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特別企画@プログラミング+第39回

データや資料がとにかく豊富、人工知能の第一人者らが編集・執筆

ベストセラー『AI白書』の2019年版がついに発売!

2018年12月11日 18時00分更新

文● 坂川慎二/ASCII

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AIの導入・ビジネス化に必要な情報を網羅!

 株式会社角川アスキー総合研究所は12月11日(火)に、『AI白書2019』(編:独立行政法人情報処理推進機構 AI白書編集委員会)を刊行しました。

 松尾豊氏(AI白書編集委員、東京大学大学院特任准教授)や川上量生氏(株式会社ドワンゴ取締役CTO)ら、人工知能(AI)分野を代表する研究者が編集・執筆しており、この1冊でAI関連技術、国内外の施策、最新トピックスをほぼすべて把握することができます。

 『AI白書2017』はAIを発展させる大きなブレークスルーとなった“ディープラーニング”(深層学習)を中心に、実用化に向けた取組みなどを解説。増刷を重ね、ベストセラーとなりました。

 『AI白書2019』ではAI経営やビジネス化をテーマに、冒頭のカラーページで、冨山和彦氏(株式会社経営共創基盤代表取締役CEO)と中島秀之氏(AI白書編集委員長、札幌市立大学学長)による対談と、Google、楽天などで事業企画、投資、新規事業を歴任してきた尾原和啓氏(ITジャーナリスト)と松尾氏による対談2本を掲載しています。

 またAI導入企業・実用化事例を250件以上にアップデート。さらにAI社会実装推進調査など、他では読むことができない、AI導入に有効となる豊富なデータを提供しています。

ページの一例(2章の「2.8 開発基盤」より)
『AI白書2017』(360ページ)と『AI白書2019』(496ページ)を比べると、ボリュームの違いは一目瞭然。

AI研究・実用化で米国・中国に後れを取る日本

 『AI白書2017』の刊行から1年半。その間、幅広い領域でAI技術の産業への応用が進んでいます。

 『AI白書2019』では前述の通り、AI導入企業・実用化事例を数多く掲載しています。その分野は製造業、自動車産業、物流、インフラ、農業、健康・医療・介護、防犯・防災、エネルギー、教育、金融業、物流、流通業、行政などに及んでいます。たとえばCT画像を解析する臨床意思決定支援ソフトウェア(Viz.ai)など、アメリカではFDA(米国食品医薬品局)の認可を得るものも出てきています。

 しかし、AIの研究・実用化は米国と中国が先行し、日本は遅れています。さらに言うと、中国はAIへの取組みが顕著であり、その勢いは米国を追い越すほどです。

 CB Insightsは2017年12月に公開したレポート「The AI 100 2018」で、世界の株式非公開のAI関連企業の中から注目企業100社を選出していますが、入選企業の多い国は、1位がアメリカで76社、2位が中国で8社でした(2017年、中国は4社)。なお日本は2社(Preferred NetworksとLeapMind)でした。

 2017年2月に開催された、AIに関するアメリカで最大規模の会議「アメリカ人工知能学会AAAI(Association for the Advancement of Artificial Intelligentce)」では、中国からの投稿数が31%とアメリカの30 %を抜きました。中国、アメリカともに投稿数700以上で、日本は100以下です。

 なぜ中国がAIで強くなってきたのか。それにはAIベンチャーの勃興や中国政府のAI産業に対する積極的な支援策が挙げられます。

 中国政府は、2017年7月に「新世代人工知能発展計画(次世代の人工知能開発プラン)」を発表。2017年11月にはAIにおける4つのターゲット分野を定め、医療分野はTencent、スマートシティはAlibaba、自動運転はBaidu、音声認識はiFLYTEKというように、各分野をリードする会社を選定し、AIの研究・開発を後押ししています。

 『AI白書2019』では、このような中国の勢いや方向性を感じ取れるように、特集「データで見る中国のAI動向」を掲載。現地調査に基づく中国のAI最新動向、AIリーディングカンパニーやベンチャー企業などの情報を得ることができます。

 

冨山氏と中島氏の対談。このままでは日本は米中の下請けになると警鐘を鳴らす。
『AI白書2019』には、AI導入に役立つ様々なデータを掲載。

『AI白書2019』はコラムも充実

 『AI白書2019』は、AI白書編集委員らによるコラムが充実しています。テーマと執筆者(敬称略)は下記の通りです。

  • 「AIによるクリエイティブの可能性」川上量生(株式会社ドワンゴ取締役CTO、AI白書編集委員)
  • 「機械学習工学」丸山宏(株式会社Preferred Networks PFNフェロー)
  • 「構成的計算神経科学」浅田稔(大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻教授、AI白書編集委員)
  • 「日本の人工知能」辻井潤一(国立研究開発法人産業技術総合研究所フェロー、人工知能研究センター研究センター長、AI白書編集委員)
  • 「法整備はゆっくりやれば当然できる。スピードが肝」喜連川優(大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所所長、東京大学生産技術研究所教授、AI白書編集委員)
  • 「AIと倫理・社会的受容性」北野宏明(株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長、AI白書編集委員)

 そのほか個人的には、AI人材の育成(Kaggleへの言及)や、AIが生み出したものの著作性とAI創作物に関する記載が興味深かったです。また、データ利活用やAI社会の実現に向けた世界的な動き等は、最新の内容が記載されています。

 AIによって産業構造が大きく変わろうとしている今、AIの導入・企画立案・実装に欠かせない一冊です。

『AI白書2017』『AI白書2019』における「認証技術」の掲載事例数の比較。数に大きな差はないが、掲載内容は最新の情報にアップデートされている。
『AI白書2017』『AI白書2019』における「産業別利用動向」の掲載事例数の比較。『AI白書2019』では、IHI、オムロン、ダイキン、ルネサスエレクトロニクス、ZNP、NVIDIA、ABEJA、Siemensなど、AIへの取組みを別枠で解説。それらと中国のAI企業の項目を合わせると、白書全体で250件を超えるAI導入企業・実用化事例を紹介している。

【書籍概要】

タイトル:『AI白書2019』
発売日:2018 年12月11 日
編:独立行政法人情報処理推進機構 AI白書編集委員会
発行:株式会社角川アスキー総合研究所
発売:株式会社KADOKAWA
ISBN:978-4-04-911014-2
定価:本体 3,600円+税
版型:A4判 496ページ 2色刷(冒頭のみ4色)
販売はこちらまで

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