量産リスクに気をつけて
──スイッチサイエンスさんはMaker Faire Tokyoにも出展しています。
Make: Tokyo Meetingの2回目からですね。当時は基本的にはArduinoとか輸入商品ばっかりで、自社商品は本当に少なかったんですが、ありがたいことにかわいがってもらって。ブースに立ってると「いつもありがとうございます」と言ってきてくれてる。いやこっちがありがとうございますという話です。
──2008年の創業以来、Makerのみなさんと一緒に歩んでこられたと。
もしみなさんにお願いすることがあるとすれば、「ちゃんと利益をとりましょう!」です。部品代にちょっと手数料を乗せただけじゃ、結局のところ誰も得しないんですよ。人気が出て「100個ください」と言われたとき、おなじ設計で100個はつくれません。部品の選び方も基板の作り方も変わってきます。
──使ってもらいたいのはわかるけど、利益は担保しておきなさいよと。
全体的にみなさん幸せになるために、適性な利益をとるようにしてもらいたいです。あと最近、逆の意味でハードウェアスタートアップに気になるところがあって。
──なんですか。
それこそ10個つくった段階でコストの積算をやっちゃって、なんとかなるんじゃないレベルで始めちゃって、やってみたらコスト見合わなかったとかいう話があるんですよ。
──げっ……。
歩留まりだって、10個なら自分で選別すればいいですが、100個のうち20%が不良品だったら大変でしょう。まずは専門家に相談してほしいんです。チップが1個のっているだけのものでも、量産は怖いです。
──スイッチサイエンスさんには製造業としての顔もあります。もしかして、自社で何かやりましたか。
じつは、1個売って100円、200円儲かるというくらいの商品に、線を1本引くのを忘れただけで数万円ふっとんだということがありまして……。
──エンジニアが泣きそうな話です。
それを聞いて萎縮してもらっても困りますが、リスクを理解した上でやってもらいたいと思います。とにかく、量産を考えるならまずは専門家に。なんならぼくらでも相談に乗れることはあると思いますから。