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シスコ自身を変革した昨年度は大きな成果、引き続き「日本市場に根ざした展開」

シスコ、2018年度事業戦略は「日本のデジタル変革を後押し」

2017年10月20日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 シスコシステムズ日本法人は10月18日、8月にスタートした2018会計年度の事業戦略説明会を開催した。代表執行役員 社長の鈴木みゆき氏らが、事業変革を加速した昨年度の成果と、今年度、そして2020年に向けてシスコジャパンが目指す方向性を説明した。

シスコシステムズ日本法人 代表執行役員 社長の鈴木みゆき氏
(左から)同社 専務執行役員 戦略ソリューション・事業開発 兼 東京2020オリンピック・パラリンピック推進本部 イノベーションセンター東京担当の鈴木和洋氏、同社 執行役員 CTO 兼 最高セキュリティ責任者の濱田義之氏、同社 副社長 NTTグループ事業統括の井上雅雄氏

2017年度、中堅中小企業向けビジネスは「30%以上の成長」

 鈴木氏はまず、昨年度(2017年度)の事業成果について報告した。昨年度の事業戦略説明会において鈴木氏は、2017年度は「日本市場により根ざした事業展開」「お客様のデジタルビジネス支援」「統合ソリューションビジネス強化」の3つを重点戦略とすると説明していた。

2017年度の事業成果ハイライト。グローバルのシスコで「トップカントリー」に選ばれた

 その主な成果として、鈴木氏がまず取り上げたのは、前年度比で「30%以上」という中堅中小企業向けビジネスの飛躍的な成長だ。

 昨年度は、中堅中小企業向けの「Cisco Start」製品やソリューション群の拡充、販売パートナーの倍増に加えて、「Cisco Meraki」がNTT東日本の中小企業向け無線LANサービスである「ギガらくWi-Fi」にOEM採用されて「爆発的な成長を遂げた」という。4月からは、同じくNTT東日本の「まるらくオフィス」にもセキュリティサービスなどをOEM提供開始している。

 2つめの成果として鈴木氏は「日本のサイバーセキュリティ対策への貢献」を挙げた。国内におけるサイバーセキュリティ人材育成のためにスカラシッププログラムを創設し、Eラーニングコンテンツなどを提供している。また、サイバーセキュリティ研究分野におけるNICT(情報通信研究機構)との協力を通じて、脅威情報の共有やマルウェア解析での協業などを開始している。

 そして、顧客のデジタルビジネス支援を目的としたデジタイゼーション/IoT分野での取り組みも、昨年度の成果として挙げた。スマートシティに関する包括的提携を結んでいる京都府において、5月には木津川市でのスマートライティング(スマート街灯)の実証事業を開始している。また製造業向けIoTソリューションでは、新たにCNCメーカーのオークマとの提携も開始した。

 日本市場におけるこうした成長や成果は、シスコ米国本社からも高く評価されているという。グローバルに展開するシスコにおいて、シスコジャパンは2017年度、戦略的成長率の高い「トップカントリー」として表彰されており、シスコジャパンとして誇るべき結果を出せたと鈴木氏は語った。「本社からの期待値は高まっている。もう一度、今年度もトップカントリーを目指したい」(鈴木氏)。

2018年度は「デジタル変革支援」「次世代NW基盤構築」などが柱

 今年度、2018年度における重点戦略として鈴木氏は、「日本のデジタル変革を加速」「次世代プラットフォームの構築」「日本市場により根ざした事業展開」の3点を挙げた。各戦略目標における具体的な施策については、それぞれの担当役員から説明がなされた。

2018年度の重点戦略

 デジタル変革の加速に含まれる「顧客企業へのデジタイゼーション/IoTの実装」については、専務執行役員 戦略ソリューション・事業開発担当の鈴木和洋氏が説明した。

 2018年度は、すでに展開を始めている「スマートファクトリー」や「スマートシティ」の領域で、引き続き産業機器メーカーとの共同ソリューションや実証事業を拡大していく。鈴木和洋氏は具体的な目標数値として、スマートファクトリーの共同ソリューションを累計4件から10件に、またスマートシティでは新たに2件の実証実験を開始するとした。後者についてはすでに、京都・嵐山での観光事業、東京・日本橋での安全・安心街づくりプロジェクトが計画されているという。

