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メール運用、迷惑メール対策、マーケティング活用などをガッツリ語る

SendGridユーザーが語る!メール大量配信のここが落とし穴

2016年02月26日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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個人向けのWebサービスを展開しているWeb事業者にとって、メールシステムの運用はきわめて重要だ。現場ではどのような苦労があるのか? どのように活用しているのか? クラウド型メール送信サービス「SendGrid」を検証・活用するWeb事業者のエンジニアを集めて、本音を聞いてみた。(以下、敬称略)

dots.とコーチ・ユナイテッドがSendGridに至った経緯

構造計画研究所 SendGridエバンジェリスト 中井勘介(以下、構造計画研究所 中井):クラウド型メールサービスSendGridの日本での販売を手がけている構造計画研究所の中井です。今回はSendGridを検討・導入しているおもにスタートアップの導入担当者の方に集まっていただき、メールシステムの導入や運用の苦労やクラウド型メールサービスの率直な感想をお聞きしたいと思います。まずは杉山さん、自己紹介からお願いします。

構造計画研究所 SendGridエバンジェリスト 中井勘介

インテリジェンス dots. リードエンジニア 杉山隆(以下、dots.杉山):dots.のリードエンジニアということで、製品の選定やPM、社内の交渉、申請関連などいろいろやっています。今回、SendGrid導入にいたったのは、オプションプランでSendGridを安価に使える「IDCFクラウド」を導入している関係です。1日2万8000通くらいのメールを送っているのですが、スパム判定されることもあるし、開封率やどこがクリックされているのかもとれてないので、効率的なメール配信と分析のためにSendGridを検証している状態です。とはいえ、年末から別件の課金システム導入にかかりっきりで、検証作業はまだおろそかです。どうしてもお金になりそうなところから手を付ける傾向があるので。

インテリジェンス dots. リードエンジニア 杉山隆氏

構造計画研究所 中井:メールってやっぱり優先度下がるんですよね。私のお客様だと、ファーストコンタクトから導入まで最大2年かかったところがありました。データセンター閉鎖するとか、オンプレからクラウドに全部移行するとか、今使っているサービスが停止になるとか、やむを得ない事情がない限り、導入までなかなか進まないんですね。

dots.杉山:以前の会社で使っていたサービスは詳細な設定ができるんですが、ブロックリストやストック数の返値がXMLだったり、APIがSOAP型で使いづらい面もありました。もっと簡単で使いやすいがいいなということで、SendGridに至ってますね。

構造計画研究所 中井:最新版はJSONしか返しませんが、いまだにAPIがXMLじゃないと困るというSIerさんの問い合わせはあります。次はコーチ・ユナイテッドの富田さんです。

コーチ・ユナイテッド 技術責任者 富田陽介(以下、コーチ・ユナイテッド富田):「サイタ」という習い事サービスをやっているコーチ・ユナイテッドで技術統括をやっています。エンジニアが少ないので、サービス開発のほか、社内勉強会の企画やサーバーの面倒見たり、LANの敷設などなんでもやってます。SendGridに至った経緯ですが、もともとサイタはデータセンターの単一のサーバーでやっていたのですが、1日に2回くらい落ちていました。

コーチ・ユナイテッド 技術責任者 富田陽介氏

構造計画研究所 中井:それはやばいですね(笑)。

コーチ・ユナイテッド富田:はい。これではまずいということでサービスの分解とクラウド移行を始めました。メールに関してはpostfixを使っていたのですが、送信の部分だけ別にしようと自社の使い方も含めてクラウド型のメールサービスの導入を調べ始めました。でも、結局は導入を断念して、その経緯を2014年の9月くらいにブログに書きました。そこで、SendGirdに関して誤った記事を書いてしまったら、中井さんから“まさかり”が飛んできたのが、きっかけです(笑)。

構造計画研究所 中井:「SES、SendGrid、Mandril、Mailgunの採用を見送った話」というエントリですよね。けっこうはてブがついていて、いまだにリツイートされてますよね。でも、公開された当時、友人から「これは誤った情報じゃないか」という話が来て、ご連絡させていただきました。

コーチ・ユナイテッド富田:あのときはすいませんでした。移行後の記事もリンクしているので、許してください。そのときは「日本でもメールについてこんなにサポートしてくれる人がいたんだ」というのが中井さんの感想です。その後、2015年頭にチーム編成について再検討する時期があって、SendGridへの切り替えを検討し始めました。うちの使い方では、SendGridしか選択肢がないと感じで、5月に中井さんに来てもらったときにはけっこう検証が終わっていたので、8月くらいに移行が終わりました。

構造計画研究所 中井:どこらへんが決め手だったんですか?

