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私たちの働き方カタログ 第4回

現場発の制度を全社展開中のプレシャスパートナーズ

社長も話しかけられない私語厳禁の仕事集中タイムを制度化

2017年09月26日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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その会社にはその会社ならではの働き方がある。働き方改革・業務改善の現場を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第4回は、人材サービスを展開するプレシャスパートナーズ。同社の水戸部勇氏に私語厳禁の究極の仕事集中タイム「ZONE TIME」について聞いた。

プレシャスパートナーズ 水戸部勇氏

ZONE TIMEの成果はメンバーの作業が見える化できること

 プレシャスパートナーズが導入を進めている「ZONE TIME」は、13時30分~15時の90分間を業務集中の時間として設け、仕事に集中する仕組み。人間が集中できる限界と言われている90分間、私語一切厳禁で作業に没頭する。

 実際、私語厳禁は徹底しており、執務室は90分間ほぼ無音になる。「うちの代表がZONE TIME中に話しかけたら、『社長、ZONE TIME中です』と追い返されたことがありました」と水戸部氏は語る。ZONE TIME中は張り紙をして、外の部署にも集中をアピール。ZONE TIMEが終了すると、堰を切ったように会話があふれ出し、チームも和気あいあいな雰囲気になるという。

 ZONE TIMEでなにをやるかは、メールやSkypeで事前にメンバーに通知しておき、90分間が終了した段階でレビューまで行なう。作業の内容は特に決まりはなく、単発で終わる画像制作やWebのデザインラフの作成、スケジュール管理などさまざまな作業がZONE TIMEで集中的にこなされている。

 初めてから8週間、毎日ZONE TIMEを実施したが、結果は上々。電話や私語に影響を受けず、仕事に集中できるのはもちろんだが、個々のスケジュール管理能力が向上したという。また、個々人が作業に対してどれくらい時間がかかるかがわかるというメリットがあった。「8人のメンバーそれぞれの弱点がわかりました。僕の場合、1回詰まると、集中力がなくなってしまうこと(笑)」(水戸部氏)。レビューを踏むことで、弱点を補うにはどうしたらよいかメンバー同士で考えることもでき、チームの生産性向上につながっている。

「とにかくメンバーが時間を意識して仕事するようになった」

 8人のメンバーともにZONE TIMEを始めた水戸部氏は採用ブランディング向けの自社媒体「アールエイチナビ」や紙媒体の制作を請け負うチームのディレクター。メンバーのスケジュールとタスク管理などを手がけている。そんな水戸部氏がZONE TIMEを立ち上げたのは、チームメンバーとの話し合いで、とにかく『ムリ』『ムダ』『ムラ』をなくそうと考えたからだという。「デザインや校正、企画などの仕事をやっているメンバーが仕事に集中していると、周りから話しかけずらい雰囲気がありました。逆に集中したいというメンバーもいました。だったら、時間を決めて、集中して作業をやってみようと考えました」(水戸部氏)とのことで、現場発で生まれた制度だ。

ZONE TIMEのロゴも作成し、集中時間を他部署にもアピール

 「とにかくメンバーが時間を意識して仕事するようになった」と語る水戸部氏。当初、チーム内制度だったZONE TIMEだが、社内への広がりを見せているという。もともと同社はフリーアドレス制を採用しており、他部署のメンバーが水戸部氏のチームのZONE TIMEに参加するということも起こるようになった。また、社内で話しかけられることの多い経営メンバーからも「誰にも声をかけられないZONE TIMEを作ってくれないか」という依頼が出てきた。

 こうした声もあり、プレシャスパートナーズでは、今後いろいろな部署でこのZONE TIMEが実施されることになるという。とはいえ、電話が常時かかってくる営業部やつねにコミュニケーションをとる必要がある管理部はやはり導入が難しいとのこと。ここらへんは課題と言えそうだ。

会社概要

株式会社プレシャスパートナーズは2008年に設立した人材サービス事業を展開する企業です。現在、東京本社の他、名古屋、大阪、福岡に拠点を展開していま す。就職・転職支援サイト「アールエイチナビ」を展開し、オウンドメディアの運営、採用コンサルティング、そして自社での取り組みなど多角的視点から「雇用のミスマッチを な くす」というミッションの実現を目指していきます。


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