Atariの買収を計画するが中止
IBM自身でパソコンを設計・製造
今回の話を始める前に少し前回の補足をしたい。Lowe氏はCMC(Corporate Management Committee:全社経営委員会)に対してAtari 800をベースにした提案を行なったわけだが、これはAtariからのアプローチだったらしい。
1979年にAtariはAtari 800とAtari 400を発表するものの、さっぱり売れなかったという話は連載358回で説明した通り。ただそのまま放置してもビジネスは改善しないので、OEM先を見つけて売上を伸ばそうという一環だった模様だ。
画像の出典は、Wikipedia
一方のLowe氏は、CMCに対し「我々がパーソナルコンピュータービジネスに参入するためには、外部のコンピューター企業を買収する必要があります。なぜなら、IBMの文化ではこういう(Atari 800のようなものを作る)ことができないからです」と語り、暗にAtariのPC部隊を買収することを提案した。
ちなみに当時のCEOだったFrank Cary氏も「(もし従来のIBMの方法で作るとしたら)300人のエンジニアで4年かかるだろう」と、Lowe氏の意見を肯定したそうだ。
ただ、CMCはAtariを買収することを選ばず、IBM自身でPCを作ることを命令したというのはなかなか勇気のある決断だったと言えるかもしれない。
この連載の記事
-
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 -
第757回
PC
「RISC-VはArmに劣る」と主張し猛烈な批判にあうArm RISC-Vプロセッサー遍歴 -
第756回
PC
RISC-Vにとって最大の競合となるArm RISC-Vプロセッサー遍歴 -
第755回
PC
RISC-Vの転機となった中立国への組織移転 RISC-Vプロセッサー遍歴 -
第754回
PC
インテルがCPUの最低価格を82ドルに引き上げ、もう50ドルでは売れない製造コスト問題 インテル CPUロードマップ -
第753回
PC
早期からRISC-Vの開発に着手した中国企業 RISC-Vプロセッサー遍歴 - この連載の一覧へ