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プリンストンが販売する高機能ストレージ「Drobo」を活用しよう 第10回

SOHOで仕事始めるならDrobo B810n買ってみる?

2016年02月23日 13時00分更新

文● 飯岡真志 編集 ●金子/ASCII.jp

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HDDを固定するレバーは、Drobo 5N/5Dと比べると多少固めの手応えがある。HDDの上面(ラベルのあるほう)をドライブベイのフタに刻印されている矢印の向きに合わせて挿入する

Drobo B810nをセットアップ

 それでは、実際にDrobo B810nを箱から出して使える状態にしてみよう。といっても、これまで紹介してきたDrobo 5D/5Nと共通する部分も多く、難易度は決して高くはない。

 まずはネットワークケーブルを接続(とりあえず1本)して、電源投入し、Drobo Dashboard上に現れることを確認する。Drobo B810n本体が起動すると、ネットワーク上のマシンで動かしているDrobo Dashboardから見えるようになる。なお、特に測定はしていないが、感覚的にはDrobo 5NよりもDrobo B810nのほうが起動に時間がかかるように感じた。

 Drobo Dashboardの指示に従ってHDDを追加していくことで、HDD 2台の状態でNASとして機能するようになる。

 この状態でもとりあえずデュアルディスク冗長化を試そうとしたが、HDDの台数が足りない(デュアルディスク冗長化は最低3 HDDが必要)ので、Drobo Dashboard上ではチェックボックスがグレイアウトされていることが分かる。

Drobo B810nが起動すると、Drobo Dashboard上に現れる

とりあえず最小構成で起動!

HDDが2台の状態では、デュアルディスク冗長化のチェックはグレイアウトされている

 そこでもう1台HDDを追加してやると、今度はデュアルディスク冗長化を選択できるようになる。チェックを入れて、OKをクリックすると、実効容量がどれくらい減少するかを示すダイアログが表示されるので、ここもOKをクリックする。このようにデータ保護の設定を変更する場合でも、操作はとても簡単なことが分かるだろう。

 デュアルディスク冗長化に変更している最中も、既存のデータにはアクセス可能だ。

HDDを3台以上追加した状態だと、デュアルディスク冗長化を選択できるようになる

デュアルディスク冗長化を選択した場合の実効容量の減少量が表示される

 次はリンクアグリゲーションを試してみた。Drobo Dashboard上では、「Network Interface Bonding」と書かれている。手順としてはまず、Drobo Dashboard上で「Network Interface Bonding」にチェックを入れ、OKをクリックする。するとDrobo B810n本体の再起動を促されるので、そのようにする。2本めのネットワークケーブルは、この再起動後に接続すると良いだろう。

 このように、リンクアグリゲーションの設定も非常にシンプルで、簡単に行える。

リンクアグリゲーションの設定もチェックを1個入れるだけだ

リンクアグリゲーションを設定して再起動すると、有効なネットワーク・インターフェイスが1つになる(2のほうがグレイアウトしている)

リンクアグリゲーションの効果はある、と思う

 リンクアグリゲーションの設定の有無によって、転送性能に差が出るか、とても気になるはずだ。もちろん筆者も気になったので、さっそく試してみた。Drobo B810n(HDD×8)をドライブに割り当てたWindows 10マシン(ギガビットEthernet接続)上で、CrystalDiskMark 4.0.3(64ビット版)で測定するという手法だ。CrystalDiskMarkの設定は、デフォルトのままとした。

 例によって、Droboとのデータやり取りの数値はばらつきが大きめなので、各条件でのチャンピオンデータ(最大値)を紹介する。

 リンクアグリゲーションなしの状態でも、シーケンシャル読み出し/書き込み(マルチスレッド)ともに110MB/sec台と、ほぼほぼギガビットEthernetの帯域を使い切る値を示した。タスクマネージャー上でも900Mbpsを超える値が出ており、ギガビットEthernetが律速している状態だ。

