Windows 10 プレビュービルド21364から、WSL2でのGUIアプリケーション対応がなされた。現時点ではプレビュー版の段階なので、必ずしも完成というわけではないが、Windows Insider ProgramのDev Channelに参加していれば、すぐにでも試すことができる。
昨年に公表されていたWSL2でのGUIアプリ対応
WSL2でのGUIアプリケーション対応は、「WSLg」と呼ばれているようだ。WSL2のGUI対応に関しては、昨年のオンラインイベントでの発表などを元に解説している。
●LinuxのGUIアプリケーションに対応するWSL2
https://ascii.jp/elem/000/004/040/4040474/
●WSL2ではRDPでLinux GUIアプリのウィンドウを表示する
https://ascii.jp/elem/000/004/041/4041422/
簡単に言えば、WSLのディストリビューションとは別に「システムディストリビューション」というコンテナのようなものが動いて、そこで実際の表示などをしている。そして、Linux側のGUIアプリケーションからは、通常のLinuxディストリビューションのようにX Window SystemやWaylandが動作しているように見える。
このシステムディストリビューションは、WSLディストリビューションとは分離されていて、後者側からは(もちろんWin32側からも)直接見ることができない。なお、Microsoftのブログによれば、このシステムディストリビューションは、Azureで使われている「CBL-Mariner」というLinuxディストリビューションの上に構築されているようだ。
これは、仮想マシン/コンテナーのクラスターを構築するAzure Stack HCIのLinux環境用に作られた、Microsoft独自のLinuxディストリビューションだ。CBLは「Common Base Linux」の略で、Marinerの意味は不明だが、多分Microsoftの本拠地がシアトルだからと見ている。昨年11月にオープンソース化され、GitHubで公開されている。
WSLgの仕組みに関しては、あらためて記事にしたいということで、まず今回はどんなものなのかをレポートすることにしよう。
WSL2にGUIアプリをインストールする
WSL2でGUIアプリを動作させるためには、
Windows 10 プレビュービルド21364
WDDM 2.9対応GPUドライバー
最新のWSL2用Linuxカーネル
が動作の条件になるようだが、筆者の環境では特に何もすることなく、WSL2でGUIアプリケーションのインストールができた。
GUIアプリのインストールは、通常のLinuxと同じく、ディストリビューション固有のパッケージ管理システムからする。あるいは、GUIアプリケーションの各デストリビューション向けのインストールパッケージを使ってもよい。とりあえず、懐かしいX Window System Ver.11のアプリ(xcalc、xclockなど)を動かしてみた。利用したディストリビューションはUbuntu-18.04なので、aptコマンドを使う。具体的には、
sudo apt install x11-utils
でX11の標準的なサンプルアプリケーションであるxcalcやxeyes、xlogoなどが起動できるようになる。なんだか、1980年代にタイムスリップした気分である。
もう1つ、LibreOfficeをリポジトリからでなく、直接最新版をダウンロードしてインストールしてみた。LibreOfficeは、Ubuntu-18.04でも利用可能なDebianパッケージ(deb)形式でも配布されている。LibreOfficeのサイトから「Linux(64bit)(deb)」を選択してダウンロードすればよい。ダウンロードしたものはtar.Zファイルなので、解凍して適当なディレクトリーに展開し、そこにある*.debファイルをすべて「dpkg -i *.deb」コマンドでインストールすればよい。
WSL2のGUIアプリケーション対応では、アプリケーションのパッケージがLinuxデスクトップのアプリケーション登録に対応しているようなら、自動的にWindowsのスタートメニューに登録される。
たとえば、WSLディストリビューションのUbuntu-18.04なら、スタートメニューの「Ubuntu-18.04」フォルダーにインストールしたアプリケーションが並ぶ。このとき、アプリケーションアイコンの右下には、ペンギンのアイコンが付き、Linuxアプリケーションであることを示す。
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