ハードウェアからサービスへ
IBMのハードウェアからサービスへの業態転換は、Gerstner氏とPalmisano氏の2人のCEOの下で、ほぼ20年をかけて行なわれた。
もっとも2006~2007年あたりには、すでにハードウェアの売上比率は20%台まで落ち込んでおり、2007年からはハードウェア部門が“Systems and Technology”に改称されているあたりで、転換はほぼ済んでいたという見方もある。
その代わりにPalmisano氏の時代からスタートしたe-Business on demandは、クラウドサービスとして大きく成長することになった。最初のサービスは、言ってみれば単なるリモートホスティングに近いもの(ただし高可用性がウリ)で、これは1970年代からスタートしている。
1990年あたりからはPOWERベースのサーバーを使ってのサービスも開始され、後追いでLive Migrationの機能なども追加されたことで、2007年頃にはPAAS(Platform As A Service)に近いサービス形態となった。
このあたりはPalmisano氏が就任直後からe-Business On Demand/On-demand Computingといった分野に積極的な投資をした効果が出てきたというべきか。
クラウドという言葉は、2006年に当時GoogleのCEOを務めていたEric Schmidt氏が使い始めたのが最初であるが、すでにIBMはこの当時にクラウドと呼ぶに相応しいサービスを顧客に提供していた形だ。
この後、サービスの名前はIBM Cloud(正確に言えば複数のサービスの総称がIBM Cloud)になり、さまざまなクラウドサービスをどんどん追加していくようになる。
2012年にPalmisano氏は60歳を迎えてまずCEO、次いで会長を辞任。後任はVirginia Marie Rometty氏となった。彼女は2002年にちょうどグローバルサービス部門のゼネラルマネージャーの職にあり、前回紹介したPwCのコンサルティング部門を買収して、それをIBMビジネスコンサルティング部門に改編する作業に関わることになった。
これが成功したことで、彼女は急速に昇進の階段を上ることになる。そして2012年にCEO職に就いたことで、より一層クラウドサービスを初めとするビジネスに会社の方向を進化させていくが、このあたりの話は次回以降で。
ということで、今回は主役の座から滑り落ちたハードウェア部門のその後を解説しよう。もっとも主役でなくなったとは言え、まだそれなりの存在感はある。
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