定番ベンチマークを実行
結果にバラツキが!
「CrystalDiskMark」の1000MBで計測したのだが、シーケンシャルリード95.87MB/s、シーケンシャルライト184.5MB/sという「あれ~?」と思わず首を傾げたくなる数値が初っ端から出てしまった。
複数回ベンチを実行してみると、シーケンシャルライトは一定な数値になるものの、リードは悪いと90MB/s~120MB/s前後、良いときは200MB/sとバラつくことに……。
CrystalDiskMark実行中の転送速度を「HD Turn Pro 5.50」でモニターしてみると、リードテスト中に10~20MB/s程度まで落ちる瞬間があった。
1000MB以外の容量も計測したので、数値が良かったときの結果を貼っておこう。なお、リードのバラツキで気がつくのが遅れたが、4Kランダムのライトも通常のHDDと違った結果で、NANDフラッシュメモリーをキャッシュとして利用するハイブリットHDDのような数値になっている。
HD Turn Proの「Benchmark」も計測したが、こちらは最大(外周)リードが192.5MB/s、最小(内周)が87.9MB/s、平均150.8MB/s。ライトは最大(外周)187.8MB/s、最小(内周)が81.9MB/s、平均143.7MB/sと、HDDとしては悪くない結果と言えるだろう。
ただ、続いて行なった「ATTO Disk benchmark」では、リードだけでなく、ライトの数値も乱高下するときがあった。
用途を選ぶ暴れ馬なHDD
「ST8000AS0002」
ほかの容量の「Archive HDD」シリーズを計測していないので、断言できないが、ベンチマーク結果の傾向から考えると、リードはキャッシュをうまく使えているときと、あふれたときで、バタバタしているように感じる。
また、SMR技術を採用した「Archive HDD」シリーズでは、HDD上に“キャッシュ領域”を確保し、書き込んだデータをいったんそこに蓄積する独特な書き込み方式を採用している。そのためLBAで指定した実領域上にデータ書き込みを反映するまでにタイムラグが発生する。この書き込み方式もベンチマークソフトのバラつく結果に影響を与えていると思われる。
この点について、各種ベンチマーク結果をもともにSeagateに確認してみたところ、やはりSMR技術の構造上の特性やベンチマークのアクセス方法が影響するという。ベンチマークソフトが読み込むテストデータが、“キャッシュ領域”上と実領域上に存在し、双方にアクセスが発生。多くのシーク動作(読み書き位置へヘッドが移動する動作)が発生し、計測結果にバラツキが出てしまうそうだ。
ベンチマークによっては、性能にバラツキが出るものの、「Archive HDD」シリーズでうたわれているバックアップ、アクセス頻度の低いデータ(ウォームデータ)や、ほとんどアクセスしないデータ(コールドデータ)などの保管用には問題ないだろう。
逆にシステム領域を含めた普段使いや、頻繁にアクセスするデータの保存先として利用するには向かないことになる。
大容量HDDは保存したデータが消えたときのダメージが甚大。最も気になるのはリード・ライト性能よりも信頼性のほうだが、この点は使い続けてみないとなんとも言えない。新技術を採用した初物ならではの不安感はつきまとうかもしれない。
→次のページヘ続く (NASバックアップストレージとして運用してみた)
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