このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

ステレオが最高! 小型スピーカーの弱点消したBOSE SoundLink Revolve

2017年06月10日 12時00分更新

文● 四本淑三

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

スイートスポットをなくしてバランス改善

 内部の構造は、まさに円筒形スピーカーを逆さにしたような格好。それで得られる効果も、スピーカーユニットが上を向いた円筒形スピーカーと同じ。これは360度の指向性を得て「スイートスポット」を解消するためにある。

ドライバーユニットが下向きに付いた独特のレイアウト(画像はメーカー提供)

 音は周波数の高い成分ほど直進性が高く、そのためスピーカーユニットにも指向性がある。従来のユニットが正面を向いたスピーカーでも、リスナーがスピーカー正面の適正な位置にいれば、適正なバランスで聴ける。この位置がスイートスポットと呼ばれるもの。

 ところがスピーカーの正面から外れると、再生音のバランスは崩れてしまう。特に、小さな筐体で低域を増強するため、パッシブラジエーターのような工夫を盛り込んだBluetoothスピーカーでは、その仕組みが仇となる。スピーカーの正面から外れた途端に、低域しか聞こえないようなスピーカーになってしまうのだ。

 さらにステレオ再生の場合は、左右スピーカーとリスナーがそれぞれ三角形の頂点にあるのが理想。しかし、そもそも幅が十数センチ程度しかない、左右ユニット一体型のBluetoothスピーカーでは、これも無理がある。得られる音場感は大したことがないにも関わらず、スイートスポットで聴かなければ、というのは少々つらい。

 特にBOSEの場合は、ほかのメーカーよりも低域の再生能力を重視しているために、スイートスポットから外れた際のバランスの悪化が顕著だった。それを一気に改善しようという試みが、今回のRevolveとRevolve+なのだろう。

 まず左右一体型のステレオ構成を止めてモノラルにし、スピーカーユニットを水平に配置して指向性を改善した。実際にこのスピーカーの周り、どこにいても均一な帯域バランスで聴ける。

 もちろん他社からも「部屋を音楽で満たすため」ということで、ユニットが上を向いた指向性360度のBluetoothスピーカーはいくつも出ているが、そうしたものとの違いは、低域の再生能力とパワーだ。

大小Revolveの音の違いは低域再生力

 BOSEはアンプの出力やドライバーユニットの効率、インピーダンスなどを公表していないのでイメージしにくいが、どちらもかなりの音量が出る。そしてサイズが違うので当然なのだが、RevolveとRevolve+では低域の再生能力に差がある。

最大音量を自宅で試すと近所から苦情が出そうなので、リハーサルスタジオで試してみた

 Revolve+は、小規模なアコースティック楽器のライブなら、オケ出しに使えそうなくらいの音量が出る。屋外でも20人程度のBBQパーティーなら、十分にBGMを供給できそうだ。低域の重心はかなり低いが、パワーに余裕があるので、音量を上げてもなかなか破綻しない。ただし自宅で、特に机の上で使うような場合は、この低域の量感は持て余しそうだ。

 自宅で使うなら小さい方のRevolveがいいように思えた。低域の腰高感はあるが、それはRevolve+と比較した場合の話で、バランスとしてはこちらも優秀。Revolve+は、小音量時に低域のレゾナンスが気になる場合もあるが、Revolveでは感じなかった。

 大小どちらのRevolveも、再生音は接地する場所に影響を受けやすい。あまりに低域が出すぎる場合は、底部の三脚用のネジ穴を利用して、適当なスタンドで接地面から離すこともできる。屋外で不安定な場所に置きたいときにも有効だ。

底面には別売りのクレードル用接点と、三脚のネジ穴。写真はRevolve+

ステレオモードが最高!

 指向性360度の円筒型スピーカーのよさは、2台のスピーカー間なら、どこでもスイートスポットに成り得て、かつ自然な音場感が得られる点。それはRevolveでも同じだった。

 大小Revolveの持てる能力を最高に発揮できるのは「ステレオモード」で使った場合だろう。もしこのスピーカーが2台あれば、スマートフォン用のアプリ「BOSE Connect」を使って、スピーカー同士をワイヤレスでリンクできる。なお、モノラルで2台を接続する「パーティモード」と、「ステレオモード」が選べる。

Android/iOS向けのアプリ「BOSE Connect」(画像はiOS版)。ペアリングや操作時の音声ガイドの設定などもできる

 今回はRevolveとRevolve+という音質差のあるペアで試すしかなかったが、左右スピーカー間の広い範囲で、包み込まれるような音場が成立することは確認できた。

 Bluetoothスピーカーということで、高域の解像感は大したことはないが、ステレオで使うとそこに空間表現が加わるため、そうした情報量の不足は帳消しになる。特にボーカルの聴き取りやすさは素晴らしい。バッテリー駆動でワイヤレスなので、レイアウトも自由だ。この機種を買ってもし気に入ったのなら、もう1台買い足してステレオにすべきだ。

 最後に数少ない欠点を挙げておくと、Bluetoothゆえに遅延は存在する。動画再生時には、わずかながら音声もズレる。ミュージックビデオでは、残念ながら結構わかってしまう。でもほんのちょっとだ。そこは気にせず音楽を楽みたい。



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中