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行動を止めずに神経細胞単位での観察が可能に

小型生物を自動追尾するロボット顕微鏡「OSaCaBeN(オーサカベン)」

2016年05月20日 18時32分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

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OSACaBeN

 東北大学と大阪大学は5月20日、動く小型動物を高速で自動追尾して蛍光イメージングする顕微鏡「OSaCaBeN(オーサカベン)」を開発したと発表した。

 これは生物の神経細胞の働きを研究する目的で製作したもの。行動中の生物「線虫C. エレガンス」の観察に用い、動きまわる線虫を毎秒200コマで撮影、画像認識で自動的に追尾して画面中央に維持するだけでなく、光刺激遺伝子を用いた研究などで神経細胞を照射(プロジェクションマッピング)するプロジェクターも内蔵する。

 ロボット顕微鏡は「Optogenetic Stimulation Associated with Calcium imaging for Behaving Nematode(線虫への光遺伝子刺激とカルシウムイメージング):OSACaBeN」と名付けられている。

線虫 C. エレガンスのドーパミン細胞の活動の様子。4カ所の神経細胞はそれぞれ異なる活動状態にあることがわかる 

 線虫C. エレガンスは302個の神経細胞しか持っていないため、神経細胞の刺激と応答の研究に多用されるが、神経細胞とドーパミンの関係は人間の脳内でも同様に働いており感情など、さまざまな脳活動の元となっている。線虫のような単純な小型動物でも異なる性質のドーパミン細胞を持つことが判明したことにより、より高度な生物の脳と行動の関係を解明する糸口になると考えられる。

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