日本ではいよいよSIMロック解除が業界の大きな流れになります。筆者はこの動きは歓迎。特に海外に行った時、現地のSIMカードの利用がしやすくなったり、なんらかの理由で携帯電話会社を変えたいときも、使い慣れた端末をそのまま利用できるからです。
SIMフリー化したからといって、すぐに携帯キャリアが値引きなしの価格でのみ新機種を販売するようになるとは限りません。ただし、割引を受ける際は、それに見合った期間や金額分、その会社のサービスを利用しなければならなくなり、契約面や違約金の面での縛りがより強くなることもあるでしょう。
本連載の第49回で(関連記事)、米国最大手のVerizon Wirelessから、業界4位ながら、今最も勢いがあるT-Mobileに乗り換えた話をしました。VerizonはiPhoneを2年契約を前提に値引き販売しているものの、端末自体はSIMフリーであるため、新たな端末を買わずにT-Mobileに移行することができました。
Verizonからは早期解約金として、夫婦2人合わせて430ドルの請求がありましたが、T-Mobileは他社からの乗り換えの際の早期解約金を負担し、かつ2人で月額100ドル&データ使い放題というキャンペーンを展開しており、我が家にとって効果はてきめんでした。
もっとも、もし早期解約金がかかったとしても、同じ条件で利用しようとすると3ヵ月で全額返せてしまうほど、コストのインパクトもありました。
T-mobile USがSprintを抜き
2015年第1四半期中に業界3位になる?
最近は業界4位が定着していたT-Mobileですが、ここのところの新規ユーザー獲得の勢いが増しています。これまでの携帯キャリアの常識を打ち砕くべく展開している「Uncarrer戦略」が奏功し、ユーザーにとってのメリットが強まっているからです。
また筆者も経験していますが、実際の都市において、ネットワークは「超」がつくほど快適です。上下30Mbpsに迫るスピードは、筆者の住むバークレーにおいてはVerizonに匹敵する速さでしたが、最近、日中下りの速度が50Mbpsに近づきつつあります。データ無制限であることから、4K映像をモバイルで楽しむことができる唯一のキャリアかもしれません。
データ通信を中心の利用を前提に、ネットワークを最適化してきたT-Mobileは、企業の体力としては他者と比較して弱いものの、それを補って余りあるネットワークの品質を、都市部で実現しつつあります。
この勢いは、確実にユーザーに伝わり、これまで業界3位だったSprintに迫り、3月中には加入者数で追い越すのではないか、という観測も生まれ始めました。
Sprintは皆さんもご存知のとおり、日本のソフトバンクが買収した米国の携帯キャリアで、T-Mobile USの買収も試みましたが、通信業界によって阻まれた格好です。なぜソフトバンクがT-Mobileを欲しかったのか、いよいよ数字となって現れつつある、ということでしょう。
(次ページでは、「T-MobileのiPhoneは日本でも128kbpsながらデータ通信無制限」)
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