T-MobileのiPhoneを日本で使っても快適だった!
128kbpsながらデータ通信無制限
一方のSprintですが、ソフトバンクが買収したことで、日本のユーザーにとってはメリットがあります。それが「アメリカ放題」と呼ばれるサービスです。ソフトバンクユーザーは米国に渡航した際、Sprintのネットワークを使うと、国際ローミングの費用などがかからなくなる仕組みです。
日本のキャリアのグローバル展開はネットワーク機器や端末調達/開発/販売が有利になるというビジネス寄りのメリットが優先され、こうしたユーザーにとってのメリットが具体的になったのは初めてではないでしょうか?
しかし、T-Mobileは米国外でのユーザーメリットでも先進的でした。
筆者は2月始めに東京に出張をしていました。その際、iPhone 6 PlusにはT-MobileのSIMを挿しっぱなしにして、通話もデータ通信も(国際ローミングで)そのまま利用することができました。もちろん、通話料はかかりますが、それも1分20セントと良心的。しかもデータ通信については無制限で無料だったのです。
ただし制限もあり、MVNOの格安SIMのように128kbpsという速度制限があるため、Instagramへの投稿がギリギリできるか、Ingressはちょっと厳しいかなという速度です。
しかしメールやメッセージ、ちょっとした乗り換え案内などのアプリは問題なく使うことができ、ほぼ米国で使っているiPhoneの便利さを、旅行先でも引き継げました。
この無制限のデータ通信は日本だけでなく、アジアや欧州を含む各国でも利用できます。海外出張や旅行が多い米国のユーザーは、T-Mobileを選んでおくメリットが非常に大きいのです。日本にジェットセッター御用達のキャリアがあったでしょうか。もう少し、何かできるんじゃないかと思うのですが……。
東京は無料のWi-Fiもすでに充実している
国内キャリアは海外に行く日本人をサポートしてほしい
以前の原稿で指摘した通り(関連記事)、(T-mobileのiPhone 6はWi-Fi Callingに対応しているため)日本でもWi-Fi接続があると、キャリア表示が国際ローミング先の「docomo」から「T-Mobile Wi-Fi」に変わり、米国の電話番号の発着信がローミング料金なしでできるようになります。もちろん、通話もSMSも無制限なので無料です。
問題はそのWi-Fiをどうやって捕まえるかでした。
筆者は日本出張用に、WiMAX 2+のルーターを使っています。しかし海外から来た旅行客が、たとえWiMAX 2+ルータを持っていなくても、東京においては公衆Wi-Fiを利用することで、高速なデータ通信が必要なときにも心配なくなりつつあります。
特に「Japan Connect Free Wi-Fi」というアプリは、駅や公共施設、コンビニなどの商業施設に設置されている無料のWi-Fiにワンタッチで接続できるようになるからです。
通常は接続する際に、ブラウザーから名前とメールアドレスを入力する手間がありましたが、アプリを使うと対応するWi-Fiの電波を拾った状態でアプリを立ち上げるだけで、ボタン1つで認証が完了します。
アメリカから到着した羽田空港、JRや東京メトロの駅、そしてセブンーイレブンなど、現在ではちょっと立ちどまる場所で高速通信が可能でした。東京五輪に向けて、海外からの渡航者のためのネット環境は着実に前進しているといえるでしょう。
日本に来た人々に対するモバイルネット環境の「おもてなし」はこの調子で整っていくでしょう。今度は外に出て行く日本人たちをどうサポートできるか、日本の携帯キャリアが考えてみてほしいと思いました。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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