読み込み/書き出しともに110MB/sec台を記録している

タスクマネージャーの「イーサネット」の項目も900Mbps以上の値となった

 続いて、リンクアグリゲーションを有効にした状態で測定を行ったが、ほとんど変わらない値だった…… あったり前田のクラッカーである。WindowsマシンのほうがギガビットEthernetのままなのだから! 家探ししてみたが、ギガビットEthernetを備えたマシンがこの1台しかないというASCII.jpのライター失格な体たらくである。

 仕方ないので、Windows 10をインストールしたノートPC(100BASE-TX)とMacBook Pro(IEEE 802.11n)を用意し、Drobo B810nとの間で継続したデータ転送を行いながら、ギガビットEthernetのWindows 10マシン上でCrystalDiskMarkによる測定を行ってみた。100BASE-TX経由のデータ転送は約11MB/sec、IEEE 802.11n経由のデータ転送は約10MB/sec程度だった。

 リンクアグリゲーションを無効にした場合、この状態でのCrystalDiskMarkのシーケンシャル読み出し/書き込み(マルチスレッド)は、90MB/sec台まで低下した。順当な結果と言える。

 一方リンクアグリゲーションを有効にすると、読み出しについては110MB/sec台と単独で測定した場合と遜色ない結果が得られたが、書き込みについては90MB/sec台のままだった。これはマルチスレッドでの測定のため、Drobo B810n内のドライブへの書き込み動作が重複することが原因と思われる。

複数のクライアントからDrobo B810nにアクセスした状態では、CrystalDiskMarkの結果が低下している

リンクアグリゲーションを有効にすることで、読み出しについては性能の低下を抑えることができた

 リンクアグリゲーションの効果を試すのに十分な負荷をかけられなかった可能性もあるが、リンクアグリゲーションは1つのタスクでの転送速度を上げるというよりは、多数のタスクが重なった際の性能低下を抑えるという意味で、効果があると言えるだろう。

Drobo B810nは買いか?

 本体価格が28万8000円(税込)で、さらに最大8台のHDDを揃えるとなると、Drobo B810nの導入コストはそれなりに高くなる。しかし実効容量が数十TBオーダーで8ベイを備えたNAS製品として見れば、その価格はむしろ激安と言えるレベルだ。さらに、一般的にハイエンドな大企業向けNASにしか搭載されていない「自動最適配置機能」を搭載する、手軽に大企業向けのハイエンドスペックを手に入れられる貴重なモデルだ。

 そうでありながらDrobo B810nは、使用状況に応じて実効容量を増加させられるというDroboシリーズならではの特徴を備えている。管理も非常に簡単で、ストレージアレイに関する専門知識を持たないユーザーにも扱えるメリットはそのままなのだ。

 大量(数十TBオーダー)かつ重要なデータを扱う個人やSOHOにとって、また「Drobo 5Nは良いんだけど、もう少し容量が欲しいんだよなあ」と思っていたユーザーにとって、Drobo B810nは文句なしに「買い」の製品である。

NASモデルやサーバールーム向けモデルもラインアップ

 Droboシリーズには、家庭向けからサーバーとの接続に使うハイエンドストレージまで、多くの製品を用意している。ここでは、大企業の部門/中小企業から、家庭でも使える製品を紹介しよう(写真をクリックすると、メーカーページに飛びます)。

本記事で紹介している5ベイ搭載のNAS製品「Drobo 5N」。最新ファームウェアVer.3.5.5で、64TB・4Kn HDDに対応。

5ベイ搭載、USB 3.0/Thunderbolt対応の「Drobo 5D」

2015年12月に発表された「Drobo B810n」。8ベイ搭載で、Gigabit Ethernetポート×2によるポートボンディング機能、4Kネイティブ(4Kn)HDDに対応する。アクセス頻度の高いファイルを自動的にSSDへ配置し体感速度を向上させる「Automated Data-Aware Tiering」をDroboのNASモデルとして初めて搭載する

iSCSIに対応し、12ベイを搭載する企業向けモデル「Drobo B1200i」

(提供:プリンストン)

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