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2016年度の事業戦略を発表、青野社長がさらなるクラウドシフトを語る

“kintone革命”で多重下請け構造変革を、サイボウズの2016年

2016年03月01日 08時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 サイボウズは2月29日、2016年の事業戦略についての説明会を開催した。青野慶久社長は「2016年は『kintone』ビジネスを充実させる1年になる」と述べ、kintoneを通じて「パートナーおよび顧客とのつながりを次の段階へと進めるための重要な1年になる」と位置づけた。

サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏

米国でも導入実績増加、kintoneの拡大でアプリ開発の“革命”を

 kintoneの具体的な目標としては、現在3945社の導入実績を、2016年度上期中には5000社以上へと拡大すると語った。月200社以上の新規契約を維持することで、年度末までには6000社以上への導入を目指すことになる。

kintoneの契約社数はまもなく4000社に

 「導入社数の拡大だけでなく、1社あたりのユーザー数の拡大にも取り組みたい。さらに“kintone革命”を打ち出し、日本で課題となっている多重下請け構造を変革したいと考えている。クラウド&IoT時代への社会変革や、日本発グローバルソフトウェア企業にも挑戦していく」

 kintoneで多重下請け構造をどう変革できるのか。青野氏は次のように語る。

 「kintoneは、プログラミング知識や専門知識が不要で、ドラッグ&ドロップで業務システムを開発することができる。さらに、開発プロセスも大幅に削減できるのが特徴であるため、要件定義や仕様書作成、検収といった作業をなくし、ユーザーのもとで開発し、すぐに利用してもらい、さらに改善を加えるという繰り返しが実現できる。kintoneを使うことで、規模の小さい会社でも、直接、顧客とやりとりができるようになる。これにより、業界の大きな課題である多重下請け構造を崩すこともできる」

 青野氏によると、kintoneでは1日あたり728件のアプリが開発され、現在では24万件以上のアプリが稼働しているという。また実際に、同社パートナーの中では、大手企業との直接取引を行う小規模システムインテグレータが増加しているという。

 「日々、アプリが量産されている状況にある。サイボウズ社内でも、2000~3000件のアプリが使われている」

kintone上では1日平均700件以上のアプリが開発されている

 kintoneは、米国市場においても導入実績が上がりはじめているという。

 「kintoneによって、日本発のグローバルソフトウェア企業になれる手応えを感じている。企業名は公表できないが、グローバルIT企業、電子制御装置の多国籍企業、国際的なスポーツ用品メーカー、世界大手のヘルスケア企業などに導入実績があがっている。だが、当社の体制が追いついていないのが課題。現在、サンフランシスコには12人体制となっている」

米国市場でも導入実績が出てきている

「業種・業務提案ができるパートナーとの連携強化」などを掲げる

 2016年の同社事業全体においては、製品面では「APIの充実化」「他社製品との連携」「サイボウズ製品間の連携強化」に取り組む一方、セールスおよびマーケティングでは「業種・業務提案ができるパートナーとの連携強化」「エバンジェリストとの連携強化」「地方創生活動を強化」に取り組む考えを示した。

2016年度 サイボウズの事業戦略(全体)

 「業種、業務がわかるパートナーとの連携強化を図っていくことになる。基幹システムとの連携、センサーとの連携などによるAPI連携のほか、Javaスクリプトの利用、Google Mapの表示など複雑なカスタマイズにも対応できるのも強みになっている」

 なお「AWSやAzure上で、kintoneを動作させる可能性は否定しない」とも述べている。

 さらに、デベロッパーネットワークに3510人が登録。前年比で2.1倍増となっていること、有志が主催する勉強会である「kintone Café」が、これまでに3カ国19都道府県で72回開催されていることなどにも触れた。

 「私はいま44歳だが、残りの仕事人生をkintoneに掛ける。その姿勢は変えない」

積極的なクラウド広告費の投入で2015年度は「予定どおり」赤字決算

 2015年度(2015年1月~12月)連結業績は、売上高が前年比17.6%増の70億1300万円、営業損益は前年の2200万円の黒字からマイナス3億8100万円の赤字へ、経常損益は前年の700万円の黒字からマイナス3億3800万円の赤字へ、当期純損益は前年の1100万円の黒字から、マイナス2億1700万円の赤字へとなった。

 売上高はクラウド関連サービスが伸張。その一方で、引き続き積極的な広告宣伝投資を行い、広告費は前年の14億8000万円から、17億4600万円へと18.0%増加。これが赤字の要因となった。

 青野社長は「2014年度は、赤字化を計画したが黒字になってしまった。その反省から、2015年度は期初からさらに大きな赤字の計画とし、クラウドに関する広告宣伝投資を加速。その通りの赤字になった」と総括。「パッケージとクラウドでは収益率に違いがあり、そのビジネスの転換期にあること、また、サイボウズは、創業1年目から18年間に渡って黒字であり、『必ず黒字体質でなくてはいけない』という形で次世代にバトンを渡すようなことはしたくはないという気持ちもあった。創業者も赤字にしたという実績を作っておきたかった」と述べた。

 クラウドビジネス拡大に向けて、企業イメージを高めるために広告宣伝費を拡大した成果が、2016年度にどう影響するかが注目される。

 一方で、クラウドサービス「cybozu.com」の有料契約者数は1万3000社を突破。青野氏は「セールスフォース・ドットコムと比べても遜色がない規模」と語る。またパートナー数は、2014年には170社だったものが、2015年12月末には230社に拡大したという。「クラウドインテグレータへの支援を強化。コミット度の高いパートナーにより、基幹系システムとしての導入をはじめ、多くの大手企業で導入実績があがっている」。kintoneの売上高は、前年比2.2倍になっているという。

 さらに、企業ロゴの変更や、東京および大阪のオフィス移転、仙台および松山での営業拠点の開設、札幌のサポートセンターの開設。大阪の営業所と開発拠点を統合するなど、体制強化にも取り組んだ1年だったという。

 また、サイボウズ中国の導入実績も、2015年10月末時点で580社を超えたという。

2015年度までの売上推移

 2016年度は、売上高が前年比14.1%増の80億円、営業利益、経常利益、当期純利益ともに黒字転換し、いずれも1億円を目指す。

 「2期連続での赤字は、パートナーに対して不安をもたらす可能性もあることから、2016年度は黒字を目指す。だが、投資が必要であると考えれば、柔軟に方針を変えていく」

 2015年実績では、クラウド事業の売上高は全体の39%を占めているが、「今年はどこかのタイミングで、クラウドにより売り上げ比率が半分を超えるだろう」と、クラウドビジネスの成長を予測した。

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