズが少なくなるのがはっきりと確認できる。
ただし、この機能をオンにすると、連続撮影枚数が極端に少なくなる点には注意したい。長時間露光でのノイズ低減でも連写性能が落ちるので、同様の処理を内部で行なっていると思われる。室内など暗い場所で、動きのある被写体を撮影する場合は、使用しない方がいいだろう。
確実な進化を遂げた中級機
EOS 40Dは、EOS 30Dの内部を一新し、全体的な能力の底上げを行なったモデルだ。これにより、さらに高い完成度を感じさせる機種に仕上がっている。ボディーのみで実売10万円台の価格帯には、各社が意欲作を投入しており、強豪ひしめくカテゴリーという印象だが、その中でも有力な選択肢のひとつに数え上げられるのは間違いないと思う。
実機に触れて印象的だったのは、操作感を含めたカメラとしてのまとまりの良さだ。上位のEOS 5Dはフルサイズセンサー搭載機であり、APS-Cとフルサイズという埋められない差はある。とはいえ、カメラとしての作りや使い勝手では、5Dを上回っていると言ってもいいと思う。
ネックは本体サイズがかなり大きいことだ。初級機のEOS Kiss Digital Xとの比較はもちろんだが、競合機種の「ニコンD80」などと比べてもずっしりと重い本体をどうとらえるかは撮影スタイルによって変わってくるだろう。そういう意味では、本機は気軽なスナップ撮影というよりは、じっくりとした作品撮りを行ないたい人に向いている。
もちろん、それに見合うだけの性能は持っている。ぜひとも本格的な撮影にトライしてほしい。
EOS 40Dの主なスペック | |
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製品名 | EOS 40D |
撮像素子 | APS-Cサイズ有効1010万(総1050万)画素CMOS |
レンズマウント | キヤノンEFマウント |
ファインダー | ペンタプリズム方式、視野率95%、倍率約0.95倍 |
AF測距点数 | 9点(全点クロスタイプセンサー) |
連写性能 | 最大毎秒約6.5コマ(JPEG約75枚、RAW約17枚) |
ISO感度 | ISO 100~1600相当(感度拡張で最大ISO 3200相当) |
液晶ディスプレー | 3インチTFT、約23万画素 |
記録メディア | コンパクトフラッシュ(Type I/II) |
インターフェース | USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力、拡張システム端子 |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(BP-511A、BP-514、BP-511、BP-512) |
撮影可能枚数 | 約1100枚(常温/ストロボ撮影なし、CIPA測定法準拠) |
本体サイズ | 幅145.5×奥行き73.5×高さ107.8mm |
重さ | 約740g(本体のみ) |