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林信行のマイクロトレンド ― 第12回

SNSに変革をもたらす“ソーシャルグラフ”

2007年09月06日 23時00分更新

文● 林信行(ITジャーナリスト)

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8月に米国で登場した


 ソーシャルグラフという考え方は、この8月に現われたばかりだ。発表したのは、米国のブラッド・フィッツパトリック(Brad Fitzpatrick)氏で、OpenIDの提唱者、デイビッド・リコードン(David Recordon)氏の協力のもと、自身のウェブサイトでソーシャルグラフの概念を発表した。

 “Thoughts on the Social Graph”と名付けられたこの記事はインターネットの一部で大きく注目を集め、日本でもkentaro氏のブログ“antipop”にて、“[翻訳] ソーシャルグラフについて”という記事ですぐに和訳された。

Thoughts on the Social Graph
フィッツパトリック氏が発表した“Thoughts on the Social Graph”


異なるネットワークで、異なる人間関係を築ける


 記事中でフィッツパトリック氏は、ソーシャルグラフをまとめあげるNPOを作って、そのNPOが相関図の情報に対してのAPIアクセスやデータとしての書き出し(+データ更新についての情報配信)を提供することが望ましいと述べている。

 NPOで相関図を管理するといっても、ひとつのソーシャルグラフをそのまま複数サービスで利用するというわけではない。フィッツパトリック氏の理想は高く、“異なるネットワークでは、異なる人間関係を築けるようにすること”も目標として掲げている(antipop翻訳マニフェストの“目指していること”の“3.エンドユーザーのために”の部分を参照)。

 例えば会社の同僚のケースで考えてみると、“A”という仕事のSNSでは友達同士になっている間柄でも、“B”という趣味のSNSでは同僚とつながらない(あるいはつながっているように見せて、実はつながっていない)──といったように人間関係もSNS別に定義できることが重要だというのだ。

 SNSごとに人間関係を1から設定し直すのは大変なことで、これを実現するのはユーザーインターフェース的には大変なことだろうが、不可能ではないはず。フィッツパトリック氏やリコードン氏のような優秀な人物がこうしたビジョンを共有してくれたことは、ソーシャルグラフの未来にとって幸先のいいスタートだったといえるだろう。



オープンSNSにも重要な基盤


 フィッツパトリック氏の投稿は、すぐにIT業界中の話題となり、賛同を示す人も大勢現れ始めた。旧マクロメディアの前身となる、マクロマインドを起こしたマーク・キャンター(Marc Canter)氏もその一人だ。

 実は“米国で盛り上がるOpenID”の記事を書いたときは知らなかったのだが、キャンター氏は昨年、ブロードバンド・メカニクス(Broadband Mechanics)という会社を設立していた。この会社は、“People Aggregator”というSNSをオープンプラットフォーム化する基盤技術を提供している。同社によれば、People Aggregatorは、既存のSNSと組み合わせることも可能なら、顧客のニーズに合わせたSNSを構築することもできるという。

 ソーシャルグラフの概念が発表されると、キャンター氏は自身のブログで、フィッツパトリック氏の提案していたNPOこそが、People Aggregatorでも、重要な基盤になるとの考えを示した。


【解説】マーク・キャンター氏

キャンター氏は1980年代に、米マクロマインド社を起業した。その後、マクロマインドはマクロマインド・パラコンプ、マクロメディアなどと社名を変えたのち、2005年に米アドビ システムズ社に買収されている。


(次ページに続く)

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