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栗原潔の“エンタープライズ・コンピューティング新世紀” 第5回

いまあえてWeb2.0を分析する(5)──企業内にWeb 2.0はどのぐらい浸透しているか?

2007年06月16日 00時00分更新

文● 栗原潔

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Web 2.0はバブルか?


 この調査結果を見て、一般企業にWeb 2.0が予想より高く浸透していると思われた方も多いかもしれない。これは、Web 2.0がバブル化しているがゆえなのだろうか?

 しかし、よく考えてみれば、Web 2.0が提供する従業員間、あるいは、企業と顧客/パートナー間での自由な情報交換のメリットは、Web 2.0という言葉が登場する前から言われていたものだ。

 集合知といった言葉は目新しいかもしれないが、その根底にある考え方はある意味当たり前のことだ。重要な点は、そのような当たり前の目的を達成するための安価かつ使いやすいテクノロジー、すなわち、ブログ、SNS、Wikiといった選択肢が数多く登場しているということである。

 企業にとってはこの動向をいち早く活かすか、ある程度待つかということだろう。

 この調査によれば、国別の動向としては、米国、ドイツ、中国、インド、英国が先進的であり、残念ながら日本はこの先進的グループの中には入っていないようだ。ただし、回答企業の4分の1はアジア太平洋地域からとなっているが、日本がそもそも調査対象となっていない可能性もある。

 欧米に追随することが常に正しいとは言えないが、“TQC”(Total Quality Control)のように、現場主導型の改善活動を得意とする日本企業にとって、Web 2.0的な考え方は本来適した領域のはずである。その意味では、「日本が世界で最も企業内Web 2.0に先進的」という調査結果が出てもおかしくないはずでは、と筆者は考える。


筆者紹介-栗原潔

著者近影 - 栗原潔さん

(株)テックバイザージェイピー代表、弁理士。日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より独立。先進ITと知財を中心としたコンサルティング業務に従事している。東京大学工学部卒、米MIT計算機科学科修士課程修了。主な訳書に『ライフサイクル・イノベーション』(ジェフリー・ムーア著、翔泳社刊)がある。


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