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まつもとあつしの「メディア維新を行く」第57回

「鷲宮には“何もなかった”から自由にできた」

らき☆すたの聖地・鷲宮が10年経っても安泰な理由

2017年01月15日 17時00分更新

文● まつもとあつし 編集●村山剛史/ASCII.jp

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コンテンツ/ファンと地域のギャップを埋める

 〈前編〉では、アニメ作品の聖地として注目を浴びた鷲宮町の10年間について、イベント企画・運営を主導した久喜市商工会の坂田圧巳氏、久喜市商工会鷲宮支所の松本真治氏にお話を伺った。

 この後編でも引き続き、ボランティアコミュニティーの受け入れ方、聖地としての今後の方向性などを語っていただいた。

2008年、月刊アスキー誌で鷲宮町を取材した際のイラストを再掲(肩書などは当時のもの/イラスト:shigezoh)
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―― ファンを受け入れるにあたって、地域での温度差もあると聞きます。はじめから、意識してファンをお迎えするという方針があったのでしょうか?

松本 わたしも商工会のメンバーもみなそうだと思うのですが、地域よりも、訪れた人がどれだけ楽しんでくれるかだと思いますので、経済効果を期待してグッズも少し利益が乗るよう高くしたりとかではなく、ファンが適正価格で買ってくれるものに極力近づけたい。利益を薄くしてでもなるべく手にとってもらえるように。

 そしてイベントを開催するときも入場料は設定せず、とにかく参加は無料、気軽に来て楽しんでもらおうというのが、まず意識としてはあったかなと思いますね。

―― 人が沢山来ることで困るという部分も必ず出てくると思います。たとえば警備のコストとか。徳島のマチ★アソビですと、ボランティアの人たちがかなり支えてくれていたりしますが。地元の協力・理解をどのように取り付けたのか、関心があります。実際クレームがゼロということはないはずですよね?

久喜市商工会の坂田圧巳氏
久喜市商工会鷲宮支所の松本真治氏

坂田 ところがほとんどないのです。メールではありましたが、匿名なので返しようがなく、また、匿名の批判に一々答えていても……という。

―― いわゆるお祭り時の警備体制が流用できるということでしょうか。人が沢山来ることで地元の負担が逆に増えることはありませんか?

坂田 ありがたいことに、あまりないですね。

松本 (一番最初に開催した)2007年12月のイベント来場者が3500人で、神社の周辺はじめパンク状態でしたが、このとき地元警察が驚いていました。「すごい、整然と並んでくれている」って(笑)

―― オタクの人は行列に慣れてますよね。

松本 普通この人数だと大騒ぎになっちゃうはずなのに、警察も驚くくらい、指示通り動いてくださった。結果、混乱するかなと思ったら、意外とそうでもなかったのです。これは我々も驚いたところですね。「じゃあ、最前列の皆さん、こっちに移動してください」と言ったら、皆さんビシっと移動しますからね。

―― 様々なイベントで“訓練”されていますから(笑)

松本 イベントのときはファンの方々に手伝ってもらいました。オリジナルストラップを販売する際も、早い者勝ちにしないルールが作られているのですね、彼らのなかで。列がAからCまであって、このA・B・Cのトップがジャンケンするんです。で、たとえばCが勝つとCの行列の人たちが買えるという仕組みでした。ですから、早く並ぶ意味がなくなる。それがもう当たり前みたいな感じで動いていて。

―― その場で、並んでいる人たち同士でどうしようかって言って、じゃあジャンケンにしようとなるんですか。

松本 はい。そして「えー!?」みたいな反応がないんです。ああ、そういう感じだよねって皆が納得している。

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