 これに加えて、新たに「スポーツ&エンタテインメント」領域でのIoTソリューション提供にも注力していく。シスコでは、国内ですでに5つのスタジアムに専用Wi-Fiを敷設、また1つのスタジアム(市立吹田サッカースタジアム)に大型ビジョン/サイネージシステム「Cisco Vision」を導入している。2018年度中に、累計10件のスタジアム/ベニューへの導入を目指すとした。

2018年度のIoT事業計画。共通プラットフォームとして「Cisco Kinetic」も提供

 2つめの重点戦略である「次世代プラットフォームの構築」の具体的施策については、執行役員 CTO 兼 最高セキュリティ責任者の濱田義之氏が説明した。濱田氏は「新しい時代のネットワーク」「マルチクラウドな世界の実現」「データの力を解放」「セキュリティEverywhere」という4つのテーマを挙げた。

 このうち新しい時代のネットワークについては、今夏発表された「Cisco DNA」や“インテント(意図)ベースのネットワーク”を中心に実現していく。また、マルチクラウド環境への対応では、Cisco ACIをマルチサイト/マルチクラウドに拡張する“ACI Anywhere”と、分散データセンターをクラウド経由で一元管理する「Cisco Intersight」が説明された。同様に、データ価値の解放ではIoTプラットフォームの「Cisco Kinetic」を、セキュリティではネットワーク/エンドポイント/クラウドを包括的に守るアーキテクチャと脅威インテリジェンス「Talos」を紹介した。

 なおセキュリティに関しては、今年度、遠隔監視/インシデントレスポンスサービスや、アセスメント/コンサルティングサービス、さらにSOC人材も含めた教育プログラムを提供していくとしている。

2018年度はインテントベースネットワーク、マルチクラウド対応マネジメントなどで、次世代ITインフラ構築への移行を支援していく

 重点戦略の3つめ、日本市場により根ざした事業展開については、副社長 NTTグループ事業統括の井上雅雄氏が、2020年の5G時代に向けたサービスプロバイダー向け施策を紹介した。マススケールのネットワーク事業者向け施策、エンドトゥエンドのオートメーション(自動化)に加えて、“B to B to C”や“B to B to B”販売の可能なアプリケーション/ソリューションのビジネスも創造していくとしている。

 こうした重点戦略のほかに、顧客のビジネス変革全般を支援するサービスとして、新たに「ビジネスクリティカルサービス」や「ハイ バリュー サービス」も立ち上げると、鈴木みゆき氏が紹介した。前者は、ビジネス変革のスピードに合わせてITインフラも変革していけるよう、シスコが支援していくサービスとなるという。

 また中小企業層向けビジネスについては、引き続きブランドマーケティングの強化や製品/ソリューションのさらなる拡充を図ることで、引き続きビジネスを大きく成長させていきたいと期待を示した。

「すべてがつながれば、何でも可能になる」2020年に向けたビジョン

 2020年に向けシスコジャパンが目指すビジョンとして、鈴木みゆき氏は「All Connected. Anything Possible.」という言葉を掲げた。「すべてがつながれば、何でも可能になる」という意味だという。

シスコジャパンの2020年ビジョン「All Connected. Anything Possible.」

 「(2020年に向けた現在は)すべての人、あらゆるプロセス、データ、モノがますますつながることで、人々の生活、仕事、娯楽、学習の仕方を大きく進化させる、絶好のチャンスだと捉えている。そして、すべてをつなぐ中心にはもちろんネットワークがある。ネットワークソリューションのリーディングカンパニーとして、あらゆることを試し、日本のデジタル変革に貢献していきたいという強い意思を(この言葉に)こめている」(鈴木みゆき氏)

 なお発表会では、シスコジャパンが日本国内だけで展開する新しいマスコットキャラクター「Cisco5(シスコファイブ)」がお披露目された。5人のキャラクターがそれぞれ、「エンタープライズネットワーク」「サービス」「コラボレーション」「セキュリティ」「データセンター」とシスコのビジネスドメインを象徴しているという。「この5人が力を合わせ、すべてをつなぐことで日本の未来を変える、というシスコジャパンの夢を託している」(鈴木氏)。

日本市場で独自展開するキャラクター“Cisco5(シスコファイブ)”がお披露目された

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