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「ヴィルヌーヴはキューブャックとスコットの夢を見るか」

「ブレードランナー2049」レビュー=紛れもなきオタクによる超未来映画だっ!!

2017年10月07日 01時00分更新

文● 編集長みやの(@E_Minazou

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 1982年に公開された「ブレードランナー」の続編である「ブレードランナー2049」(ニー・ゼロ・ヨン・キュウ)が10月6日に全米で公開となった.日本でも10月27日に公開となるが、10月5日に東京で完成披露試写が行われ、みることができた.直後の感想はなかなか一言でまとめられない.それは映画を観たというより、これまでにない体験をした興奮だった.

 1982年にブレードランナーを観たときはその内容の濃さとストーリーと映像と音楽に圧倒された.それはキューブリックの「2001年宇宙の旅」をテアトル東京で観たときの衝撃と同じ体験だった.そして、今、「ブレードランナー2049」はサードインパクトとなったのである.

ヴィルヌーヴは絶対に
超ブレードランナーオタクなのだっ

 というわけでブレードランナー2049なのだが、冒頭から泣いた.前作と同じ、眼球のアップからスピナーの飛行で、音楽がくる=涙.そして、主人公のブレードランナーである「K」の恋人「ジョイ」ちゃんが最高.VRカノジョなのだが、そのかわいさとケナゲさに2度泣いた.

 すでに公開されているし、予告編からわかるとおり、デッカードは30年後も生きていて、その登場シーンももちろん泣ける.おまけに、あの折り紙好きの同僚も生きていて2度泣ける.

 対する(?)勢力として、タイレル社に代わって世界を支配しているウォレスはかなりコワい.その部下のレプリンカト「ラヴ」ちゃんはもっとコワくてビビる(自分はどうしてもラヴちゃんが「女スポック」に見えてしまい、途中でややウケたのだが)....

 2049年のロサンゼルスとその郊外、そしてラスベガスが舞台である.ロスのダウンタウンは30年たっても相変わらずのなつかしい猥雑さで、でも、雨ではなく雪が降っている.ラスベガスは廃れているが、今回も「シド・ミード」がデザインしたという、非常に幻想的な砂の街なのだ.

 ブレードランナーの楽しみとして「へんな日本語」があったが、今回もネオンサインとカンバンはたくさん出てくる.自販機に「2杯でじゅうぶんですよ」と言ってほしかったが(いわない)、ほかの機械が完全に日本語を話す.アタリとソニーもリアルに登場して、ケイのスピナーにはプジョーのロゴが入っている.

 彼の家の屋上のカンバンがカタカナで、なおかつ「ア」と「ス」がでっかく出てきて、これは「アスキー」を意識しているにちがいないと、オレは勝手に感じたのだった.

映画をみたのではなく
2049年を「体験」してきた

 「ブレードランナー2049」は正真正銘ホンモノの続編である.にもかかわらず、そのストーリーと映像と音響で、これまでにない体験をさせてくれる「超未来の映画」だ.2時間43分間かけて、未来を旅行して帰って来たくらいの興奮を与えてくれるのだ.

 キューブリックの2001、スコットのブレードランナーと並び評される第3のインパクトになると書いたが、キューブリックは米国生まれだがイングランドで亡くなったし、スコットはイギリス人、ヴィルヌーヴはカナダだが、予告映像をみると、なんだかおフランスっぽい発音で、だからかもしれないが、「ブレードランナー2049」もなんとなくヨーロッパの雰囲気を持つ.

 感動するのは、ブレードランナーと同様に、多くの提示を受けるからである.ことばにすると照れくさいが、「人間とは何か」というテーマは前作と同様に深く流れているのだ.

 なので自分と同じ「ブレードランナー」オタクのみなさんは、何も心配せずに身を任せてオッケー.ただし、観たあとに仕事やデートを入れてはいけない.興奮しているからどうなるかわからない.誰かといっしょにみて、新たに浮上してきた謎について語り明かすのもいいし、一人でじっくり反芻するのもグッド.オレはあと50回は観ないといけないと思った.

