最近では格安SIMを積極的に導入するような層は、すでに移行してしまった印象があるが、最後の砦になりそうなのが、いわゆる“ガラケー”と呼ばれる従来型携帯電話のユーザーだ。こうしたユーザーの場合、キャリアメールを使っていることも多く、これを利用し続けるにはキャリアを変えることはできなかった。
しかし2021年末に、キャリアを乗り換えても、キャリアメールだけ使い続けられる「メール持ち運び(メールアドレス持ち運び)」サービスを3大キャリアが開始したことで、従来型携帯電話でも格安SIMに移行して、そのままメールが使える可能性が出てきた。そこで本当にそれが可能か、今回試した。
一般的なインターネットのメールが利用できる携帯電話がある
実は従来型携帯電話でも、キャリアメール以外のメールが使える。一部の機種ではPOP3やIMAPといった、一般的なインターネットのメールサーバーにアクセスする仕組みが備わっているからだ。
たとえば、mineoは従来型携帯電話のユーザーも想定したプラン「マイそく スーパーライト」を登場させた際、mineoのメールアドレスが使えるか対応表で記載している。mineoのメールは前述のような一般的なインターネットメールの仕組みを用いている。そしてキャリアメールの「メール持ち運び」サービスも同じくIMAPを使っているので、同様に対応できる可能性があることを示している。
mineoの対応表を見ると、最近発売された従来型携帯電話の主要機種が並んでいる。これらはいずれも4G LTE対応のいわゆる“ガラホ”で、3Gの停波とともに使えなくなる種類の機種ではない。
ちなみに、従来型携帯電話は機種数は限られるが、最近も新製品が登場している。新製品と言っても、充電端子がType-Cに変更されたり、LINEが非対応になったことでLINEアプリのプリインストールを削除したなどの小変化がある程度だが、まだまだ現役であることには変わりない。今後も特定用途では一定の需要はあるはずなので、いずれ5G対応モデルも登場すると想像している。
持ち運びのメールも、一般的なメールと同じ方法で設定できる
前置きが長くなったが、実際に従来型携帯電話でIMAP方式の設定をして、「メール持ち運び」サービスが使えるか試してみよう。今回テストしたのはドコモの「SH-02L」で、シャープ製の4G LTE対応モデル。サービスは「auメール持ち運び」を使っている。
「auメール持ち運び」では、最初にIMAPサーバーの設定項目を確認しておくことが必要になる。サービスを契約しているau IDでログインして、サーバー名やユーザー名、パスワードを設定する。
若干ややこしいのは、「auメール持ち運び」では、メールサーバーのユーザー名がメールアドレスではなく、乱数のような文字列となる点。端末側の設定の最初でメールアドレスを入力するが、メールサーバーの設定に進んだところで、ユーザー名は指定されたその文字列に変更する必要がある。
また、「auメール持ち運び」の設定ではSSL有りになっているが、指定されたポート番号でメール設定の用語が異なるので、適宜変更する応用力も必要となる。最初にうまくいかなくても、何度が少しずつ設定を変えて試しているうちに成功することもあるので、あきらめないで挑戦してほしい。
ちなみにSH-02Lでは「メニュー」→「設定」→「#その他」→「アカウント」から「アカウント追加」で、「PCメール」を選択。メールアドレスから順に設定していく。
設定項目はメールアドレスのあと、アカウントの種類として「IMAP」を選び、サーバーのパスワードを入れ、次の画面の受信サーバーの設定で、あらためて指定されたユーザー名を設定。サーバーのアドレスも指定されたものに変更する。
ポート番号は993と指定されているが、セキュリティの種類で「SSL/TLS」を選ぶと993になる。なお、受信サーバーの設定の終わりに「次へ」を押すと一度受信を確認するようで、設定が間違っていると次に進めない。
受信設定が終われば、次は送信設定。これも同様に進めていく。ポート番号は587が指定されるが、「SSL/TLS」として、ポート番号465でも送信可能だった。こちらも設定後に確認があるので、正確でないと次に進むことができない。
最後に名前を設定したら完了だ。これでドコモ機ではあるが、「*****@au.com」のメールが送受信できることがわかった。これなら格安SIMなどに変更しても、従来型携帯電話で以前のままのキャリアメールのアドレスを使い続けることが可能になる。
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