このページの本文へ

「ふるさとテレワーク」は地方を救うか!?第2回

邪魔なのは「本社」という格差概念

テレワークで加速!会津若松で急成長する「データ分析産業」

2016年03月04日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

600名規模のビッグデータ解析拠点へ

 テレワークの“場”としては「福島イノベーションセンター」のほか、市内の古民家を改修したサテライトオフィスを用意した。移住者はアクセンチュアの11名に、ブリスコラと日本エンタープライズの社員を加えた18名。アクセンチュアはさらに6名現地採用しており、計24名がテレワークで実際に業務を行った。アクセンチュアは法務部門などのバックオフィス業務も対象としたのが特徴だ。

古民家を改修したサテライトオフィス。ブリスコラと日本エンタープライズがテレワークを実施
趣きのある階段スペース打ち合わせルーム

 結果「テレワークのシステム的な支障は何もなかった」という。アクセンチュアで日常的に利用していたシステムなので、当然といえば当然だ。コミュニケーションツールやネットワークも発達し、もはや「技術的に」テレワークを妨げるものは存在しないと言ってもいいだろう。  

 併せて「生活情報支援サービス」も検証。従来からある市民ポータルサイト「会津若松+(プラス)」に移住者向けメニューを追加し、「会津にはどんな産業があるのか?」「住宅事情は?」「教育・医療は?」といった情報を提供したほか、原発事故による風評被害もあるため、「子供の安心・安全」を伝えるコンテンツも発信し、問題なく利用できた。

会津若松+(プラス)

 中村氏は「生活情報支援は、移住者が新しいコミュニティでちゃんと生活できるかという不安感を取り除くもので、一番重要だと考えている」と話す。例えば、人付き合いが得意な人はすんなり地域に溶け込めるものだが、中には「折角東京でコミュニティを作ってきたのに、またイチからか」とすり減る人もいるはずで、こうした心理的ハードルが、実は移住の決断を左右する大きな要因となるからだ。

 中村氏は、地方にもメンターのような存在が必要だと指摘する。

 「受け入れる側が歓迎の気持ちを持って、移住者に『あの人がいれば安心』と思える環境を作ってあげるのが重要。自分もこちらに移住してきた頃、会津大学の理事に相談に乗ってもらって助かった。企業が事業を始めるときも『あの人に相談すべき』とか『市役所のキーマンは誰か』などを教えたり、相談に乗れる環境や人材を用意することで、物事がスムーズに進むはずだ」(同氏)

 また「企業が地方で事業を始めようと思ったときに、いきなり実拠点を構えるのはハードルが高い。事業内容がその土地に本当にマッチしているのかを確かめる意味でも、テレワークで業務を試せるのは意義が大きい」と、地方創生とテレワークの「相性の良さ」を述べている。

 こうした成果から、会津若松市ではサテライトオフィスを2号棟・3号棟と拡張していく計画という。さらに2018年の開業を目指し、大規模なICT専門オフィスビルを整備する予定だ。「約600名が働くビッグデータ解析拠点」とのことで、企業誘致の大きな成功事例となりそうだ。そこへ入居する予定の企業にも、テレワークを体験できる環境として、今回のサテライトオフィスを公開していくという。

 一方、当然だが明らかになった課題もある。

この連載の記事
最新記事
最新記事

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

ピックアップ