米国から撤退し、再度米国市場に参入する
もうひとつの取り組みが、海外展開だ。
すでに上海、深せん、ホーチミンに進出しているが、昨年、米サンフランシスコに拠点を開設。同社ナンバー2となる山田理副社長を常駐させて米国市場での事業拡大を目論む。
米国市場への取り組みに対する、青野社長の思い入れは強い。
「私が社長に就任したのが10年前。最初の決断が米国からの撤退だった」と振り返り、「ようやく米国の競合企業と同じ土俵に乗ることができるところにきた」とする。
「当時は、米国ではスケジュールを共有したがらないという文化があることを熟知していなかったり、投資金額が中途半端であった点も反省材料。だが、いまでは、上場前にも関わらず数10億円規模を調達する米ベンチャー企業に対抗できるだけの手元資金を持ち、体力もついてきた。2005年には28%だった離職率は、現在では4%にまで下がり、優秀な社員も育ってきた。米国でも優秀な人材を確保している。また、クラウド向けプラットフォームのkintoneという強い製品も手元にある」と、米国市場で戦う体制が整ったことを示す。
「米国への展開は、サイボウズ設立以来、17年間の集大成。これで駄目だったら、私をばっさり切ってください」と、まさに不退転の覚悟で、米国市場に挑む姿勢をみせる。
「世界最強の市場で評価をあげなくてはならない」と、青野社長。2015年度の赤字決算の見通しは、クラウドシフト、米国進出という2つの大勝負に挑む姿勢の裏返しだといえる。
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