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Windows Info 第419回

Windows Insider Previewが変わって、今秋登場のWindows 11 Ver.24H2の新機能が見えてきた?

2024年02月18日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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 2024年2月8日に、Windows Insider Programに変更があった。これまでCanaryチャンネルでプレビューされてきた25000シリーズの最新版にあたるビルド26052が、Devチャンネルでも配布されるようになった。このビルドでは、winver.exeが「バージョン24H2」と表示する。これにより、Windows 11 Ver.24H2と対象を明確にしたプレビューが実施されることがわかった

Windows 11 Ver.24H2の新機能

Windowsのバージョンを表示するwinver.exeでは、Canary/Devチャンネルのビルド26052を24H2と表示する

Windows Insider Programの経緯と現状を確認

 まずは、これまでのWindows Insider Programの各チャンネルの状況を確認しておこう。

 2月8日以前は、Canaryチャンネルは25000シリーズ、Devチャンネルでは23000シリーズのビルドが配布されていた。

Windows 11 Ver.24H2の新機能

 Betaチャンネルは、現行版であるWindows 11 Ver.23H2のアップデートのプレビューであるビルド22635.3139が配布されており、Release Previewチャンネルでは、ビルド22631.3078が配布されている。現行版Windows 11 Ver.23H2のOSビルドは22631.3155(2月8日配布開始)だ。

 ビルド26052のWindows Insiderブログによれば(https://blogs.windows.com/windows-insider/2024/02/08/announcing-windows-11-insider-preview-build-26052-canary-and-dev-channels/)、DevチャンネルとCanaryチャンネルが同一のビルドになるのは、あくまで一時的であり、今後Canaryチャンネルはより高いビルド番号に上がると説明された。これにともない、Devチャンネルのプレビューには、Canaryチャンネル由来の機能が搭載されるとしている。

 また、CanaryとDevが同一のビルドを配布している間、Canaryチャンネルを選択しているユーザーは、Devチャンネルに切り替えることができるようだ。

 また、Windows Insider Flight Hub(https://learn.microsoft.com/en-us/windows-insider/flight-hub/)では、ビルド26052以前の25000シリーズを「Windows 11 2024 Update (24H2)」であると表記した。

 また、ビルド26052では、winver.exeが「バージョン24H2」と表示するほか、デスクトップ右下には、「Build 26052.ge_release.240202-1419」というウォーターマークが表示される。

Windows 11 Ver.24H2の新機能

デスクトップ右下には、ウォーターマークが表示されこのリリースがGe(ゲルマニュウム)であることを示す。ビルド日時は2024年2月2日午後2時19分であると読める

 CanaryとDevチャンネルで同一のビルドの配布がなされたのは、24H2のプレビュー開始であるとともに、Canaryチャンネルで、次のWindows(12?)のプレビューをするための準備であろう。

 現行のVer.23H2では、Betaチャンネルでプレビューが開始されたのは、昨年5月のことだったので、もう少し先になりそうだ。ただ、Windows 11(Ver.21H2)の発表が6月末発表、10月公開だったことを考えると、Windows 12の発表も似たようなタイミングだと想定できる。Microsoftの会計年度は、7月から翌年6月までなので、年度末(6月末)に発表、翌年度に出荷というスケジュールは変わらないと考えられる。

Windows 11 24H2の新機能はこんなものがありそう

 現状の26052に搭載される新機能の多くが、24H2の新機能として扱われる。Microsoftは23000シリーズには無く、25000シリーズには有る機能のうち、以下のものが26052に搭載されるとしている。これらは、Windows 11 Ver.24H2や「次のWindows」(Windows 12 Ver. 24H2?)に入る可能性が高い。具体的には、

・省エネ機能
・スクロール可能なクイック設定
・Wi-FiパスワードとQRコード
・7-Zip、tar形式のアーカイブ作成機能
・Windowsで保護された印刷
・設定ページの変更

がある。

 まず「省エネ機能」は、現在の「設定」→「システム」→「電源とバッテリー」→「バッテリー節約機能」に代わるものだ。バッテリー節約機能を拡張・強化したものとされる。

Windows 11 Ver.24H2の新機能

現行のWindows 11 Ver.23H2では「バッテリー節約機能」だったが、24H2では「省エネ機能」に置き換わった。はたして名前変更に見合うほどの改良がなされている?

