注目を集めるオープンなID規格
OpenIDは、その名のとおり“オープンな認証技術”だ。
筆者のかつてのアイデアや、マイクロソフトのPassportのように1社が独占的に管理するのではなく、複数のサービスで共有できるオープンなID規格を用意しようという発想に基づいている。確かにこれならサービス間の調整による負担は小さくなり、実践しやすい。
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| “OpenID”のトップページ |
OpenIDは、これまでシックス・アパートと一部の小さなベンチャー系サービスしか採用していなかった。ところが2007年2月になって状況が変わり、いくつかの有名なサービスがこのOpenIDの採用を発表し始めた。
マイクロソフト、米ベリサイン(Verisign)社、米ジャンレイン(JanRain)社、米スキップ(Sxip)社などである。続けて、米AOL社や米国で人気の投票型ニュースサイト“digg”(ディグ)も対応を表明している。
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| 米ベリサインは“PIP (Personal Identity Provider)”というサービスにOpenIDを実装した | “digg”もOpenIDを採用する意向を明らかにしている |
固有のURLをID代わりに使う
ここでOpenIDの概要を簡単に説明しておこう。最近のWebサービスは、なんらかの形でユーザーに固有のURLを与えていることが多い。
OpenIDでは、このURLをIDとして使う。例えばシックス・アパートの“Vox”や“TypePad”といったブログサービスを使っていれば、http://に続く“ブログのURL”がそのままIDとなる。対応のサービスに、ログインする場合は、このURLを打ち込む。
実装方法にもよるが、多くの場合は、画面が一時的に入力したURLのサービスに切り替わり、そこで認証が行なわれ、ログインが完了する。初めてそのサービスを使う場合は、ニックネームや名前などの登録が必要な場合がある。
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| OpenIDでログインが完了したところ |
では、複数のブログを持っている場合はどうなるのか? 通常はどちらか1つのURLを選んで登録するが、実はもうひとつのIDを使って別の人になりすますことも可能だ。
OpenIDは、ログイン過程を簡単にする技術であって、セキュリティーのための技術ではない。世の中には、ユーザー登録が嫌で新しいサービスを試さない人がいるが、OpenIDでは、そうしたサービスにチャンスを与えようと言う考えがベースにある。
セキュリティーの向上を目指して
OpenIDは、このように“便利ではあるが、信頼はできないユニバーサルID”だった。しかし、マイクロソフトを始めとする4社との提携が状況を変えそうだ。提携に合わせて、OpenID規格は、フィッシング詐欺対策に真剣に取り組み始めた。
マイクロソフトは今後、OpenIDがインターネット上のユニバーサルIDシステムとして重要になると考え、同社のアイデンティティー主任アーキテクト(Chief Architect of Identity)であるキム・キャメロン(Kim Cameron)氏が中心になってOpenIDの認証機能やフィッシング詐欺対策の開発に協力する。
4社はまた、それぞれが持っている“電子名刺”(Information Card)の規格をOpenID規格に対応させる。
最も重要なのは、Windows VistaのID管理機能“Windows Cardspace”とOpenIDの間で相互互換性を実現することが確約されたということだ。マイクロソフトは、サーバーでID情報を扱う技術“Microsoft Identity Integration Server ”(MIIS)でも、OpenID対応を表明している。
デスクトップレベルでのサポートで言えば、これ以外にウェブブラウザーの『Firefox』が次期バージョンの3.0でOpenIDをサポートすることがわかっている。
もっとも、だからといってOpenIDが順風満帆というのは早計だ。Google、Yahoo!、MySpaceといった大手企業は、今のところOpenIDを採用していない。
(次ページに続く)
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