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「京都スマートシティー構想」でサイネージ設置、事業モデル構築し持続的運用目指す

おこしやす! シスコ、京福電鉄ら4社が観光周遊促進の実証実験開始

2018年03月13日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 シスコシステムズと京福電鉄、東映京都スタジオ(東映太秦映画村)、島津アドコムの4社は2018年3月9日、京都府の協力のもと、双方向デジタルサイネージシステムを用いた「周遊観光促進実証事業」を開始した。京福電鉄の2駅にサイネージ端末を設置し、広告映像や時刻表などの静的コンテンツ表示だけでなく、観光マップのダウンロード、バーチャルコンシェルジュ、周辺観光名所からのリアルタイム映像配信といったサービスも提供することで、より長時間の観光滞在や沿線周遊を促す取り組み。同時に、広告収入による持続的事業モデルの確立も目指す。

 同日には、サイネージ端末が設置された京福電鉄嵐山駅において、京都府やコンテンツ提供各社の代表も出席してセレモニーが開催された。

京福電鉄嵐山駅に設置されたデジタルサイネージ端末(上部2台のディスプレイも含む)
セレモニーでは、シスコ 専務執行役員 戦略ソリューション・事業開発の鈴木和洋氏が、このサイネージが備える10の機能をデモをまじえ紹介した

「運営コストがまかなえない」観光サイネージの問題を民間主導で解消する

 シスコでは2015年5月に、京都府との間でスマートシティの実現に向けた包括的な連携/協力協定を締結している。これに基づき、エネルギー、交通、医療、観光、雇用など幅広い領域で、IT活用の実証実験を進めている。このうち、今回のデジタルサイネージは観光(コネクテッドツーリズム)分野での新たな実証実験であり、京都府が主導する「スマート観光プロジェクト」の一環となる。

スマートシティ実現に向けたシスコと京都府との取り組み(シスコ資料より)

 観光分野ではすでに、京都駅へのインタラクティブサイネージ設置とバーチャルコンシェルジュサービスの実証実験を2016年5月~9月に実施済み。さらに、今回のサイネージ端末を利用した「嵐山コネクテッドツーリズム実証実験(第1期)」も、昨年(2017年)9月から実施してきた。

 ただし、第1期実証実験は公的組織(京都スマートシティエキスポ事務局)が主体となっており、サイネージへの広告掲載はできなかった。今回スタートした第2期実証実験では、民間企業グループがシステム運営や技術協力を行い、スポンサー企業からの広告出稿などを通じたマネタイズと運営コスト回収を図り、持続可能性を探る。京都・嵐山は世界的にも有名な観光地であり、観光業に携わる店舗も多いため、公的資金を入れず100%民間での運営体制確立の目算が立ちやすかったという。

 「これまでは(デジタルサイネージの)実証実験を行っても『コストがまかなえない』という課題が残っていた。今回の実験では、ランニングコストをまかないながら継続できるモデルを模索する」(シスコシステムズ 戦略ソリューション事業開発 セールスビジネス デベロップメント マネージャの三村雄介氏)

「嵐山コネクテッドツーリズム実証実験(第2期)」の実施体制図。広告やクーポンの掲載でマネタイズを行い、継続可能なビジネスモデルの構築を目指す

スマホ観光地図から多言語翻訳、「インスタ映え」まで?多彩なサービス提供

 今回のデジタルサイネージ端末は55インチの4Kタッチパネルを使用したもので、京福電鉄嵐山線の嵐山駅、西院駅に合計3台が設置された。日英中の3カ国語表示に対応しており、合計で10の機能を提供する。

インバウンド観光客対応のため日英中の3カ国語で案内する

 端末が操作されていない状態では、画面の上部4分の3ほどを使って観光案内映像やスポンサー広告映像を表示する。セレモニーでは嵐山のドローン空撮風景などが表示されていた。このとき、映像に重ねるかたちでオーバーレイアニメーションを表示させ、画面のタッチなどを促す。

 また、この映像表示部には、シスコのIPマルチキャスト/ライブ動画配信システムである「Cisco Live Vision」を使った中継映像も表示できる。たとえば、周辺の観光スポットから当日行われているイベントの模様などを中継表示することで、観光客の訪問を促す目的で使える。セレモニーでは、東映太秦映画村から時代劇俳優による殺陣の模様がライブ配信された。

「Livd Vision」はスタジアムビジョンなどでも活用されているこの日は東映太秦映画村からのライブ映像が披露された

 他のサービス事業者が技術協力するコンテンツも提供される。たとえば、手描きマップをベースとしたデジタル地図サービスを提供するStroly(ストローリー)の技術を用いて、周辺の飲食店や土産物店のクーポン付きデジタル観光マップを提供している。二次元バーコードを読み取ることにより、スマートフォンで“持ち出す”(同じマップを表示する)ことが可能になり、GPSと連動して現在位置も表示される。加えて、各店舗が混雑状況を登録すれば、マップ上のピンがリアルタイムに色を変えてそれを観光客に知らせる仕組みもある。

Strolyの技術を使ったデジタルマップ。印刷配布物と同じ地図を使い、周辺店舗の広告、混雑状況などもオーバーレイ表示する

 今回のセレモニーでは、参加者がスマートフォン上のマップを見ながら店舗間を移動した位置情報データを使い、実際のマップ上にヒートマップとして表示するデモも披露された。「将来的には、ユーザーの許諾を得たうえで個人属性データ(性別や年齢)と移動軌跡データとを結びつけ、より価値の高いマーケティングデータとして活用することも考えられる」(ストローリー)。

スマートフォンで持ち出せばGPSとも連携。各店舗で使えるデジタルクーポンにもなる全ユーザーの移動履歴をヒートマップとして表示するデモ

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