ニー・ゼロ・ヨン・キュウはIMAXでみる
そのまえに「3本の映像」で予習は必須

 「ブレードランナー2049」はとにかく音響と音楽がスンごいので、ゼッタイに映画館でみないとダメです.加えて、言ってしまうとIMAXがオススメです.近くにないと難しいかもしれませんが、通常のシネスコだと2.4対1という横長比率での上映ですが、IMAXだと1.9対1で上映されます.つまりIMAXと比べて通常館では上下がカットされた状態でみることになるわけで約26%損します.もちろんIMAXの巨大スクリーンと急峻な客席と音響設備が没入感を増すのは当然なんですが.オタとしては全映像をみたいですよね.

 ちなみに私がみたIMAX2Dでは、字幕は画面の下部に表示されましたので、やや上の席から見下ろしぎみにみるのがいいと思います(あくまで個人の意見です).3D版は見ていないので、ぜひ映画館で体験したいと思っています.

 まさかとは思いますが、前作「ブレードランナー」をみずに「ブレードランナー2049」をみてはいけません.なおかつ、すでにン十回みているキミやボクも、もう一度復習してから行きましょうね.

 それから、上映時間が2時間43分と長めですので、直前に水分をとり過ぎないようにしましょう(とくにオレたち世代注意ね).

 さて、前作の舞台となった2019年と、今回の2049年は30年間の時間が流れています.その間になにが起きたのかは下記のデータがありますので年表として掲載しておきます.

 この30年間を体験するために、3本の短編映画がオフィシャルに製作されています.1本はおなじみ渡辺信一郎監督で、2本はリドリー・スコット監督のご子息ルーク・スコット監督作品です.これは本編をみるまえに、必ずみておきましょう.ていうか毎日みましょう(下記にリンクもはっておきます).

 さらにさらに、樋口監督や町山さんのレビュー映像もどんどん上がっていますので、オフィシャルサイトは要チェックですよ.

☆公開情報☆
『ブレードランナー 2049』
10月27日(金)全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント


☆ブレードランナー2022 The Blackout
(渡辺信一郎監督)


☆ブレードランナー2036 Nexus Dawn
(ルーク・スコット監督)


☆ブレードランナー2048 Nowhere to Run
(ルーク・スコット監督)


☆ブレードランナー2049 予告編

資料編
2018~2049年表


2018
異星の植民地で「ネクサス6」の反乱が起き、レプリカントは地球での生存が認められなくなった.
2019
「ブレードランナー」の世界.植民地から逃亡したネクサス6とタイレル社、デッカードの物語.レイチェルとデッカードは逃亡.
2020
タイレル社は新型のレプリカント「ネクサス8」を開発.6のような寿命の制約はなく、また、識別のため右眼球にシリアル番号が移植されている.
2022
「ブレードランナー2020  The Blackout」の世界.ネクサス8による大停電と電子データの破壊が起きる.世界が停止し食料難となる.
2023
政府はレプリカントの製造を無期限に禁止する.4年間の寿命のネクサス6は退役し、ネクサス8は「解任」の対象となる.
2025
フォレスは遺伝子組み替え食料を開発し、世界を飢餓から救う.
2028
ウォレスは倒産したタイレル社を買い取る.
2030
ウォレスはタイレル社の技術を強化し、従属的なレプリカントを開発する.
2036
「ブレードランナー2036 Nexus Dawn」の世界.ウォレスは新型レプリカント「ネクサス9」を完成させ、禁止法が廃止となる.
2040
LAPDは違法のレプリンカト解任を強化.
2048
「ブレードランナー2048 Nowhere to Run」の世界.ネクサス8であるノートンはタンパク質農家として暮らしていたが、事件にまきこまれ、追われる身となる.
2049
「ブレードランナー2049」の世界.気候変動により海面は上昇し、ロサンゼルスには巨大な海壁が建造されており、雨ではなく雪が降っている.

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