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時代はsendmailからSendGridへ?クラウド時代のメールプロバイダー

スタートアップから大手にまで愛されるSendGrid本格上陸

2013年12月12日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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米SendGridは、Webサービス事業者にターゲットしたクラウド型のメール配信プロバイダーだ。PinterestやFoursquare、Groupon、多くのWebサービスのバックエンドで利用されているが、このほど構造計画研究所と提携し、日本でのビジネスを本格的にスタートした。

全世界の2%にあたる100億通/月を配信

 2009年に設立されたSendGridは、メール配信というインターネットではもはや古典的ともいえるサービスを、クラウド上で効率的に行なうメール配信プロバイダーとして知られている。支払い受付や発送などを通知するトランザクションメールのほか、商品の宣伝や広告などを含むマーケティングメールの配信までを確実に行なえる。

 SendGridのユニークな点は、Webサービス事業者の開発者をレバレッジしている点だ。同社の顧客は、PinterestやFoursquare、GrouponなどWebサービス事業者が多く、スタートアップのために1日200通まで無料というサービスプランも用意している。

SendGrid CEOのジム・フランクリン氏

 米SendGrid CEOのジム・フランクリン氏は、「われわれはWebの開発者にフォーカスしており、ゲームやSNS、ジョブ、ディーリングなど、さまざまなWebサービスのメールインフラを担っている。確かにWebサービス事業者にとって、メール配信はサービスの一部に過ぎないが、必要不可欠な部分でもある。OSSを使って立ち上げることも可能だが、サービスが拡大すると共にスケールや信頼性の点で課題を抱えることになる」と語る。その点、SendGridは毎秒5000通のメールを配信。全世界の2%を占める月間100億通のメール配信を支える、まさにハイパースケールなサービスとなっている。

 また、クラウドサービスとして重要なAPIも完備されているほか、HerokuやWindows Azure、Salesforce、IBM SmartCloud、Google、EngineYardなどのクラウドサービスからSendGridを利用することも可能だ。「たとえば、Herokuはわれわれのユーザーだが、Herokuの開発者もわれわれのユーザーといえる。Pinterestも同じ関係だ」(フランクリン氏)。日本でもHerokuやWindows Azure経由で使っている200~300社の顧客がおり、すでに実績も十分だ。

Amazon SESに対抗できる唯一の対抗馬

 こうしたクラウド型のメール配信サービスに関しては、AWSのSES(Simple Email Service)が高いシェアを誇っている。「確かにわれわれは2位で、残りを10社くらいが争っている。でもグローバルでインフラを提供でき、AWSに対抗できるのは、SendGridくらいだ。他のメールサービスはスケールや信頼性に関して、なんらかの限界を抱える」と語る。

クラウド型メール配信サービスの市場動向

 これに対してSendGridではメールの到達性を高めるISPモニタリングやSPF/DKIMなどの送信元認証、固定IPアドレス、独自ドメインなどさまざまな機能を標準搭載するほか、もちろん、モバイルでの受信もサポート。「開封済み、クリックトラッキングなどの分析機能も持っており、利用状況をヒートマップで見ることができる」(ジム氏)とのことで、マーケティングにフォーカスした機能も充実している。

 もう1つの強みはクラウドサービスで貧弱と言われることも多いサポートだ。「グローバルでメールや電話、チャットなどさまざまな手段でサポートを行なっており、しかもレスポンスも速い」(ジム氏)とのこと。実際、日本からの質問に数分で回答が返ってきたという顧客の話もあり、満足度は非常に高いという。

Web開発者を手厚くサポートする構造計画研究所

 この米SendGridと提携し、日本でのサービスをサポートするのが、構造計画研究所だ。構造計画研究所は、文字通り建築物の構造設計業務を中心に展開する企業だが、構造設計のために古く1960年代にIBMのコンピューターを導入した関係で、現在ではソフトウェア開発、設計支援、シミュレーション、意思決定・マーケティング分析まで幅広く手がけている。

 今回、構造計画研究所では日本語のWebサイトやサポートはもちろん、ドキュメントの提供、請求書払いの日本円決済まで対応し、他社経由の利用でもサポートを提供するという。構造計画研究所 執行役員の猿渡青児氏は「弊社のCEOは、B2Bではなく、B2D(Business to Developer)と言っていますが、われわれは古くからソフトウェア開発やシミュレーションなど開発者とリレーションを持ってきました。こうした関係を活かし、開発者に対して手厚いサポートを提供して行きます」と語る。

構造計画研究所 執行役員 猿渡青児氏

 今回の提携は、CEOであるジム・フランクリン氏が前職で構造計画研究所と深いか関わりがあったこと、そしてクラウドとSendGridに魅せられた事業開発部 SendGrid エバンジェリスト中井勘介氏の熱意から実現したようだ。同社での初めてのクラウドビジネスを推進してきた中井氏は、機能面やサポートにとどまらない付加価値について、「やはり弊社はSendGridと綿密な関係を持っているので、日本の意見をうまくサービス盛り込めると思います。実際、インターネットの規約と異なる日本のケータイなどにもいち早く対応してくれました」と語る。

構造計画研究所 事業開発部 SendGrid エバンジェリスト中井勘介氏

 日本でのビジネスは、やはり大手企業のR&D部門などがターゲットになるが、中井氏は「個人としては、日本のスタートアップに使ってもらい、世界に出て行くのを応援したいという思いもあります」と考えているという。

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