コーチ・ユナイテッド富田:「もともとのSMTPをそのままAPIにしているだけです」という中井さんの一言に安心しました。ほかのサービスはけっこう上物かぶっちゃって、ログを見てもなぜ送信エラーが出ているのかわかなかった。その点、SendGridはSMTPの生の設定やログをチェックしながら、APIを使って作り込めます。

ピースオブケイクとクラウドワークスがSendGridに至った経緯

構造計画研究所 中井:ではピースオブケイクの今さん、お願いします。

ピースオブケイク CTO 今雄一(以下、ピースオブケイク今):ピースオブケイクでエンジニアをやっている今と申します。実装や採用、雑務などいろいろやってます。cakesは月額500円で課金するようなメディアで、noteは自分で投稿した記事に課金できるサービスです。メールの使い方としては、cakesでは1日15~16万通くらい、noteは週2回のメルマガとトランザクション系のメールを送っています。

ピースオブケイク CTO 今雄一氏

構造計画研究所 中井:noteはイケハヤさん、はあちゅうさん、梅木さんの記事で非常に話題になっているサービスですよね。どういった経緯でSendGridに行き着いたのでしょうか?

ピースオブケイク今:前CTOから引き継いだ時はどうやってメールを送っていたか知らなかったのですが、いろいろ調べていたら非効率も多かったので、2年前くらいにSESを導入しました。でも、cakesとnoteのメールシステムを統合して信頼性、追跡機能を高めていこうという話になった際に、SESだとIPアドレスが共用だったり、日本のキャリアに届かない疑惑があったり、細かい追跡が難しそうといった問題があったので、SendGridを試しました。正直、SESは安いので迷ったのですが、将来を見据えて中井さんと相談してSendGridにしました。

構造計画研究所 中井:次はクラウドワークスの大場さんです。

クラウドワークス 執行役員 CTO 大場光一郎(以下、クラウドワークス大場):クラウドワークスのCTOをやっている大場です。前任のCTOが取締役で在籍しているので、いっしょにシステム開発や技術統括をしています。最近は社内ネットワークのスイッチの負荷をDataDogで監視するとかやっています。

構造計画研究所 中井:やっぱりLANの管理は欠かせないんですね(笑)。SendGrid導入の経緯を教えてください。

クラウドワークス大場:Webのサービスから送るトランザクションメールに関しては、創業時の3年前くらいにSESを検討していたのですが、ケータイキャリアに届かないという問題があって、EC2にpostfixを立て自前で送信していました。一方で、メールマガジンの配信などのマーケティングメールの送信も増え、メール到着に遅れが出るなど配信量の限界に達し始めました。そこでまずはマーケティングメールの移行を検討し始めました。

クラウドワークス 執行役員 CTO 大場光一郎氏

構造計画研究所 中井:そこでSendGridの検討を始めていただいたのですが、そのときは導入までに至らなかったんですよね。

クラウドワークス大場:SendGridだと大量配信になればなるほどお得になるのですが、マーケティングメールだけだと、そこまでの量ではなかった。なので、いったん導入はあきらめて、他のベンダーと自前で送信する方法を模索していました。でも、マーケティングメールだけではなく、トランザクションメールの送信負荷もいよいよ上がってきたので、結局はトランザクションメールとマーケティングメール合わせて全面移行することにしました。全体で1日8万通くらいのメールになるので、SendGridでなら多くのユーザーへ向けた配信できるメリットも出ます。中井さんに連絡とったら、めちゃくちゃレスポンスよく対応いただきました。

構造計画研究所 中井:あのときは大変でしたね。

クラウドワークス大場:はい。移行に当たっては、慎重に計画して段階を踏んで移行するため、もともと使っていた配信サービスとSendGridを併用していたのですが、クラウドワークスから配信しているメールサーバーが共用IPのようにたくさんのIPアドレスに見られてしまったらしく、Spamhausのブラックリストに入れられてしまったんです。

構造計画研究所 中井:そのときはSendGridからアラートが来て、現地とやりとりして、1日くらいで解除してもらいました。ただ、IPアドレスが多いだけでブラックリストに載るわけではなく、スパムトラップ※のように無効なメールアドレスが混ざっていたため、誤ってスパム業者だと判定されたらしいです。だからリストのクリーニングは絶対にしたほうがいいです。

※スパムトラップ:Webサイト上に掲出しておき、スパム業者に収集させるおとりのメールアドレス。そのメールアドレス宛にメールを送り続ける事業者をスパム業者と判定する。

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