 続いて「クイック設定」は、タスクバー右側のネットワーク/ボリューム/バッテリアイコンのクリックで表示される。その上部にあるボタン領域がスクロール可能になり、全機能を同時に利用できるようになった。

Windows 11 Ver.24H2の新機能

タスクバー右上に表示されるクイック設定はフライアウトの上半分を占めるボタン領域がスクロールできるようになった。右側の縦にならんだ点と矢印はページ範囲を示す。すべてのボタンが表示されるため、右下のクイック設定編集ボタン(鉛筆アイコン)がなくなっている

 従来は設定でボタンを追加可能だったが、ボタン数に応じてフライアウトが縦に伸びていた。スクロール機能の搭載で、ボタンが増えてもフライアウトの大きさは変わらなくなった。また、これにともない、クイック設定ボタンの編集機能がなくなっている。ただし、ボタンを長押ししたあと、ドラッグして並びを変更することができる。

 「Wi-FiパスワードとQRコード」についてだが、Wi-Fiアクセスポイント情報を共有する場合、「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」→「既知のネットワークを管理」→「<アクセスポイント名>」→「プロパティ」→「Wi-Fiネットワークパスワード」→「表示ボタン」でQRコードとしてアクセスポイント名やパスワードを表示できる。

Windows 11 Ver.24H2の新機能

Wi-Fi接続情報を共有するため、接続済みのアクセスポイントに対しては、必要な情報をQRコードで表示できる。記録されているのはテキスト情報だった

 なお、Windows標準のカメラは、QRコードの読み込みが可能で、ビルド26052では読み取ると設定を開く許可を求める。ただし、ビルド26052では設定ページはまだ開くことはできないようだ。なお、Ver.23H2のカメラアプリでは、対応アプリを探してMicrosoftストアを開いてしまう。ビルド26052のカメラアプリは、完全ではないもののWi-FiパスワードのQRコード表示に対応しているようである。

 QRコードの中身は単純なテキストなので、Androidスマートフォンなどで読み取るとテキスト情報が得られる。これを元に手動でWi-Fi設定することはできそうだ。

 「7-Zip、tar形式のアーカイブ作成機能」は名前のままの機能。現行のVer.23H2では、新規にアーカイブや圧縮ファイルを作成する機能はZIPのみだった。24H2では、tar形式のアーカイブと各種の圧縮形式、および7-Zip形式の圧縮アーカイブ形式ファイルを新規に作成する機能が追加された。右クリックメニューに「圧縮先」があり、直接およびダイアログでの作成が可能だ。

Windows 11 Ver.24H2の新機能

エクスプローラーでファイルを選択したときのコンテキストメニューに「圧縮先...」があり、7z(7-ZIP)、TARアーカイブファイル形式が選択できる

Windows 11 Ver.24H2の新機能

コンテキストメニューの圧縮先で「追加オプション」を選ぶと、ダイアログが表示されアーカイブ形式やtar形式のバリアント、圧縮方式などを選択可能になる

 「Windowsで保護された印刷モード」(Windows Protected Print Mode。WPP)は、「Mopria」認証プリンター(https://mopria.org/ja/)の利用を前提に、プリンタドライバのインストール禁止などの強い保護を提供するもの。

 現在Windowsは、印刷システムが改良され、従来のプリンタドライバ方式からIPP(Internet Print Protocol)ベースに移行しつつある。これにより、プリンタドライバやインストール時の昇格処理などが不要となり、セキュリティを高く保つことが可能になる。

 Mopria認証プリンタは、IPPを使いサードパーティドライバーの組み込みが不要となる。WPPを有効にすることで、印刷システムのセキュリティを高い状態に保つことが可能だ。24H2ではポリシーでWPPの有効、無効を設定できる。

Windows 11 Ver.24H2の新機能

Windows Protected Print(WPP)は、ポリシーで有効化が可能。ローカルグループポリシーエディターで「コンピュータの構成」→「管理用テンプレート」→「プリンター」→「Windowsで保護された印刷を構成する」を使う

 また、24H2では、そのほかの新機能などに応じて設定ページも改良されている。具体的には、

Voice Clarity(AIによる音声明瞭化処理。利用にはアプリ側の対応が必要)
SMB関連の変更(ファイアウォールの自動構成機能などSMBv1廃止による改良)
Windows LAPS(ローカル管理者パスワードソリューション)自動アカウント管理モード
Bluetoothの強化(Bluetooth補聴器など)
グラフィックス機能の強化

などがある。

 Windows 10では、Windows 11が登場した2021年の新機能提供は小規模なものに留まった。また当時Devチャンネルでプレビューされていた機能の一部は、Windows 11に搭載された。そう考えると、現在Canary/Devチャンネルのビルドで提供されてきた新機能のうち、どこまでがWindows 11 Ver.24H2なのか(Windows 12のみに搭載されるのか)、Betaチャンネルでのプレビューが始まらないと確定しそうにもない。

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