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グループ4社でテレワーク・デイを実施、4月から“回数無制限”テレワーク制度導入へ

「10年前から制度だけはあった」レノボがテレワークに本腰

2016年03月07日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 「当社でも10年前からテレワーク制度は存在したが、利用度は低かった」と語るレノボ・ジャパン。3月4日、グループ4社で全社員がテレワークを実践する「テレワーク・デイ」を実施した。4月からは「回数制限なしの」テレワーク制度を本格導入するという。同社担当者がこれまでの取り組みと成果、そして課題を説明した。

テレワーク・デイにつき、ほとんど社員のいないレノボ本社オフィス。今回は対象社員の94%がテレワークを実践した

「10年来取り組んできたが普及しない」テレワーク制度を根付かせたい

 今回の実施対象は、レノボ・ジャパン グループ4社(レノボ・ジャパン、NECパーソナルコンピュータ、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、モトローラ・モビリティ・ジャパン)の東京オフィス勤務者。コールセンターやインサイドセールスなど、個人情報取り扱いなどの理由で社外業務の難しい一部部門を除いて、同日は対象社員の94%(547名中514名)がテレワークを実施した。

 テレワーク・デイ実施の背景には、今年4月から本格スタートさせる「回数制限なしのテレワーク」制度を社内に浸透させ、制度の利用を促すとともに、業務を円滑に遂行するうえでの課題を洗い出す狙いがある。

レノボ・ジャパン アライアンスセールス オペレーションマネージャーの村上武士氏。ワークスタイル変革の社内特命プロジェクトも率いる

 同社でワークスタイル変革プロジェクトを率いる村上武士氏は、「テレワークには10年来取り組んできたが、なかなか普及しなかった」と、これまでの取り組みを振り返る。

 実は、レノボ・ジャパンでは2005年の創立時からテレワーク制度(上限は週1回)が存在した。しかし、実際のところこの制度を利用してテレワークを実施する社員は少なかったという。「〔かつてのテレワーク制度は〕自分もほとんど使ったことがない。使おうとしても業務上の障害が大きく、積極的に使おうという社内の“雰囲気”もなかった」(村上氏)。

レノボ・ジャパンにおけるこれまでのテレワークへの取り組み。テレワーク制度は2005年から存在したが、実際の利用度は低かった

 その後同社は、2011年3月の東日本大震災発災を経て、2014年11月の本社ビル移転を契機に固定電話廃止と「Microsoft Lync(現Skype for Business)」の全社採用に踏み切る。ここでインフラ面での準備が整った、と村上氏は語る。

ちなみにレノボのオフィスは、個人の固定席+フリーアドレス制を採用している。固定電話はなく、Wi-Fi+Skypeでどこでも仕事や会議ができる

テレワーク試行の結果、約半数の社員が「生産性向上」を実感

 4月から導入する回数制限なしのテレワーク制度を前に、昨年12月にはパイロット版の取り組みをスタートした。社外講師やテレワーク推進企業(サイボウズ)などを招いて、その意義や必要性を社内の共通認識として根付かせる取り組みも行ってきたという。社内会議も、なるべくSkypeを使ってオンラインで実施することを奨励している。

 その結果、テレワーク制度が全社に浸透し、88%の社員がテレワークを利用したという。「インフラへの追加投資なしでも、『テレワーク制度を使っていいよ』とあらためて告知するだけで、約9割が利用した」(村上氏)。さらに実施後、半数の社員は「生産性が向上した」と答え、ワークライフバランスが向上したという社員は約8割に達している。

パイロット版テレワーク制度実施の成果。制度利用者が34%→88%へ向上し、半数の社員が生産性向上を実感

 特に、子育て中の社員や家族介護中の社員からは、テレワーク制度を評価する声が高いという。「わたし自身も、朝ゆっくり子供と話す時間ができたり、夕食に間に合わせるために焦って仕事を切り上げるようなことがなくなった」(村上氏)。

 一方で、マネジメントや業務フローなど、これまでの業務手法との間に残された課題ももちろん多いという。一部ではまだテレワークに消極的な社員もいるが、そこは「いきなり文化やマインドは変わらない」と割り切って、粘り強く取り組んでいく姿勢だと語った。

パイロット版テレワーク制度実施後の社員アンケートより。実施したことで浮き彫りになった課題もある

 なお、テレワーク利用回数を従来の「週1~4回まで(グループ各社で異なった)」から「無制限」に拡大したことについて、村上氏は「回数制限に意味があるのか、一度無制限にしてみては」という議論があったと語る。現在のところ、無制限にしたことによるトラブルは特に起きていないという。

システムもルールもシンプル、レノボ流のテレワーク

 「テレワークのための追加投資はしていない」という村上氏の言葉どおり、レノボのテレワーク環境はシンプルなものだ。VPNを使って社内ネットワークにログインし、前述したSkype for Businessを使って社内コミュニケーションや会議、外部との電話を行うほか、各種社内システムも利用できる。ただし、ITインフラはグローバルのレノボグループで共有しているもので、スケーラビリティやサービス品質、セキュリティは十分に担保されているという。利用するPCも、もちろんドライブの暗号化を行っている。

テレワーク環境は非常にシンプル。特に追加投資もしていないという

 テレワークの社内ルールもシンプルだ。「(原則として)前日までに申請しておくこと」「ふだんオフィスで使っている業務PCを持ち帰って使うこと」「業務中はSkypeを立ち上げておくこと」「始業時には管理者に『今日行う業務』を宣言し、就業時に達成度を報告すること」。

 これらのルールのうち「実施する業務の宣言と報告」は、マネジメントを機能させ、社員の働き過ぎを防ぐために大切だと村上氏は説明する。加えて、業務効率化にもつながったそうだ。「今日やる業務を宣言することで、自分自身にも業務が可視化される。それによって業務がはかどる」(村上氏)。

 同日の説明会には、レノボ・ジャパン 代表執行役員社長の留目真伸氏も出席した。先月のエンタープライズ戦略発表において「日本を再びIT活用の先進国に」と語った留目氏は、ワークスタイル変革は「社員のワークライフバランス改善」という社会的要請の実現だけでなく、企業としての「デジタル変革」を推し進める取り組みでもあることを強調した。

 「“未来型の大企業”に変化していくためには、社員一人ひとりの『時間の使い方』『働く場所』『日常で付き合う人』といった、身近なところからの変革、イノベーションも求められる。それがテレワークを実践する理由の1つだ」(留目氏)

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